leonradio われらの文学
在中国普通日语学习者LEO和来自日本东京的大学教授的愉快的微信聊天当中,
轻松训练日语听力,了解日本文化,
更重要的是,你将会知道真正的日本人是怎么说话的!
还有还有喔,如果在回复当中提出你学日语时遇见的问题,
说不定教授会亲自来帮你解答!!
正在举行“教授带我读
... moreBy Leo_楠元纯一郎
leonradio われらの文学
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122(後編8②)>
ラジオ収録20240011013
「レオンラジオ日の出」テーマ曲 作詞作曲 楠元純一郎 OP「水魚の交わり」、ED 「遺伝子の舟」司会 楠元純一郎 中国語翻訳・朗読 レオー(中国語講師・中国大慶の小学校美術教諭)朗読 松尾欣治(哲学者・大学外部総合評価者)読解者 福留邦浩(国際関係学博士)
さて帰つてくれば姉は手拭をかぶつて前垂の両端を帯にはさみ、私は笊をかかへて桑つみにでかける。
<手拭(てぬぐい)→手を拭く布、タオル。前垂(まえだれ)→一般には、汚れ防止用に腰から前に垂れ下げる布、前下がり。笊(ざる)→竹を割(さ)いて編んだ道具、籠。>
放学回家后,姐姐系好头巾和围裙两边的带子,我抱着竹筐,一起出门采桑叶。
さうして指の先を黒くしながら
手のとどくかぎりうまさうなのをよつてつみつこをする。
<うまそうなの→美味しそうなもの。よって→選って、選んで。つみつこ→摘っこ→摘比べ→摘み方を競って遊ぶこと、かけっこ(駆けっこ)→走る競争>
我们将能够到的看上去好吃的叶子都摘了个遍,摘到指尖被染的发黑。
冷い唇からはきだす糸の美しいつやが仇となつて遠い昔から人の手にのみ育てられたこの虫は自ら食を求めようとはせず蓆のうへに頭をならべておとなしく桑の葉のふりまかれるのを待つてるのを伯母さんは「お姫様だつたげなでこのお行儀のええことはの」とさもほんとらしくいふ。
<つや(艶)→あでやかで、なまめかしく、色っぽい様。仇(あだ)となって→逆効果となること。蓆(むしろ)→敷物、座、針のむしろ
→針を植えた敷物→人に責められていたたまれない苦しく恐ろしい状況。だったげなで→だったそうで。お行儀(ぎょうぎ)→礼儀の面から見た立ち居振る舞い。さも→いかにも、実に、そのようにも。>
蚕宝宝冰冷的嘴里吐出闪着美丽光泽的丝线,这成了他们的罪孽。自古以来,这种昆虫便由人类亲手养大,它们不会主动找食吃,只是在草席上排好,乖乖地等待人将桑叶撒落。“它们以前都是小公主,所以才会这么规矩。”阿姨煞有介事地解释
121(後編8①)>
ラジオ収録2024001106
「レオンラジオ日の出」テーマ曲 作詞作曲 楠元純一郎 OP「水魚の交わり」、ED 「遺伝子の舟」司会 楠元純一郎 中国語翻訳・朗読 レオー(中国語講師・中国大慶の小学校美術教諭)朗読 松尾欣治(哲学者・大学外部総合評価者)読解者 福留邦浩(国際関係学博士)
八
家のまはりには切りのこした桑の木があつたので慰みかたがた子供たちの実地教育にもなるといふ父の考から近処ですこしばかりの種をわけてもらつて蚕をかつたことがあつた。
<蚕(かいこ)→桑の葉を食べる昆虫で絹糸になる繭(まゆ)を生産する。>
我家附近有一棵没被砍倒的桑树。父亲一方面觉得那是一种慰藉,一方面又觉
得可以给孩子们一些动手的机会,曾经从邻居那里要了些蚕蛹来给我们养。
