市場の風を読む

市場の風を読む

By Morgan StanleyBusinessInvesting
Download on the App Store

市場の風を読む episodes

  • 中国の製造業高度化を支える12兆ドルの投資

    弊社の中国インダストリアルズ・アナリスト、シェン・ジョンが、AI、ロボティクス、そして大規模な投資サイクルによって、中国の製造基盤と、グローバル・サプライチェーンにおける中国の役割がどのように変わり得るのかを解説します。

    このエピソードを英語で聴く。


    トランスクリプト 


    「市場の風を読む」(Thoughts on the Market)へようこそ。このポッドキャストでは、最近の金融市場動向に関するモルガン・スタンレーの考察をお届けします。

    今回は、弊社の中国インダストリアルズ・アナリスト、シェン・ジョンが登場します。AIと自動化が中国の工場をどのように変えつつあるのか、そしてそれが世界の製造業にとって何を意味し得るのかをお話しします。

    このエピソードは9月29日に香港にて収録されたものです。

    英語でお聞きになりたい方は、概要欄に記載しているURLをクリックしてください。

    何十年もの間、「メイド・イン・チャイナ」と言えば、規模、スピード、そして低コスト製造の代名詞でした。しかし今、中国の製造業は、より野心的な方向へと転換しつつあります。テクノロジー、生産性、そして産業のノウハウを活用し、何を作るかだけでなく、どのように作るかまで変えようとしているのです。

    弊社は、この移行を「インダストリー5.0」と呼んでいます。インダストリー4.0は、機械と機械をつなぎ合わせ、生産をデジタル化する取り組みでした。インダストリー5.0はこれをさらに一歩進め、AIを活用して、工場の生産計画、品質管理、設備保全の方法を改善しようというものです。

    中国は、すでに圧倒的な規模の製造基盤を有しています。世界の製造業付加価値のおよそ28%を占め、国連が定義する666の産業小分類をすべて網羅しています。すでに基礎レベルのスマート工場が3万カ所以上あり、ネットワークにつながった産業機器は1億台を超えています。

    こうした産業基盤は、ロボティクスにおいても中国に強固な土台をもたらします。従来の産業用ロボットは、あらかじめ設定された特定の作業を繰り返すのが一般的です。一方、身体性AIを導入すれば、ソフトウェアやモデルの更新を通じて新たな能力を獲得できるようになり、機械の柔軟性が高まる可能性があります。つまり、一部の肉体労働を、ソフトウェアによって機能を更新できる資本へと転換できる可能性があるのです。

    そして、それに関連する数字を見ていくと、これがどれほど急速に拡大し得るかが分かります。中国のロボット年間販売台数は、2025年の約800万台から、2030年には2,900万台、2035年には7,600万台に増える可能性があります。わずか10年間で、年間販売台数がおよそ9倍になる計算です。

    これほど大規模な製造基盤全体にロボティクスとAIを広げるには、多額の資本が必要になります。弊社では、インダストリー5.0によって、2026年から2035年にかけて、中国で約12兆ドルの追加的な産業投資がなされる可能性があると推計しています。このうち約5兆5,000億ドルは、ロボティクス、スマート機器、ソフトウェアなどの工場高度化に向けられ、約6兆ドルは新たな生産能力の整備に向けられる見通しです。

    ただし、この投資サイクルは段階的に進む可能性が高そうです。産業設備投資の伸び率は、2026年と2027年には年率約4~5%となり、その後、余剰生産能力が吸収され、技術上のボトルネックが緩和し、工場全体でAIの導入が広がるにつれて、2028年以降は6~7%程度へ加速すると弊社は予想しています。

    こうした投資が生産性の向上につながれば、経済への影響は大きなものになり得ます。2035年までに、中国の産業部門の利益率は、現在のおよそ5%から8%へ拡大する可能性があります。インダストリー5.0によって、中国の潜在GDPの水準は約3.5%押し上げられ、高齢化による下押し圧力の一部を和らげることが期待されます。また、世界の製造業付加価値に占める中国の比率も、約28%から30%へ上昇する可能性があるでしょう。

    そして、こうした変化は中国国内にはとどまりません。最終組立の拠点は別の場所へ移すことができますが、それを支えるサプライヤーのネットワーク、機械、生産ノウハウを再現するのははるかに困難です。弊社の推計では、中国から米国への輸出のうち、容易に代替できるのは約40%にすぎません。

    つまり、中国の役割は、完成品の輸出にとどまらず、ほかの国で完成品を作るために使われる設備、部品、産業システムを供給することへと、ますます広がっていく可能性があるのです。これは、「メイド・イン・チャイナ」から「メイド・バイ・チャイナ」への移行にほかなりません。

