永瀬清子の世界

#99「短章「腕なき鬼」」


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短章「腕なき鬼」では、歌舞伎の「綱館」を観て、「老いた女性の枯れて美しい魅力」とともに、戦いに負けた人にも「正当な理由がある」と思いを寄せています。そしてこの思いは、女学生の頃に読んだ古代英語で書かれた英雄叙事詩「ベオウルフ」の梗概をもとに書いた詩「グレンデルの母親は」に通じるものでした。この授業を行ったのは、夏目漱石の一番弟子・中川芳太郎です。こうしたエピソードから愛知県第一高等女学校高等科英語部での学びが、詩人・永瀬清子の礎となったことがうかがえます。「鬼の方に却って最後の勝利を与えている」ところを好ましく思った永瀬さん。「自分の詩の源流」に気づき「最後の勝利」を願うとしたならば、永瀬さんにとっては自分でなければ書けない詩を書くことだったのではないかと思えてなりません。<文・白根直子>

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