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弊社欧州・アジア テクノロジー・リサーチ責任者のショーン・キムが、AIが受け身のチャットボットから能動的なエージェントへと移行していること、そしてそれがテクノロジーのサプライチェーンにどのような影響を与えるかについて解説します。
このエピソードを英語で聴く。
トランスクリプト
市場の風を読む」(Thoughts on the Market)へようこそ。このポッドキャストでは、最近の金融市場動向に関するモルガン・スタンレーの考察をお届けします。
本日は、弊社欧州・アジア ・テクノロジー・リサーチ責任者のショーン・キムが、AI開発における根本的な転換と、それが市場に及ぼす幅広い影響についてお話しします。
このエピソードは5月5日 にロンドンにて収録されたものです。
英語でお聞きになりたい方は、概要欄に記載しているURLをクリックしてください。
最後にチャットボットに要約や下書きを書かせたのは、いつだったでしょうか。あるいは、何か質問を投げかけて答えを得たこともあるかもしれません。おそらく役立ったはずです。ただ、質問し、手直しし、コピーし、確認し、作業を前に進めるという、一連のやり取りを主導していたのは、依然としてあなたでした。
では、ただ反応するだけでなく、実際に行動するシステムを想像してみてください。先週あなたが何を頼んだかを覚えていて、好みを理解し、複数のデジタルツールをまたいで動き、作業手順を計画し、状況が変わればそれに合わせてやり方を変えていく―そんな仕組みです。
それが、生成AIからエージェント型AIへのシフトです。つまり、「考えること」を助けるAIから、「実行すること」を助けるAIへ。生成AIはたいてい受け身で、プロンプトを受け取って答えを返します。一方、エージェント型AIは能動的です。1つの作業を手伝う副操縦士というより、複数ステップのワークフローを自動操縦するオートパイロットに近い存在です。
この違いが重要なのは、必要とされるコンピューティング要件が変わりつつあるからです。生成AIでは、大規模言語モデルとGPUが「思考」の大部分を担います。GPU(画像処理装置)は多数の計算を並列で処理できるため、現代のAIモデルの中核となっています。これに対し、エージェント型AIではCPUの重要性が高まります。CPU(中央処理装置)はタスクを調整し、システムをより広いデジタル基盤へとつなげる役割を担います。
エージェント型AIは、さらに3つのスタックにも依存します。すなわち、脳にあたる大規模言語モデル、CPUが「実行」を管理するオーケストレーション、そして「記憶」にあたるナレッジです。
この中で、記憶は最も重要なレイヤーかもしれません。あなたの好みや文書、文体、過去の作業履歴を理解しているエージェントは、時間とともにどんどん役に立つ存在になります。そこから生まれるのが、コンテキストのフライホイールです。集めるコンテキストが増えるほど個別最適化が進み、いったん使い始めると乗り換えにくくなります。
一般にコンピューティングの世界では、メモリは主にストレージ、つまり「保存場所」として捉えがちです。しかし、ここは考え直す必要があります。メモリは「継続性」でもあります。AIシステムが過去の経験を活用できるようになると、メモリは長期的な状態となり、共有知として蓄積され、行動の土台にもなっていきます。
これは重要です。なぜなら、大規模言語モデルには固定のコンテキスト・ウィンドウがあるからです。会話がその範囲を超えると、古い内容はウィンドウの外に落ちてしまいます。単純な質問であれば、それでも問題ないかもしれません。しかし、大規模なコードベースを相手に、数日から数週間にわたって作業するコーディング・エージェントにとっては、大きな制約になります。本格的な作業には、永続的なメモリ、短期的な状況把握、そして能動的な検索が必要です。つまり、過去の意思決定を覚え、変更されたファイルを理解し、ユーザーが依存関係を一つ一つ指し示さなくても、関連するコードを見つけられることが求められます。
投資家にとっての示唆は明確です。エージェント型AIは、ボトルネックを変えます。弊社では、CPUが新たなボトルネックになると見ており、メモリはコンテンツ量の増加が最も大きい領域になると考えています。2030年までに、CPUの追加的な総アドレス可能市場は最大で60%増、金額にして600億ドル増になると推計しています。これは、1,000億ドルを超えるCPU市場全体の中での増分です。また、このテーマに関連して、DRAMのビット出荷量の増分の最大70%がひも付く可能性があるとも見ています。
そのため弊社は、メモリ、ファウンドリー、基板、CPUおよびメモリ・インターフェース、そしてコンデンサーやCPUソケットといった分野を含むサプライチェーンに、より前向きな見方をしています。これらの領域は、コンテンツ量の増加、価格決定力、2027年にかけての供給能力制約の恩恵を受けます。
AIが「質問に答える」段階から「行動を起こす」段階へ進むにつれて、投資家は、このシフトを支えるインフラに目を向けるべきです。なぜなら、エージェントの時代における次の大きなAIの飛躍は、プロンプトよりも、むしろプロセッサに左右される可能性があるからです。
最後までお聴きいただきありがとうございました。今回も「市場の風を読む」Thoughts on the Market 、お楽しみいただけたでしょうか?もしよろしければ、この番組について、ご友人や同僚の皆さんにもシェアいただけますと幸いです。
