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11月は“人間ドラマ”が豊作 上妻祥浩さんが語る注目の新作4本


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――人生と向き合う4つの物語に込められた「光」

映画解説研究者の上妻祥浩さんが、11月公開の注目作を語ります。

テーマは「人間の心の奥にある“想い”をどう描くか」。家族・再生・母性・喪失――深い主題を抱えた4本がそろいました。聞き手はRKKの江上浩子です。


🔶 孤独と再生を描く「港のひかり」

(11月14日公開)公式サイトはこちら👉https://minato-no-hikari.com/

舘ひろしさんが、かつてのヤクザから港町の漁師へと転身した男を演じる感動作です。北陸の小さな港町で静かに暮らす主人公が、目の不自由な少年と出会い、心を通わせながら過去と向き合っていきます。

少年期を演じるのは、寺島しのぶさんの長男で歌舞伎俳優の尾上眞秀さん。10年後の青年期は眞栄田郷敦さんが担当。宇崎竜童/椎名桔平/斎藤工ら実力派が脇を固めます。

撮影は日本映画界を代表する撮影監督木村大作さん。35mmフィルムによる圧巻の映像美が、海と“ひかり”の質感を鮮やかに刻みます。

「デジタル全盛のいま、ここまで“光の粒”を感じさせる画は稀少。カメラワークだけでも一見の価値があります」(上妻さん)


🔶 人生の旅路をめぐる「Tokyo Taxi」

(11月21日公開)公式サイトはこちら👉https://tokyotaxi-movie.com/

フランス映画『パリ・タクシー』(2023)の日本版リメイク。名匠山田洋次監督の第91作となる本作は、“出発から終点までの一日”を通じて、老女の半生と運転手の心の再生を描きます。

85歳のすみれを倍賞千恵子さん、タクシー運転手を木村拓哉さん、若き日のすみれを蒼井優さんが演じ、三世代の時間が交錯。

「倍賞さんの歌声が随所に流れるのも山田作品らしい。長年の信頼関係がにじむ演出です」(上妻さん)

物語は、東京・柴又の帝釈天を起点に、神奈川県葉山の高齢者施設へ向かう“寄り道の旅”。過去の痛みや時代背景、そして人の絆が織り込まれていきます。


🔶 母の決断を描く衝撃作「ナイトフラワー」

(11月28日公開)公式サイトはこちら👉https://nightflower-movie.com/

『ミッドナイトスワン』の内田英治監督が手がける社会派ドラマ。主演の北川景子さんが、借金を背負いながら2人の子を育てるシングルマザーを演じます。生活のために危険な密売へ踏み込んでしまう母の姿を、切実なリアリティで描写。

北川さんは生まれ故郷の関西弁で挑み、感情が爆発する場面では「言葉が剥き出しの武器になる迫力」(上妻さん)。共演の森田望智さんは女性格闘家として彼女を支え、“女性同士の絆”が物語に深みを与えます。


🔶 喪失と癒やしのロードムービー「兄を持ち運べるサイズに」

(11月28日公開)公式サイトはこちら👉https://www.culture-pub.jp/ani-movie/

長年疎遠だった兄の突然の死。身元引受人となった妹が、兄の遺体を引き取りに向かう道中で“知らなかった兄の姿”に触れていく物語です。

監督は『湯を沸かすほどの熱い愛』の中野量太さん。柴咲コウさんが妹、オダギリジョーさんが兄、満島ひかりさんが兄の元妻を演じます。原案は小村恵理子さんの実体験に基づくエッセイ。

「笑いながら泣ける、深い余韻が残る一本。観終わったあと、静かに心が温まります」(上妻さん)


🔶 “心の奥”を映し出す4つの光

「今回の4作品はいずれも“人間の内側”を丁寧に見つめています。血のつながりだけでなく、心のつながりで人が支え合う――そんな時代の希望を感じさせます」(上妻さん)


この秋、映画館で自分の人生と重ねながら、4つの物語の“ひかり”を感じてみてはいかがでしょうか。

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