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我らの文学133 中勘助『銀の匙』60(前編46②)>
ラジオ収録20221004
「レオンラジオ日の出」テーマ曲 作詞作曲 楠元純一郎 OP「水魚の交わり」、ED 「遺伝子の舟」
司会 楠元純一郎
中国語翻訳・朗読 レオー(中国語講師・中国大慶の小学校教諭)
中国語翻訳 レオー
読解者・朗読 松尾欣治(哲学者・大学外部総合評価者)
読解者 福留邦浩(国際関係学者)
中国語朗読 刘耀鸿
聴講 张晓良 張智航 劉凱戈
日本武尊が草を薙ぎはらつてるところ、馬が何匹もゐて栗毛、鹿毛かげ、連銭葦毛れんせんあしげなどの話のあるところ、黒んぼが駱駝にのつて沙漠をゆくところなど一枚二枚と読んでもう終りにちかい元寇の章まできた。
<日本武尊(やまとたけるのみこと)→古代日本の伝説上の英雄。 薙(な)ぎはらう→刃物などで勢いよく横に払う。鹿毛→茶褐色。連銭葦毛(れんせんあしげ)→馬の毛色の名で、灰色の丸い斑点のまじっているもの。元寇(げんこう)→1274年、1281年の蒙古来襲。>
我读到日本武尊以剑劈开草丛,读到栗色毛的马、茶褐色毛的马、灰色斑点的菊花青马等马儿的故事,读到黑人骑着骆驼穿越沙漠,一页又一页地读下去。到了元军那章,整本书就要读完了。
支那のいくさ船がめちやめちやに壊れてるところへ日本の小舟が漕ぎよせてゆく絵があつて、閏七月三十日の夜に神風が吹いて十万の軍勢がたつた三人残つたばかりだと書いてある。
<支那(しな)→中国の王朝、政権を超えた通史的な呼称。いくさ船→戦船、軍船。閏(うるう)。神風(かみかぜ)→神の威力で吹く風。>
书上有一幅画,画中一叶日本的小船从东倒西歪的元军兵船中间轻巧地穿过。上面写着:闰七月三十日夜,神风吹拂,十万大军仅三人幸存。
女の組ではいまさら油断したのを後悔してひとがちよつと息をつぐのにさへ手をあげてとらうとする。その狼狽の様子がをかしくなほなほ落ちつきはらつていよいよ陶器といふ章まですすんだが、困つたことに私は焼物の製法などにあまり興味をもたなかつたため平生そこだけはとばしておさらひをしてたのでやうやくしどろもどろになつて訳なくとられてしまつた。
<息をつぐ→息を継ぐ→息をする、呼吸を整える、ちょっと休憩をする、一息入れる。狼狽(ろうばい)→うろたえて騒ぐこと、慌てふためくこと。おさらい→復習。しどろもどろ→話し方が要領を得ず、調子が乱れ、相手によく伝わらない様子。訳なく→たやすく、簡単に。>
女生组后悔自己大意轻敌,就连我停下来换口气,都要举起手来预备抢读。看着她们狼狈的样子,我觉得很好笑,反而更加沉着地一口气读到陶器那章。但我对陶器的制作方法等内容实在不感兴趣,每次复习都把那段文字跳过去,如今到底还是稀里糊涂地犯了错,很可惜地被女生组抢了去。
そこでしぶしぶ女に株をゆづらねばならぬことになり憎い敵は誰かと思つてみたら意外にもそれはお蕙ちやんだつた。私は嬉しいやうないまいましいやうな変な気がした。くやし泣きに泣いたとみえて眼のまはりを赤くしてゐる。そして本をもつて立ちあがりはしたものの泣きじやくりして一字も読めない。そのうち鈴が鳴つてその日は珍しく男の組の全勝になつた。
<しぶしぶ→渋々→いやいなながら、不承不承。株を譲る→勝をゆずる。お株を奪う→他人の得意とすることを自分が上手くやってのけること。いまいましい→忌々しい→非常に腹が立って仕方がない。泣きじゃくり→泣きながらしゃくり上げる。>
不情不愿地交出朗读权时,我愤愤地想知道那个挑我错的对手究竟是谁,不料竟是阿蕙。我又开心又生气,情绪变得非常复杂。她仿佛是懊恼地哭了,眼角红红的。拿着书站起来,却抽噎着一个字也读不下去。这时下课铃响了,这一天,男生组少见地大获全胜。
