われらの文学 レオンラジオ 楠元純一郎

177 中勘助 银汤匙 105(後編5②)


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105(後編5②)> 

ラジオ収録20240324

「レオンラジオ日の出」テーマ曲 作詞作曲 楠元純一郎 OP「水魚の交わり」、ED 「遺伝子の舟」司会 楠元純一郎 中国語翻訳・朗読 レオー(中国語講師・中国大慶の小学校美術教諭)朗読  松尾欣治(哲学者・大学外部総合評価者)読解者 福留邦浩(国際関係学博士)中国語訳監修 劉凱戈 李可心  孙轶凡

青田や空や海や白帆に気を浮かされていひたいことききたいことはいくらもあるのを叱られるのがつらさに自分ひとりでああかう考へて やつぱし来ないはうがよかつたかしら なぞと思つてると今度は黙つてるといつてまた新規に一喝をくふ。兄はなぜかう訳もなく腹をたてるのかと思つたら私が どうして汽車が動くか を質問しないために機嫌が悪いのであつた。

<白帆(しらほ)→船が風を受けて推進力を得るために張られた白い幕。気を浮かされて→物事に心を奪われて落ち着かず。やっぱし→やはり。かしら→不審、疑問に思う気持ちを表す、一般には女性語。なぞと→などと。>

绿色的田野、天空、大海、白帆令我心旌摇曳,有数不尽的话想说、想问,又想到被骂的痛苦,便独自钻起了牛角尖,心想也许还是不该跟他一起出门。就这样沉默着,又因为不说话迎来了新的训斥,哥哥为什么总是没来由地发火呢?后来我才知道,他心情不好竟是因为我没问他为什么火车会动。

 私たちのついたのは陰気な柴垣をめぐらしてところどころに貝殻がすててあつたりする漁村のなかの一軒の藁屋で、待ちかねて二人を迎へたお友達のほかにまつ黒な年寄夫婦と、おなじ色の娘が住んでゐた。ちやうど昼飯の時刻だつたので黒猫みたいな親子が三人のまへへ汚い膳をふたつつもつてきたが、それはそこの家の者の使ふ食器なので、私たちが食事をすますまでは家の者はたべることができないのだからはやくしなければいけない といはれ気が気でなく半分たべて箸をおいた。

<柴垣(しばがき)→山野に自生する雑木、雑草で編んで作った垣根。敷地を区切るために設けた囲いや仕切り。めぐらす→周りを囲むようにする。藁屋(わらや)→藁葺きの家、草屋。気が気でなく→落ち着かない、そわそわしてしょうがない。箸をおいた→食べるのを止めた。>

我们来到一个被阴森的篱笆墙围起来的渔村,村里处处扔着贝壳,之后到一间茅草屋住下。住在这间屋里的,除了等候我们多时的那位哥哥的朋友外,还有一对皮肤黝黑、上了年纪的夫妇,和一个皮肤同他们一样颜色的女孩。正好到了午饭时间,黑猫似的一家三口将两道脏兮兮的菜端到我们三个人面前,却告诉我们,那些餐具是他们平时用的,所以他们三口要等我们吃完才能吃饭,叫我们尽快吃完。这让我们颇感不安,吃了一半就放下了筷子。

 家が狭いために兄と私だけは一里ばかりはなれた岬のはうへうつることに話がきまり、散歩かたがた送つてくれるお友達と兄とは後から追ひつくといふので私ひとりがたがたの田舎俥にのせられて先に出かけた。

<一里(いちり)→日本では4km。中国では500m。万里の長城の正式な長さは21196km。岬(みさき)→海側に突出した陸地。散歩かたがた→散歩をかねて、散歩のついでに、散歩がてら。田舎俥(いなかぐるま)>

由于屋里地方太小,最后决定安排哥哥和我住到四千米开外的海角那边。哥哥的朋友打算送他,顺便散散步,就让我一个人坐上乡下摇摇晃晃的人力车先走了。



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