    最後までお聴きいただきありがとうございました。今回も「市場の風を読む」Thoughts on the Market 、お楽しみいただけたでしょうか?もしよろしければ、この番組について、ご友人や同僚の皆さんにもシェアいただけますと幸いです。

    8 min
  • 株式市場のすそ野の悪化

    2026年の株式市場の上昇をけん引する企業の数が、以前よりも少なくなっています。弊社最高投資責任者兼米国チーフ株式ストラテジストのマイク・ウィルソンが、年末に向かうなかで上昇相場のすそ野が狭まっていることを、投資家はどう受け止めるべきか解説します。

    このエピソードを英語で聴く。


    トランスクリプト 


    「市場の風を読む」(Thoughts on the Market)へようこそ。このポッドキャストでは、最近の金融市場動向に関するモルガン・スタンレーの考察をお届けします。


    今回は、弊社の最高投資責任者兼米国チーフ株式ストラテジストであるマイク・ウィルソンが、株式市場のすそ野の悪化について解説します。

    このエピソードは9月28日にニューヨークにて収録されたものです。

    英語でお聞きになりたい方は、概要欄に記載しているURLをクリックしてください。

    今年、株式市場は上昇しています。これは良いニュースです。ただ、この6週間は、どうしても気になる現象がひとつ見られました。今回の上昇相場を支える銘柄の数が、次第に減っているのです。

    ラッセル3000指数の構成銘柄の半数以上が、6月につけた高値を少なくとも20%下回っています。また、S&P500指数の予想株価収益率は19倍にまで低下しており、年初来で最も低い水準に近づいています。その一方で、S&P500指数では構成銘柄の利益成長率の中央値が依然として10%台半ばにあり、業績予想の上方修正の動きも広がって今回のサイクルのピークに近づいています。

    これは、市場が楽観に傾きすぎているということではありません。むしろ、エネルギーコストの上昇、金融引き締め姿勢を強めるFRB、AIによる事業環境の変化、投下資本利益率をめぐる懸念、そして地政学リスクを織り込むために、市場はすでに相当な調整を進めてきました。

    先週のポッドキャストで申し上げたように、これは典型的な景気サイクル中盤の動きです。利益の伸びがバリュエーション低下の影響を吸収し、相場の主役が、景気サイクル初期に上昇した銘柄からクオリティ銘柄へと移りつつあります。

    ローリング・リセッションの底から力強く相場をけん引してきた自動車、半導体、短期循環型の資本財といった業種が、最近では特に弱い分野となっています。

    景気サイクルが成熟し、FRBの姿勢が市場にとって以前ほど追い風ではなくなると、こうしたことが起こりやすくなります。市場は高ベータ銘柄に高い評価を与えなくなります。そして、フリーキャッシュフロー、安定した利益率、事業運営の効率性、さらに業績予想がなお上方修正されている企業を評価し始めます。だからこそ弊社は、引き続き大型優良株を選好しています。なかでも、資産をあまり多く持たず、サービスを中心に提供し、手数料収入を基盤とする企業に注目しています。

    とはいえ、まだ解消すべき問題が一つあります。夏の大半を通じて、原油価格と債券利回りが上昇するなかでも、市場のすそ野は良くなっていました。しかし、ジャクソンホール会議の後にこれが悪化に転じました。FRBのよりタカ派的な反応関数を市場が織り込み始めたのが、ちょうどこの時期にあたります。株価が200日移動平均線を上回るS&P500指数構成銘柄の割合は、およそ75%から50%未満へと低下しました。しかし指数そのものは、それよりもはるかに底堅く推移しました。

    この乖離がいつまでも続くことはありません。市場のすそ野の広がりが指数の水準に追いつくか、あるいは指数が下落して市場のすそ野の広がりに近づくかのどちらかです。債券市場のボラティリティが早期に落ち着かなければ、その影響が株式市場のボラティリティにも波及し、S&P500指数が5~10%ほど下落する可能性があるでしょう。

    率直に言えば、弊社はそうした下落を歓迎します。指数全体がついに調整するに至り、それによって水面下で数カ月続いてきた調整局面が終わることも多いためです。

    FRBが先日、利上げ方向へ転換じたことに、大きな関心が集まっています。しかし、2年国債利回りはすでに、FRBの見通しが示唆する水準を上回っています。弊社には、債券市場が当面の展開についてタカ派に傾きすぎているように見えます。

    それより大きな不確実性は、新しいFRB議長が流動性とバランスシートにどう向き合っていくかです。新議長は前任者たちよりもマネタリスト的な考え方を持っており、それが実務上何を意味するのかを、市場はまだ見極めようとしている最中です。

