【概要】

本報告書は、日本のデジタルコンテンツ産業において画期的な意義を持つ、株式会社ドワンゴとFC2, Inc.間の特許侵害訴訟における、2025年3月3日の最高裁判決について詳細に分析するものである。この判決は、動画配信サービスにおけるコメント表示システムに関するドワンゴの特許権が争われたものであり、特に、海外にサーバーを置くデジタルサービスに対する日本の特許権の適用範囲、すなわち「属地主義」の原則の解釈が主要な争点となった 。

知財高裁大合議判決（2023年5月26日）がその重要性を強調したように 、本最高裁判決がその判断を是認したことで、デジタル化・グローバル化における特許権の課題解決に向けた一里塚となることを示唆している。最高裁が「特許権の域外適用を認める判決を下した」と明確に述べたことは 、これが「国境を越えた知的財産権の保護に関する重要な判例となった」ことを意味する。