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#17 ウールの魅力・服地物語【 紡績・染色編 3/4 】


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Step17針 - 服地が出来るまでの連載企画。今回は、刈り取った羊の毛から糸を紡ぎ、糸を染める物語。


スーツやニットなど、ウール製品の生地に使用する”糸”がどのような工程・技術で作られているのか?


大人の社会見学を音声で解説いたします!


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🎙️この番組は、ビスポークメーカーの2人が、技術とファッション、

時に笑いを追求するトークコンテンツです。


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【 番組パーソナリティ 】

🪡TAILOR SECOND HOUSE 中野 俊


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🔨Shoedesign & Shoemaking When

小林 晃太


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https://www.s-when.com


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【 専門用語集 】


◼︎ グリージーウール:Greasy Wool

→ 羊の毛を刈った後の、脂・汗・泥・藁ゴミなどの狭雑物がついた状態


◼︎ スカードウール:Scoured Wool

→ グリージーウールを洗い、脂分を0.5〜2%程度まで落とした状態


◼︎ スライバー:Sliver

→ 洗い上げたウールにカーディング(櫛でとかす)を行い、繊維を平行に並べた状態の束


◼︎ トップ:TOP

→ 糸に撚りは加えず、西洋コマの形状にスライバーをまとめた状態。脂分や狭雑物のない中間製品。この状態の後に、紡績の工程へ移る


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◼︎ 羊の毛の長さ(繊維長)

→ メリノ種で5.08~10.16cm、雑種で7.62~20.32cm程度のものが一般的


◼︎ ファイン・メリノ

→ 繊維の太さは18~19ミクロン、繊維長は70~75mm位で、特に高級細番手使いの梳毛織物、ニットに用いられている


◼︎ ミドル・メリノ

→ 繊維の太さは20~22ミクロン、平均繊維長はおおむね90mm位で、梳毛織物、超高級毛布などに用いられる


◼︎ ストロング・メリノ

→ 繊維の太さは23~25ミクロン、平均繊維長は100mm位で、梳毛織物、高級な毛布等に用いられる


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◼︎ SUPER表示

→ 羊を含む獣毛の繊維の太さは「ミクロン単位」で表示され、数値が低い(細い)ほど高級と位置付けられる

WTO(国際羊毛機構)」がこの定義をまとめ、スーツに使用する「ミクロン単位」を「SUPER表示」に置き換えてクヲリティを示す物差しとして、ザ・ウールマークカンパニーが管理・運用を一任されている


例) Super 80’S = 19.5 ミクロン / Super 250’S =11.5ミクロン

一般的なカシミヤ繊維:14~17ミクロン


◼︎ ウール番手

→ 1gの重さで1mの長さを「1番手」とする。 つまり、1gの重さで10mの長さになる糸は「10番手」。 結果、番手が上がると細くなる


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◼︎ 糸の撚り数による分類

→ 糸1mあたりで、何回転したかによって、撚り数はT/mという単位で表される。

500T/m以下を甘撚(あまより)、500~1000T/m以を中撚(ちゅうねん)、1000~2500T/mを強撚(きょうねん)、2500T/m以上を極強撚と呼ぶ


◼︎ 糸の撚る方向

→ 順撚(じゅんより)と呼ぶ左回転で上に登る撚り方向を「S撚り」と表現し、この反対回転を逆撚り(ぎゃくより)を「Z撚り」と呼ぶ。この組み合わせで、糸だけでなく、生地や商品の雰囲気が大きく異なり、商品開発の点でもメーカーの意図やファッションの面白さが詰まる


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【 紡績の種類 】


◼︎ 梳毛(そもう):Worsted

→ 羊毛の長い繊維を梳いて(すいて)、強めの撚りをかけた糸をも用いて織り上げた生地、または糸を指す。メンズスーツの代表的な素材


◼︎ 紡毛(ぼうもう):Woolen

→ 短い繊維の羊毛のから糸を紡ぎ、梳毛に比べ糸の撚りは甘く糸は太く、ひとつひとつの繊維が絡みあった織り上げる生地や糸を指す。コートなどの膨らみの素材が魅力であり、フランネルやツイードなどが代表的である


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【 染色の種類 】


◼︎ 先染(さきぞめ)

→ 糸を紡ぐ前の状態、主に「TOP(トップ)」の状態で染める

その後、複数のTPOを使い糸を紡ぐ為、一本の糸に複数の色を含ませることが出来、表情が豊かな糸を使用して、生地を織ることも可能となる


※ 紡毛にはTOP染めはなく、これに該当するのはスライバーの状態で染める「バラ毛染め」と呼ぶ手法がある


◼︎ 糸染(いとぞめ)

→ 複数のTPOを使い紡いだ糸を「チーズ」と呼ぶ円筒形にまとめた単位でまとめ、染色を行う方法が有名。よってチーズ染色などと呼ばれる。その他にも、糸を束ねた状態で染める「カセ染め」などがある


◼︎ 後染(あとぞめ)

→ 織り上がった反物、通称:生機(きばた)を使用し染め上げる方法。主に無地のカラーバリエーションを持たすことで、発色の良い魅力的な商品展開にも活用される


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【 参考文献 】


1993年発行・洋装社「毛織物の基礎知識」


2010年発行・万来舎「スーツの百科事典」


2012年発行・Textile Tree「Textile Dictionary」


2014年発行・万来舎「メンズ・ウエア素材の基礎知識-毛織物編」


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