母や伯母は面倒だ面倒だといふものの実はいくらか得意で、もう大丈夫二度とくることのない昔の労苦を思ひだして楽しみながらいそいそと桑をきざんでやる。
<きざんで→刻んで→細かく切ること。>
母亲和阿姨老是说照顾蚕宝宝很麻烦,其实却很在行。她们回想起过去的苦日子,知道那些辛苦已经不会重来,欢快地切碎桑叶喂蚕,乐在其中。
はじめはただ葉のしたにかくれてるのが日に日に大きくなり坊主頭をふりたててはじからくひかいてゆく。
<はじから→端から・くひかいて→食い荒かして>
蚕宝宝们起初总是躲在叶子下面,后来一天天长大,摇晃着圆乎乎的光头,从树叶的一头啃到另一头。
私も小さな羊羹の函に五六匹いれてもらつて、伯母さんがお蚕様はもとお姫様だつたなぞと教へたもので寐るときにはちやんと御機嫌ようをし、朝はまたおはやうをして、留守の世話をよくよく頼んで学校へゆく。
<羊羹(ようかん)→小豆や白小豆を煮て寒天と砂糖で練り上げている和菓子。函→箱(はこ)>
我也分得五六只蚕,装在羊羹的盒子里。阿姨告诉我蚕宝宝以前都是小公主,所以我睡前都礼貌地对它们说晚安,起床后也会问它们早安,拜托家人一定要好好照顾它们
才去上学。
120(後編7⑦)>
ラジオ収録2024001030
「レオンラジオ日の出」テーマ曲 作詞作曲 楠元純一郎 OP「水魚の交わり」、ED 「遺伝子の舟」司会 楠元純一郎 中国語翻訳・朗読 レオー(中国語講師・中国大慶の小学校美術教諭)朗読 松尾欣治(哲学者・大学外部総合評価者)読解者 福留邦浩(国際関係学博士)
ある日のことまたそんなにして川のなかに立つてたとき私は足もとにあるまつ白な石を拾はうとして身をかがめた。それを兄はぢきに見つけて
「なにする」といつた。「石をひろふんです」
「ばか」私はもういつものやうに恐れなかつた。こなひだから考へて考へて考へぬいてある。
<身をかがめる→身体を前に折り曲げて低い姿勢をとること。ぢきに→すぐに。ひろふんです→拾(ひろ)うんです>
有一天,我们又这样站在河里。我蹲下身子,打算捡起脚边一颗洁白的石子,
立刻被哥哥抓到。
“你在干吗?”他说。
“我在捡石子。”我回答。
“笨蛋。”
这次我没有像往常那样害怕。这段日子以来,我已经想了又想,想清楚了。
「兄さん」 私は後ろからしづかに呼びかけた。
「兄さんが魚をとるのに僕はなぜ石をひろつちやわるいんです」
兄は「生意気いふな」と怒鳴りつけた。私は冷かに笑つてまともに兄の顔を見つめながら「僕のいふことがちがつてるなら教へてください」
<生意気(なまいき)→たいしたことないにもかかわらず、偉そうにすること。>
“哥哥,”我在他身后冷静地说,“你可以钓鱼,我为什么不能捡石子?”
“少来劲!”哥哥怒吼。
我冷冷地笑着,认真地盯着哥哥的脸:
“如果我说得不对,请你指正。”
兄は「殴るぞ」といつて手をあげた。私は黙つて垂れさがつた枝のさきにびくをかけ崖をあがつて帰りかけたが、うす暗い木の蔭にこごんでるのを見ると急に気の毒になり あんなにいふけれどきつとやつぱし寂しいんだらう とおもつて岸のうへから一所懸命によんだ。「兄さん、兄さん、居てあげませうか」 兄は知らん顔して網をそろへてゐる。
<屈(こご)んでる→膝を曲げて腰を落とすこと、しゃがむこと。やっぱし→やっぱり>
“你找打!”哥哥说着扬起手来。我默默地将鱼篓挂在一根垂下来的树枝上,
打算爬上山崖回家,可看到他弯着身子蹲在昏暗的树荫里,忽然觉得心疼,心想尽
管他说那么重的话,可到底还是因为寂寞吧。于是我站在岸上,拼命地喊:
“哥哥,哥哥,我留下来陪你吧?”
