われらの文学 レオンラジオ 楠元純一郎

70 鲁迅 故乡 14(第59-72段落)


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オープニングソング「水魚の交わり(魚水情)」

エンディングソング「バイオバイオバイオ(遺伝子の舟)」

作詞作曲 楠元純一郎

編曲 山之内馨




<我らの文学70 魯迅「故郷」14(第59〜72段落) ラジオ収録20210622>

翻訳 レオー(中国語講師・美術家)

翻訳 楠元純一郎(法学者)

監訳・朗読 松尾欣治(哲学者・大学外部総合評価者)

参加者 劉凱戈 


  他站住了,脸上现出欢喜和凄凉的神情;动着嘴唇,却没有作声。他的态度终于恭敬起来了,分明的叫道:

 彼は立ったまま、顔には喜びと寂しさが現われ、唇は動いているが声にはならない。最後には彼の態度はうやうやしくなり、はっきとこう言った。

  “老爷!……”

 「旦那様!」

  我似乎打了一个寒噤;我就知道,我们之间已经隔了一层可悲的厚障壁了。我也说不出话。

    似乎 si4 hu1

 私は身震いをしたようであった。私にはすぐにわかった、我々の間はすでに悲しいほどまでに分厚い障壁で隔てられてしまっていることを。私はもう話もできない。

  他回过头去说,“水生,给老爷磕头。”便拖出躲在背后的孩子来,这正是一个廿年前的闰土,只是黄瘦些,颈子上没有银圈罢了。“这是第五个孩子,没有见过世面,躲躲闪闪……”

 彼は後ろを振り向いて、「水生(shui sheng)、旦那様にお辞儀をしなさい」と言い、そして彼の背後にいた子供を前に来させた。それはまさに20年前の闰土のようであったが、ただ痩せ黄ばんでいて、頸の周りには銀の輪がない。「これは5番目の子ですが、世間に出たことがなく、おどおどしていて。」


  母亲和宏儿下楼来了,他们大约也听到了声音。

 母と宏儿(hong er)は二階から降りてきた。彼らも声がするのを聞きつけたのであろう。


  “老太太。信是早收到了。我实在喜欢的不得了,知道老爷回来……”闰土说。

 「大奥様、お手紙は早々に届きました。私は嬉しくてたまりませんでした。旦那様が帰ってこられたと伺いまして・・・。」と闰土が言った。

  “阿,你怎的这样客气起来。你们先前不是哥弟称呼么?还是照旧:迅哥儿。”母亲高兴的说。

 「まあ、なんだってそんな他人行儀にするんだい。あなたたちは以前は兄弟のような仲だったんじゃないの?昔のように、迅(xun)ちゃんでいいんだよ。」と母はうれしそうに言った。

  “阿呀,老太太真是……这成什么规矩。那时是孩子,不懂事……”闰土说着,又叫水生上来打拱,那孩子却害羞,紧紧的只贴在他背后。

 「いやあ、大奥様、めっそうもないことでございます。そのときはまだ子供でして、なにもわからず。」と闰土が言いながら、また水生を前に出してお辞儀をさせようとしたが、その子供は恥ずかしがって、緊張してただ父親の背中にしがみついたままであった。


  “他就是水生?第五个?都是生人,怕生也难怪的;还是宏儿和他去走走。”母亲说。

 「彼が水生か?5番目の子の?みんな初めての人だから、恥ずかしがるのも無理もない。宏儿は彼と一緒にあちらに行って遊んであげなさい。」と母は言った。


  宏儿听得这话,便来招水生,水生却松松爽爽同他一路出去了。母亲叫闰土坐,他迟疑了一回,终于就了坐,将长烟管靠在桌旁,递过纸包来,说:

 宏儿はこの話を聞くと、すぐに水生を誘った。水生は彼とほっとして一緒に出て行った。母は闰土に座るよう言った。彼は一度は躊躇(ちゅうちょ)したが、やっと腰を下ろした。長い煙管(キセル)を食卓に立てかけ、紙包を差し出した。


  “冬天没有什么东西了。这一点干青豆倒是自家晒在那里的,请老爷……”

 「冬場は何もございませんが、この乾燥青豆は自家製ですから、どうぞ旦那様に。」


  我问问他的景况。他只是摇头。

 私は彼に暮らし向きについて尋ねると、彼はただ首を横にふるだけであった。


  “非常难。第六个孩子也会帮忙了,却总是吃不够……又不太平……什么地方都要钱,没有规定……收成又坏。种出东西来,挑去卖,总要捐几回钱,折(she2)了本(ben3);不去卖,又只能烂掉……”

 「とてもたいへんです。6番目の子供も手伝ってくれますが、それでもいつも追っつかないです。世の中は物騒だし、どこでもお金がかかることばかりで、決まりごともなく、実りもよくなく、作った物を売りに出せば何度も税金を取られ、値切られるし(元がとれないし)、売りに行かねば腐れるばかりで・・・。」


  他只是摇头;脸上虽然刻着许多皱纹,却全然不动,仿佛石像一般。他大约只是觉得苦,却又形容不出,沉默了片时,便拿起烟管来默默的吸烟了。

 彼はただ首を振るばかりである。顔には多くの皺が刻まれているが、まるで石像のように皺は少しも動かなかった。彼は苦しみを感じてはいても、それを形容することができず、しばらく黙っていたが、それから煙管を取り上げて、黙々と刻み煙草を吹かした。




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