By Morgan Stanley弊社欧州・アジア テクノロジー・リサーチ責任者のショーン・キムが、AIが受け身のチャットボットから能動的なエージェントへと移行していること、そしてそれがテクノロジーのサプライチェーンにどのような影響を与えるかについて解説します。
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市場の風を読む」(Thoughts on the Market)へようこそ。このポッドキャストでは、最近の金融市場動向に関するモルガン・スタンレーの考察をお届けします。
本日は、弊社欧州・アジア ・テクノロジー・リサーチ責任者のショーン・キムが、AI開発における根本的な転換と、それが市場に及ぼす幅広い影響についてお話しします。
このエピソードは5月5日 にロンドンにて収録されたものです。
英語でお聞きになりたい方は、概要欄に記載しているURLをクリックしてください。
最後にチャットボットに要約や下書きを書かせたのは、いつだったでしょうか。あるいは、何か質問を投げかけて答えを得たこともあるかもしれません。おそらく役立ったはずです。ただ、質問し、手直しし、コピーし、確認し、作業を前に進めるという、一連のやり取りを主導していたのは、依然としてあなたでした。
では、ただ反応するだけでなく、実際に行動するシステムを想像してみてください。先週あなたが何を頼んだかを覚えていて、好みを理解し、複数のデジタルツールをまたいで動き、作業手順を計画し、状況が変わればそれに合わせてやり方を変えていく―そんな仕組みです。
それが、生成AIからエージェント型AIへのシフトです。つまり、「考えること」を助けるAIから、「実行すること」を助けるAIへ。生成AIはたいてい受け身で、プロンプトを受け取って答えを返します。一方、エージェント型AIは能動的です。1つの作業を手伝う副操縦士というより、複数ステップのワークフローを自動操縦するオートパイロットに近い存在です。
この違いが重要なのは、必要とされるコンピューティング要件が変わりつつあるからです。生成AIでは、大規模言語モデルとGPUが「思考」の大部分を担います。GPU(画像処理装置)は多数の計算を並列で処理できるため、現代のAIモデルの中核となっています。これに対し、エージェント型AIではCPUの重要性が高まります。CPU(中央処理装置)はタスクを調整し、システムをより広いデジタル基盤へとつなげる役割を担います。
エージェント型AIは、さらに3つのスタックにも依存します。すなわち、脳にあたる大規模言語モデル、CPUが「実行」を管理するオーケストレーション、そして「記憶」にあたるナレッジです。
この中で、記憶は最も重要なレイヤーかもしれません。あなたの好みや文書、文体、過去の作業履歴を理解しているエージェントは、時間とともにどんどん役に立つ存在になります。そこから生まれるのが、コンテキストのフライホイールです。集めるコンテキストが増えるほど個別最適化が進み、いったん使い始めると乗り換えにくくなります。
一般にコンピューティングの世界では、メモリは主にストレージ、つまり「保存場所」として捉えがちです。しかし、ここは考え直す必要があります。メモリは「継続性」でもあります。AIシステムが過去の経験を活用できるようになると、メモリは長期的な状態となり、共有知として蓄積され、行動の土台にもなっていきます。
これは重要です。なぜなら、大規模言語モデルには固定のコンテキスト・ウィンドウがあるからです。会話がその範囲を超えると、古い内容はウィンドウの外に落ちてしまいます。単純な質問であれば、それでも問題ないかもしれません。しかし、大規模なコードベースを相手に、数日から数週間にわたって作業するコーディング・エージェントにとっては、大きな制約になります。本格的な作業には、永続的なメモリ、短期的な状況把握、そして能動的な検索が必要です。つまり、過去の意思決定を覚え、変更されたファイルを理解し、ユーザーが依存関係を一つ一つ指し示さなくても、関連するコードを見つけられることが求められます。
投資家にとっての示唆は明確です。エージェント型AIは、ボトルネックを変えます。弊社では、CPUが新たなボトルネックになると見ており、メモリはコンテンツ量の増加が最も大きい領域になると考えています。2030年までに、CPUの追加的な総アドレス可能市場は最大で60%増、金額にして600億ドル増になると推計しています。これは、1,000億ドルを超えるCPU市場全体の中での増分です。また、このテーマに関連して、DRAMのビット出荷量の増分の最大70%がひも付く可能性があるとも見ています。
そのため弊社は、メモリ、ファウンドリー、基板、CPUおよびメモリ・インターフェース、そしてコンデンサーやCPUソケットといった分野を含むサプライチェーンに、より前向きな見方をしています。これらの領域は、コンテンツ量の増加、価格決定力、2027年にかけての供給能力制約の恩恵を受けます。
AIが「質問に答える」段階から「行動を起こす」段階へ進むにつれて、投資家は、このシフトを支えるインフラに目を向けるべきです。なぜなら、エージェントの時代における次の大きなAIの飛躍は、プロンプトよりも、むしろプロセッサに左右される可能性があるからです。
最後までお聴きいただきありがとうございました。今回も「市場の風を読む」Thoughts on the Market 、お楽しみいただけたでしょうか?もしよろしければ、この番組について、ご友人や同僚の皆さんにもシェアいただけますと幸いです。