5分でわかる!コンビニ労務Q&A

007.店舗のスタッフ募集で年齢制限はかけられる?


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Q:店舗のスタッフ募集にあたり、できる限り年齢の若いスタッフを採用したいので、年齢制限を設けたいのですが、それは可能なのでしょうか。

A:法律により、一定の例外を除き、募集時に年齢制限を儲けることは禁止されています。そのため、年齢を設けると採用活動ができなかったり、応募者などから反発が出たりすることがあります。もし、例外を適用させる場合には法律で認められた的確な理由が必要になります。

こんくり株式会社 https://con-cre.co.jp/

MANA-formation https://community.camp-fire.jp/projects/view/409762

 

<解説>

2月から3月は卒業のシーズンです。多くのスタッフが退職してしまう場合は、早期に募集をかけ、スタッフの減少に備えなければなりません。その際「出来るだけ柔軟に動ける人が欲しいな」と思うことは、とても自然な発想です。この背景には、シフトにたくさん入れる、あるいは年齢が若くスキル習得と成長が早い、機動力がある、などといった、複数の意味合いがあります。ただし、この中で、判断材料として気をつけなければならないのが、「年齢」です。

雇用対策法では、年齢に起因した制限を設けて募集をかけることを原則禁止しています。具体的に禁じられていることは、年齢により応募資格に制限を設けること、また、年齢によって採否を決定することです。例えば「20〜30代の人が欲しいな」というビジョンがあっても、それを素直に募集時の条件として反映させると、法律違反となってしまうのです。

また、夜勤シフトは納品量が多く体力が必要なので、あまり高齢になると業務をこなすのが難しいだろう…と考え、応募した方を年齢のみで判断し、不採用とするケースも違法です。
法律に違反しても、現状は禁固刑や罰金刑があるわけではありませんが、行政から注意を受けることになります。もちろん、それだけでなく、募集時の門戸が狭くなるため応募数が期待できない可能性がありますし、応募する側も「働きにくそうな店だな」「年齢で差別をする店なのかな」などと、よくない印象を持ってしまうでしょう。
当然ながら、年齢制限を設けたハローワークの求人票は受け付けてもらえません。また、民間の求人媒体でも、掲載を断られるケースもあります。ただ、店頭入口などに掲載する手書きの求人ポスターではどのような内容でも書き込め、ハローワークや求人媒体企業のように担当者のチェック機能があるわけではないため、実際にはオーナーや店長の正しい知識が、募集時のトラブルを防ぐことにつながります。

ちなみに、雇用対策法では例外として、次のようなケースにおいて、年齢要件を加味することが可能としています。全部で6つの例外事項がありますが、ここではコンビニエンスストアに関連するものに絞って見ていきます。

(1)定年年齢を上限として、その上限未満のスタッフを「期間の定めのない契約」(一般的には正社員)の対象として募集・採用する場合

(例として、65歳定年の店舗・企業が、65歳未満のスタッフを採用するケースなど)

(2)長期的にキャリア形成をはかる観点で、若年者など(おおよそ40歳未満、特に35歳未満を指す)を期間の定めのない雇用契約の対象として募集・採用する場合=いわゆる新卒のスタッフが対象

(3)国などの施策として、60歳以上や特定の年齢の雇用を促進することに照らし合わせて行われる募集

これらの例外により年齢要件を設けて求人を行う際には、必ずその理由を明確にし、応募者やハローワークなどの職業紹介事業者に事前に伝えなければなりません。コンビニエンスストアの業務は、年齢要件が設定可能な業種として登録されていないのです。

それでも、コンビニエンスストアの業務は、確かに体力が必要です。納品された商品を荷受けしてゴンドラやバックルームに運んだり、フライヤーの油を交換したり、清掃をしたりする中、体力的な面で課題を抱えている方は他の業務を検討する必要があります。しかし、人件費予算などで、多くの人員を割けないのもまた事実です。

そのようなとき、例えば、実際に20代〜30代のスタッフが多く所属をしている店舗や職場であれば、募集時の店舗の特徴として「20代〜30代のスタッフが多数活躍している職場です!」と伝えることは出来ます。活躍できるイメージをその世代の方に持ってもらうことで、「応募してみようかな…」という気持ちになるきっかけを作ります。
そのうえで、実際に応募があった際には、面接で年齢だけではなくその応募者の能力と店舗業務が合うかどうか、これまでの経験を活かしてさらに活躍をしてくれそうか、などという適性、あるいは店舗運営にかける想いをしっかり汲み取って業務に取り組んでくれそうか、という姿勢を見て、総合的に判断することが重要です。
コンビニスタッフの確保が難しくなっている昨今、まず募集の段階で門戸を広くし、年齢だけにとらわれない公平・公正な採用を行いましょう。

 

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5分でわかる!コンビニ労務Q&ABy コンビニ社労士 安 紗弥香