我らの文学133 中勘助『銀の匙』60(前編46②)>
ラジオ収録20221004
「レオンラジオ日の出」テーマ曲 作詞作曲 楠元純一郎 OP「水魚の交わり」、ED 「遺伝子の舟」
司会 楠元純一郎
中国語翻訳・朗読 レオー(中国語講師・中国大慶の小学校教諭)
中国語翻訳 レオー
読解者・朗読 松尾欣治(哲学者・大学外部総合評価者)
読解者 福留邦浩(国際関係学者)
中国語朗読 刘耀鸿
聴講 张晓良 張智航 劉凱戈
日本武尊が草を薙ぎはらつてるところ、馬が何匹もゐて栗毛、鹿毛かげ、連銭葦毛れんせんあしげなどの話のあるところ、黒んぼが駱駝にのつて沙漠をゆくところなど一枚二枚と読んでもう終りにちかい元寇の章まできた。
<日本武尊(やまとたけるのみこと)→古代日本の伝説上の英雄。 薙(な)ぎはらう→刃物などで勢いよく横に払う。鹿毛→茶褐色。連銭葦毛(れんせんあしげ)→馬の毛色の名で、灰色の丸い斑点のまじっているもの。元寇(げんこう)→1274年、1281年の蒙古来襲。>
我读到日本武尊以剑劈开草丛,读到栗色毛的马、茶褐色毛的马、灰色斑点的菊花青马等马儿的故事,读到黑人骑着骆驼穿越沙漠,一页又一页地读下去。到了元军那章,整本书就要读完了。
支那のいくさ船がめちやめちやに壊れてるところへ日本の小舟が漕ぎよせてゆく絵があつて、閏七月三十日の夜に神風が吹いて十万の軍勢がたつた三人残つたばかりだと書いてある。
<支那(しな)→中国の王朝、政権を超えた通史的な呼称。いくさ船→戦船、軍船。閏(うるう)。神風(かみかぜ)→神の威力で吹く風。>
书上有一幅画,画中一叶日本的小船从东倒西歪的元军兵船中间轻巧地穿过。上面写着:闰七月三十日夜,神风吹拂,十万大军仅三人幸存。
女の組ではいまさら油断したのを後悔してひとがちよつと息をつぐのにさへ手をあげてとらうとする。その狼狽の様子がをかしくなほなほ落ちつきはらつていよいよ陶器といふ章まですすんだが、困つたことに私は焼物の製法などにあまり興味をもたなかつたため平生そこだけはとばしておさらひをしてたのでやうやくしどろもどろになつて訳なくとられてしまつた。
<息をつぐ→息を継ぐ→息をする、呼吸を整える、ちょっと休憩をする、一息入れる。狼狽(ろうばい)→うろたえて騒ぐこと、慌てふためくこと。おさらい→復習。しどろもどろ→話し方が要領を得ず、調子が乱れ、相手によく伝わらない様子。訳なく→たやすく、簡単に。>
女生组后悔自己大意轻敌,就连我停下来换口气,都要举起手来预备抢读。看着她们狼狈的样子,我觉得很好笑,反而更加沉着地一口气读到陶器那章。但我对陶器的制作方法等内容实在不感兴趣,每次复习都把那段文字跳过去,如今到底还是稀里糊涂地犯了错,很可惜地被女生组抢了去。
そこでしぶしぶ女に株をゆづらねばならぬことになり憎い敵は誰かと思つてみたら意外にもそれはお蕙ちやんだつた。私は嬉しいやうないまいましいやうな変な気がした。くやし泣きに泣いたとみえて眼のまはりを赤くしてゐる。そして本をもつて立ちあがりはしたものの泣きじやくりして一字も読めない。そのうち鈴が鳴つてその日は珍しく男の組の全勝になつた。
<しぶしぶ→渋々→いやいなながら、不承不承。株を譲る→勝をゆずる。お株を奪う→他人の得意とすることを自分が上手くやってのけること。いまいましい→忌々しい→非常に腹が立って仕方がない。泣きじゃくり→泣きながらしゃくり上げる。>
不情不愿地交出朗读权时,我愤愤地想知道那个挑我错的对手究竟是谁,不料竟是阿蕙。我又开心又生气,情绪变得非常复杂。她仿佛是懊恼地哭了,眼角红红的。拿着书站起来,却抽噎着一个字也读不下去。这时下课铃响了,这一天,男生组少见地大获全胜。
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