可哥哥装作没听见一样收紧渔网。
「さやうなら」 私は丁寧に帽子をとつてひとりで家へ帰つた。それからは私たちは決していつしよに出かけなかつた。
“再见。” 我礼貌地脱下帽子,和他打过招呼便一个人回家了。
自此以后,我们再也没有一起出过门。
119(後編7⑥)>
ラジオ収録202400918
「レオンラジオ日の出」テーマ曲 作詞作曲 楠元純一郎 OP「水魚の交わり」、ED 「遺伝子の舟」司会 楠元純一郎 中国語翻訳・朗読 レオー(中国語講師・中国大慶の小学校美術教諭)朗読 松尾欣治(哲学者・大学外部総合評価者)読解者 福留邦浩(国際関係学博士)
私は蝉の声をきき、田圃の蓮華草をおもひしてうす暗く川におちた森の蔭に立つてると兄はたまに一匹二匹のげばちやはやなどとつてきて
「うまくなつた うまくなつた」といひながら私のもつてるびくにいれる。
<蝉(セミ)→カメムシ目、夏になると木とかに留まった成虫の雄が鳴く。閑(しず)かさや 岩に染み入る 蝉の声。げばち→口髭がありナマズに似た淡水魚。はや→中型の鯉科淡水魚。>
我站在河边森林投下的暗影里,听着蝉鸣,想着田野里的紫云英。哥哥偶尔钓上一两条鲶鱼、鲤鱼之类的鱼,会一面自言自语着“越钓越好,越钓越好”,一面将鱼放进我带的鱼篓里。
魚が息のできるやうにびくを水につけて友達みたいな気になつてのぞいてると私みたいに臆病な彼らはちよいとした響きにも驚いて鼻をつく。
<鼻をつく→鼻を打つ。別の意味として、鼻を突く匂い→刺激臭を受ける>
我待鱼儿像朋友一样,在鱼篓里装了足够的水,好让它们能够呼吸。悄悄往鱼篓里一瞧,胆小的鱼儿们听到一丁点儿响动都吓得惊慌失措地挤在一起。
そのあひだにも兄は私が網を打つところを見てゐないといつてわんわんいふ。
<わんわんいう→大声をあげて喚く>
这时,哥哥见我没有欣赏他撒网时的英姿,又大声发起牢骚。
118(後編7⑤)>
ラジオ収録202400911
「レオンラジオ日の出」テーマ曲 作詞作曲 楠元純一郎 OP「水魚の交わり」、ED 「遺伝子の舟」司会 楠元純一郎 中国語翻訳・朗読 レオー(中国語講師・中国大慶の小学校美術教諭)朗読 松尾欣治(哲学者・大学外部総合評価者)読解者 福留邦浩(国際関係学博士)
その泣き顔をかくすために一所懸命足もとをみつめながら四五軒まばらに並んでる藁屋のなかのひとつにはひる。
<まばらに→数が少なく、間が空いていること。藁屋(わらや)→藁ぶきの家。>
因为不想被人看到我哭,我只好低头拼命地看着脚尖,走进稀稀落落并排着的四五间茅草屋中的一间。
そこは網を貸したり釣道具を売つたりする家で、日にやけた畳のうへにいろいろに塗りわけられた徳利形、椎の実形、円形の泛子、糸巻、釣竿などがならんでゐる。
<徳利(とっくり)→日本酒を入れる首が細く、下が太い容器。椎の実(しいのみ)→食用の木の実。泛子(うき)→魚釣りの道具で餌を一定の水深に垂らし、魚が餌を突けばその様子がわかるもの。釣竿(つりざお)>
这户人家租借渔网,还售卖一些钓鱼用具。被阳光晒褪了颜色的榻榻米上摆着很多东西:有涂成各种颜色的浮标—酒瓶形状的、橡子形状的、圆形的,还有卷线、钓竿等。
庭先を流れてゆく溝にはめだかや蝦が泳ぎ、畦道にはひよろひよろと櫟くぬぎの若木がならび、青田の末は丘をかになつてまつ黒な森がどこまでもつづいてゆく。
<めだか→小型観賞魚。蝦(えび)。畦道(あぜみち)→田んぼと田んぼの間の細い道。櫟(くぬぎ)の木→ブナ科の落葉高木で「どんぐり」はその実>、丘(おか)→小高い土地。
院子前面的水沟里有青鳉鱼和虾儿游弋,田间小路上稀疏地种着几棵麻栎,田野尽头连着山丘,漆黑的森林仿佛无边无际。
