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我らの文学123 中勘助『銀の匙』50(前編43③)>
ラジオ収録20220726
「レオンラジオ日の出」テーマ曲 作詞作曲 楠元純一郎 OP「水魚の交わり」、INTER1「日の出の唄」、INTER2「大医精誠」、ED 「遺伝子の舟」
司会 楠元純一郎
中国語翻訳・朗読 レオー(中国語講師・中国大慶の小学校教諭)
※当日はレオ先生が夏季休暇のため、レオ先生の翻訳を留学生に共同で代読し、適宜修正もしてもらいます。
読解者・朗読 松尾欣治(哲学者・大学外部総合評価者)
読解者 福留邦浩(国際関係学者)楠元純一郎(法学者)
中国語朗読 刘耀鸿
聴講 张晓良 張智航 劉凱戈
女の子たちはつねづね怖ぢけをふるつて誰ひとり彼のそばへよる者はなかつたのに折あしくうつかりそこを通りかかつたのはお蕙ちやんだつた。彼は いい鳥が といはぬばかりに忽ち通とほせんぼをして二つ三つ犬じらみをぶつつけた。お蕙ちやんは「いやーよ、いやーよ」と袂でよけながら逃げようとするのを執念ぶかく追つかけてぶつけたものでお蕙ちやんは身をかはすはずみに膝をついてわつと泣きだした。
<怖じけをふるって→怖がって。折悪(あ)しく→時期が悪いこと、あいにく。うっかり→不注意で気づかない様。執念深く→しつこく。はずみに→弾みで→思いがけない勢いにより>
女孩子们平时 就怕他,谁都不愿靠近。不巧阿蕙不小心从他旁边经过,他像是终于找到目标的野 兽,突然挡在她前面,朝她身上扔了两三个带刺的果实。阿蕙边用袖子遮挡边喊:“讨厌—讨厌!” 岩桥却紧追不放,继续朝她扔果子。阿蕙不小心摔了一跤,放声大哭起来。
それを見た私は矢庭にとんでつて勝ちほこつてる岩橋を突き倒し、その吠え面づらを後目しりめにかけながら、起きあがつて塵もはらはずに袖を顔にあててるお蕙ちやんのそばへよつて髪にも著物にもいつぱいくつついてる犬じらみをひとつひとつとつてやつた。
<矢庭に→その場で、いっきに、たちどころに。吠え面(ほえづら)→泣き顔。後目(しりめ)にかける→人を見下し、蔑(さげす)み、無視する。塵(ちり)→ごみくず。著物(着物)>
我看到了,马上冲过去,推倒正洋洋得意的岩桥,顾不得他在身后又哭又叫,赶紧跑到阿蕙旁边。她刚刚起身,连身上沾的灰都没有拍掉,一直用袖子遮着脸哭。我将粘在她头发跟和服上的刺果一颗颗摘掉。
お蕙ちやんは誰が自分をいたはつてくれるかさへ知らずくやしさうに泣きじやくりしてひとのするままになつてたが、やうやう涙をとめて 誰かしら といふやうに袖のかげから顔を見合せたときにさも嬉しさうににつこり笑つた。
<いたわって→労って→大切に世話をする、養生(ようじょう)する。泣きじゃくり→しゃくりあげるようにして泣く、泣き叫ぶ。やうやう→ようやく。さも→いかにも、実に>
阿蕙委屈地哭个不停,连是谁在安慰她都不知道,由着我帮她做这一切。后来她终于止住泪水,从袖子缝里看了看是谁在她身边帮忙。四目相对的时候,阿蕙很开心地悄然一笑。
長いまつ毛が濡れて大きな眼が美しく染まつてゐた。そののち二人の友情は、いま咲くばかり薫をふくんでふくらんでる牡丹の蕾がこそぐるほどの蝶の羽風にさへほころびるやうに、ふたりの友情はやがてうちとけてむつびあふやうになつた。
<薫→香り。こそぐる→くすぐる。羽風(はかぜ)→羽から生ずる風。ほころびる→縫い目が解(ほど)ける、少し開く。打ち解けて→警戒心がなくなり親しむこと、むつびあう→睦(むつ)み合う→互いに親しくなる。仲睦まじい関係。
泪水濡湿了她长长的睫毛,那双大眼睛看起来更美了。这件事发生之后,我和她的友谊就像含苞待放的牡丹花苞,香气扑鼻,蝴蝶扑扇翅膀的微风都能让它绽开花蕾。两个人就这样冰释前嫌,又变得亲密无间了。