兄は網をもち、私はびくをさげ、二人とも跣になつて滝の横手から崖をおりてむかふ岸の窪いところをあさつてあるく。
<びく→ 魚釣りで獲った魚を入れる籠。跣(はだし)→足に履き物を何も履いていない状態。窪い(くぼい)→周りより低くなり、凹(へこ)んでいるところ。漁(あさ)って→獲物を探し求めて>
哥哥拿着渔网,我提着鱼篓,两个人赤着脚从瀑布旁边走下山崖,朝对岸低洼的地方摸索着走。
兄はこなひだまで瓢箪なりにしかならなかつた網が円くひろがるやうになつたといつてほくほくしてるけれどそんなこと面白くもない。
<こなひだ→この間→先日。瓢箪なり→瓢箪状に。ほくほく→嬉しさを隠しきれない様。>
哥哥之前一直撒不好网,总是把网撒成葫芦状,刚学会撒成圆形不久,正在兴头上。可这对我来说却没什么意思。
117(後編7④)>
ラジオ収録202400821
「レオンラジオ日の出」テーマ曲 作詞作曲 楠元純一郎 OP「水魚の交わり」、ED 「遺伝子の舟」司会 楠元純一郎 中国語翻訳・朗読 レオー(中国語講師・中国大慶の小学校美術教諭)朗読 松尾欣治(哲学者・大学外部総合評価者)読解者 福留邦浩(国際関係学博士)
その滝壺の主ぬしを或者は河童だといつた。或者は六尺もある鯉だといつた。そしていづれも現在見た者から聞いたのだといふ。
<滝壺(たきつぼ)→落ちる水によって深く抉られた穴。河童(かっぱ)→水の妖怪。六尺(ろくしゃく)→一間(いっけん)=およそ1.8メートル>
有人说,这条瀑布的主人是河童,也有人说是一条长余六尺的鲤鱼,而且每个人都说是从亲眼见到的人口中听来的。
その主に見こまれて毎年ひとりふたりの子供は必ず命をおとすのでそれらのあはれなもののためにわづかの砂利浜にいつからか一本の塔婆がたてられた。
<命をおとす→死ぬ。塔婆(とうば)→お墓の周りに立っている細長い板。供養塔。>
他们还说,每年都有一两个孩子因为被瀑布之主看中而命丧于此。小小的沙滩上不知何时修起一座坟墓,听说就是为了这些可怜的孩子建的。
その子供たちはどうしてるだらう。そのうへひろびろとして風に波うつ青田をみれば急に胸がせまつて涙がさつとまぶたにたまる。それは深い深い心の底から湧いてきて堰きとめるすべもなかつた。
<風に波打(う)つ→風により波が立つこと。堰き止(と)める→流れを遮(さえぎ)り止めること。>
那些孩子现在怎么样了?看到田野里的一大片青色浪涛在风中起伏,我忽然觉得胸口发堵,泪水一下子就蓄了满眼。这眼泪从心底很深的地方涌出,根本止不住。
116(後編7③)>
ラジオ収録202400731
「レオンラジオ日の出」テーマ曲 作詞作曲 楠元純一郎 OP「水魚の交わり」、ED 「遺伝子の舟」司会 楠元純一郎 中国語翻訳・朗読 レオー(中国語講師・中国大慶の小学校美術教諭)朗読 松尾欣治(哲学者・大学外部総合評価者)読解者 福留邦浩(国際関係学博士)
そこからだらだらと川上へのぼれば堰があり、そのうへに青く淀んだ水が三方にわかれてひとつは樋に、ひとつはむかふ岸の森のなかへ、残りは堰の口からどどんどどんと地響きをうたせてころがりおちる。
<堰(せき)→川や湖などで水の流れを堰き止めたり、流量を調整したりするもの。堰を切ったように。淀(よど)んだ→流れがない、水底に沈んでたまる。>
从那里拖拖拉拉地走到河的上游,有一座堤堰,堤堰里深深蓄着的蓝色水流分成三股,一股流向导水木片,一股流向对岸的森林,剩下的从堤口“咕咚咕咚”地聒噪着跌下去,砸得地面轰隆隆地响。
躍りあがる飛沫しぶき、湧きたつ泡、逆にはひあがる崖、横つとびにとんでゆく水をみるとたまらない寂しさ恐しさに襲はれてただもう はやく帰りたい、はやく帰りたい と思ふ。
<崖(がけ)>
溅起的水沫、涌起的水泡、逆向生长的山崖,我看到这水沫横飞的场景,就感到无止境的寂寞和恐惧,只想要赶快回家。
7 中勘助『銀の匙』115(後編7②)>
ラジオ収録202400717
「レオンラジオ日の出」テーマ曲 作詞作曲 楠元純一郎 OP「水魚の交わり」、ED 「遺伝子の舟」司会 楠元純一郎 中国語翻訳・朗読 レオー(中国語講師・中国大慶の小学校美術教諭)朗読 松尾欣治(哲学者・大学外部総合評価者)読解者 福留邦浩(国際関係学博士)
四五町いつて橋をひとつ渡ればそこはもう川ぞひの原で、紅白に染めわけた水引の枠が楯のやうにならべてほしてある。間もなく水車場がある。長い樋のなかを水が押しあひへしあひ気ちがひみたいにくるのをみると生きたもののやうに思はれて身の毛がよだつ。
<一町(いっちょう)→一反(いったん)の10倍。およそ100アール(1ヘクタール)。水引(みずひき)→祝儀・不祝儀に用いられる飾りで、紅白や白黒の紐の帯紐。樋(ひ・とい・かけい)→水を通す管。身の毛がよだつ→身体の毛が逆立ち、恐怖を覚える様、ぞっとする。>
我们走了四五百米,跨过一座桥,便到了对面的河滩。有人在河滩上晾晒红白两色的水引框子,像盾牌一样摆成一排。不远处有一架水车,水在长长的导水木片中推推挤挤,像疯掉一般汹涌而下。看到这情景,我觉得水车好像是个活物,感到毛骨悚然。
大きな水車がしぶきの息をふき、雫の汗をたらしてぐわらぐわらぐわらと恐しくまはつてゐる。糠埃のこもつた舂つき場ばには無数の杵がこつとんこつとんと鈍どんな音をたてて一本足の踊るやうに米をつく。
<糠埃(ぬかぼこり)。舂場(つきば)→米つき場、精米所)。杵(きね)→石臼に入れた穀類をつく道具。>
巨大的水车喷吐着水花,淌着汗一样的水滴“嘎啦嘎啦”地转着,非常可怕。舂米场上遍地是米糠的粉末,无数根碾杵发出“嗵嗵”的钝重声响,碾米时像独脚的妖怪在跳舞。
そこへゆくと私はどういふわけか舌の根に苦味をおぼえて圧しつけられるやうな気もちになるのであつた。
<どういうわけか→なぜか。>
每次到那里去,我都莫名觉得舌根有种苦涩,整个人再度陷入被逼无奈的情绪中。
6 中勘助『銀の匙』114(後編7①)>
ラジオ収録202400710
「レオンラジオ日の出」テーマ曲 作詞作曲 楠元純一郎 OP「水魚の交わり」、ED 「遺伝子の舟」司会 楠元純一郎 中国語翻訳・朗読 レオー(中国語講師・中国大慶の小学校美術教諭)朗読 松尾欣治(哲学者・大学外部総合評価者)読解者 福留邦浩(国際関係学博士)
七
兄はいろいろとしてずゐぶん熱心に、綿密に、厳格に教育を施したが、あるときふとしたことから二人はこのお互に難儀な関係をきつぱりと断つてしまふことになつた。
<ずゐぶん→ずいぶん(随分)→かなり、とても。綿密(めんみつ)に→詳しく細かく。施(ほどこ)す→与える、行う。ふとしたことから→思いがけない、偶然の、ちょっとしたことから、ひょんなことから。難儀(なんぎ)な→厄介(やっかい)な、面倒(めんどう)な。きっぱりと→固い決意で、断固とした態度で、はっきりと行う様。>
尽管哥哥从各个方面格外热心、周到且严格地管教我,但一次偶然发生的事还是彻底阻断了这份让我们彼此都十分为难的关系。
いつ頃からか兄は釣り堀の鯉だけでは満足しなくなつて投網とあみの稽古をはじめ、れいのとほりびくをさげさせてさいさい私を近処の川へつれていつた。
<釣り堀(つりぼり)、投網(とあみ)→円状の網を魚のいるところに投げると網の先端についている錘(おもり)が沈み、網のポケットに入り込んだ魚をとることができる道具。びく→釣ったり、投網でとった魚を入れておく道具。さいさい→再三、何度も。>