我らの文学123 中勘助『銀の匙』50(前編43③)>
ラジオ収録20220726
「レオンラジオ日の出」テーマ曲 作詞作曲 楠元純一郎 OP「水魚の交わり」、INTER1「日の出の唄」、INTER2「大医精誠」、ED 「遺伝子の舟」
司会 楠元純一郎
中国語翻訳・朗読 レオー(中国語講師・中国大慶の小学校教諭)
※当日はレオ先生が夏季休暇のため、レオ先生の翻訳を留学生に共同で代読し、適宜修正もしてもらいます。
読解者・朗読 松尾欣治(哲学者・大学外部総合評価者)
読解者 福留邦浩(国際関係学者)楠元純一郎(法学者)
中国語朗読 刘耀鸿
聴講 张晓良 張智航 劉凱戈
女の子たちはつねづね怖ぢけをふるつて誰ひとり彼のそばへよる者はなかつたのに折あしくうつかりそこを通りかかつたのはお蕙ちやんだつた。彼は いい鳥が といはぬばかりに忽ち通とほせんぼをして二つ三つ犬じらみをぶつつけた。お蕙ちやんは「いやーよ、いやーよ」と袂でよけながら逃げようとするのを執念ぶかく追つかけてぶつけたものでお蕙ちやんは身をかはすはずみに膝をついてわつと泣きだした。
<怖じけをふるって→怖がって。折悪(あ)しく→時期が悪いこと、あいにく。うっかり→不注意で気づかない様。執念深く→しつこく。はずみに→弾みで→思いがけない勢いにより>
女孩子们平时 就怕他,谁都不愿靠近。不巧阿蕙不小心从他旁边经过,他像是终于找到目标的野 兽,突然挡在她前面,朝她身上扔了两三个带刺的果实。阿蕙边用袖子遮挡边喊:“讨厌—讨厌!” 岩桥却紧追不放,继续朝她扔果子。阿蕙不小心摔了一跤,放声大哭起来。
それを見た私は矢庭にとんでつて勝ちほこつてる岩橋を突き倒し、その吠え面づらを後目しりめにかけながら、起きあがつて塵もはらはずに袖を顔にあててるお蕙ちやんのそばへよつて髪にも著物にもいつぱいくつついてる犬じらみをひとつひとつとつてやつた。
<矢庭に→その場で、いっきに、たちどころに。吠え面(ほえづら)→泣き顔。後目(しりめ)にかける→人を見下し、蔑(さげす)み、無視する。塵(ちり)→ごみくず。著物(着物)>
我看到了,马上冲过去,推倒正洋洋得意的岩桥,顾不得他在身后又哭又叫,赶紧跑到阿蕙旁边。她刚刚起身,连身上沾的灰都没有拍掉,一直用袖子遮着脸哭。我将粘在她头发跟和服上的刺果一颗颗摘掉。
お蕙ちやんは誰が自分をいたはつてくれるかさへ知らずくやしさうに泣きじやくりしてひとのするままになつてたが、やうやう涙をとめて 誰かしら といふやうに袖のかげから顔を見合せたときにさも嬉しさうににつこり笑つた。
<いたわって→労って→大切に世話をする、養生(ようじょう)する。泣きじゃくり→しゃくりあげるようにして泣く、泣き叫ぶ。やうやう→ようやく。さも→いかにも、実に>
阿蕙委屈地哭个不停,连是谁在安慰她都不知道,由着我帮她做这一切。后来她终于止住泪水,从袖子缝里看了看是谁在她身边帮忙。四目相对的时候,阿蕙很开心地悄然一笑。
長いまつ毛が濡れて大きな眼が美しく染まつてゐた。そののち二人の友情は、いま咲くばかり薫をふくんでふくらんでる牡丹の蕾がこそぐるほどの蝶の羽風にさへほころびるやうに、ふたりの友情はやがてうちとけてむつびあふやうになつた。
<薫→香り。こそぐる→くすぐる。羽風(はかぜ)→羽から生ずる風。ほころびる→縫い目が解(ほど)ける、少し開く。打ち解けて→警戒心がなくなり親しむこと、むつびあう→睦(むつ)み合う→互いに親しくなる。仲睦まじい関係。
泪水濡湿了她长长的睫毛,那双大眼睛看起来更美了。这件事发生之后,我和她的友谊就像含苞待放的牡丹花苞,香气扑鼻,蝴蝶扑扇翅膀的微风都能让它绽开花蕾。两个人就这样冰释前嫌,又变得亲密无间了。
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