不记得从什么时候开始,哥哥不再满足于在鱼塘钓鲤鱼,开始练习撒网,一次又一次地让我和以前一样提着鱼篓跟他去附近的河边。
5 中勘助『銀の匙』113(後編6④)>
ラジオ収録202400619
「レオンラジオ日の出」テーマ曲 作詞作曲 楠元純一郎 OP「水魚の交わり」、ED 「遺伝子の舟」司会 楠元純一郎 中国語翻訳・朗読 レオー(中国語講師・中国大慶の小学校美術教諭)朗読 松尾欣治(哲学者・大学外部総合評価者)読解者 福留邦浩(国際関係学博士)
そのうちに兄はひとり向ふの岩まで泳いでいつたので私は雨のときだけ川になる水溜りへはひつて石や貝をひろひはじめた。そこにはたくさん寄居蟹やどかりの子がゐて、ちよいとみればただの貝殻みたいにみえるがすこしたつと手をだしてひよこひよこ歩きまはる。尖つたのや、円いのや、勝手次第の殻にゐて、それでどれも寄居蟹の子なのがをかしい。
<水溜(みずたま)り→窪みに水がある様子。ヤドカリ→主として巻貝に体を入れてそれを背負って生きる甲殻類の一種。ちょいと→ちょっと。すこしたつと→少し時間が経過すると。ひょこひょこ→小刻みに上下左右、跳ねるように動く様。>
没过多久,哥哥一个人游到了海角另一端的岩礁那里,我跑到下雨时才会汇成小河的水塘边捡石子和贝壳。水塘里有很多小寄居蟹,很多时候我以为我看见的是一只贝壳,过了一会,它竟伸出触手,轻快地走起路来。寄居蟹们有的住在尖尖的贝壳里,有的住在圆贝壳里,找个壳子随便一钻便是。于是那些空壳里面全部都是小寄居蟹,十分搞笑。
お友達はどこからか長さ二寸ばかりの法螺貝の殻をみつけてきてくれた。ちやうど細い紐がとほせるぐらゐの孔がふたつつあいてゐる。
<二寸(にすん)→6.0606センチメートル、一寸(いっすん)→3.03センチメートル。法螺貝(ほらがい)→日本の南部に生息する巻き貝の一種で、褐色、白色の波紋がある。山伏など修験者が吹いて音を出すもの。孔(あな)。
哥哥的朋友不知从哪里见到一只长两寸多的法螺贝壳,把它送给了我。贝壳上有两个孔,大小刚好能穿过细绳。
で、家へ帰つたら姉にもらつた洋傘の総をつけよう なぞと思つてるところへ兄があがつてきて両手にもつてる貝や石をみんな棄ててしまへといふ。
〈総(ふさ)→束ねた糸の先をばらばらにしたもの、たくさん群がって長くついたものから転じて、垂れているもの。〉
我正想着回家后要拿姐姐送我的阳伞上的穗子穿进去,哥哥上了岸,要我把满手的贝壳石子全部扔掉。
私はしかたなくさも惜しさうにひとつ棄て、ふたつ棄て、たうとう残らず棄ては棄てたが、その貝だけはどうしても棄てかねてもぢもぢしてたら腹をたてて拳固をふりあげたのをお友達がとめてそれひとつだけをもつて帰ることに不承ぶしように納得させた。その法螺貝は今でも古い玩具箱のなかにちやんと総がつけてしまつてある。
〈惜しい→大切なもの、価値のあるものを失って残念だ。棄てかねて→棄てることができなくて。もじもじ→遠慮、気後れから躊躇(ためら)い、落ち着かない様。腹をたてて→怒って。不承不承(ふしょうぶしょう)→いやいやながら、しぶしぶ。しまってある→収納されている。>
我只好可惜地扔掉一个又一个,最后什么都没留下,唯独那位朋友送我的贝壳无论如何也不舍得扔。哥哥看我磨磨蹭蹭的,气得要挥拳打我。他的朋友拦了下来,好说歹说地劝服他,让我只把那一只贝壳拿回家。那只法螺贝如今还系着穗子,完好无损地躺在旧玩具箱里。
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