    弊社では、金融環境が過度に引き締まれば、FRBは最終的に流動性を供給するとみています。ただ、市場はその前に、FRBが本当にそうするか否かを試そうとするかもしれません。注目すべきシグナルは、債券市場のボラティリティ、資金調達面のストレス、そして株式市場のボラティリティがそれに追随するかどうかです。こうした圧力が弱まれば、市場のすそ野の広がりが指数に追いつき、相場をさらに押し上げる可能性があります。圧力が緩和されなければ、指数が調整する余地もおそらく大きくなるでしょう。

    投資家にとっては、もう一つ新たな前向きなテーマも生まれています。それは、AIの導入が、期待の段階から実践の段階へ移りつつあることです。AIの導入が進んでいる企業では、利益率と業績の傾向がより力強くなっていますが、市場のコンセンサス予想はまだ、そうした効果の多くが数年先には薄れると見込んでいます。

    弊社では、その見方は保守的すぎると考えています。生産性の向上はすぐに消えるのではなく、積み重なっていくことが多いものです。利益の勢いは、AIを実現する側の企業からAIを導入する側の企業へと広がっています。一方で、AIを導入する側の企業のバリュエーションは調整し、より魅力的な水準になっています。こうした状況で後押しされるのは、両方を組み合わせるバーベル型の投資戦略です。つまり、利益の持続性によって割高な評価が正当化できる一部のAIを支える企業を保有しつつ、ファンダメンタルズの改善が市場予想にまだ十分織り込まれていないAI導入企業の保有を増やしていく、という考え方です。

    まとめましょう。市場はリスクを無視しているわけではありません。それどころか、バリュエーションの低下、市場のすそ野の広がりの悪化、そして主役の大幅な交代を通じて、リスクを織り込んできています。解消されていないのは、底堅い指数と、それよりはるかに弱い平均的な銘柄との間にあるギャップなのです。

    結論としては、株価指数が史上最高値へ一気に上昇する前に、おそらく市場のすそ野が改善し、指数水準もいったん下落する可能性が高いとみています。だからこそ弊社は、引き続き大型優良株をオーバーウェイトしたいと考えていますが、10月に相場が弱含む局面では、よりリスクの高い銘柄を買い増す方針です。

    市場には、もう一度、不愉快な調整が必要なのかもしれません。ただ、それこそが年末に向けての、より力強い相場展開の土台になるかもしれないのです。今後も市場を読み解くヒントをお届けします。

    最後までお聴きいただきありがとうございました。今回の内容が、皆さまにとって有益でお役に立つものであれば幸いです。よろしければ、レビューをお寄せいただき、ご感想をお聞かせください。また、「市場の風を読む」Thoughts on the Marketに価値を感じていただけましたら、ぜひご友人や同僚の方にも番組をご紹介ください。 

    10 min
  • AIの安全性がもたらす意外な投資機会

    AIの安全性に関する要件が強化されれば、AI投資のペースが変わる可能性があります。アリアナ・サルバトーレが、そうした支出がなぜ縮小ではなく、より多くのコンピュートへ向かう可能性があるのかを掘り下げます。

    このエピソードを英語で聴く。


    トランスクリプト 


    市場の風を読む」(Thoughts on the Market)へようこそ。このポッドキャストでは、最近の金融市場動向に関するモルガン・スタンレーの考察をお届けします。

    本日のエピソードでは、弊社米国公共政策リサーチ責任者であるアリアナ・サルバトーレが、弊社グローバルリサーチ副責任者であるマイケル・ゼザスと対談しました。テーマはAIの安全性と規制です。これからお聞きいただくのは、その対談の抜粋です。

    このエピソードは9月23日にニューヨークにて収録されたものです。

    英語版のエピソード全編をお聞きになりたい方は、概要欄に記載しているURLをクリックしてください。


    弊社は先週、AIのフロンティアモデルの能力向上と、それに伴う安全上のリスクについてのレポートを発表しました。

    これはここ数週間、注目を集めており、政府による規制が今後どのような道筋をたどるのかについて、数多くの質問をいただいています。

    そこで今日は、マイクと私で、最近の新たな展開と、弊社が今後の方向性をどう見ているか、そして中間選挙がその道筋にどのような影響を及ぼし得るのかについてお話しします。

    弊社は、今後の展開について、5つのシナリオがあると見ています。業界による自主規制を含むものもあれば、政府のより強い介入を見込むものもあります。ただ、そのいずれにおいても、先ほどお話ししたように、コンピュート支出とより広い設備投資の大きな追い風になると考えています。

    その理由は、AI企業がより高度なセキュリティ監視インフラを組み込むにつれて、こうした支出は加速する一方だと思われるためです。大規模言語モデルの能力が非線形に高まるなかでは、なおさらです。同様に規制面でも、大規模で包括的なAI規制法案の成立を妨げる要因がいくつかあると見ています。

    そうした法案が実現するには、大きく3つの主要な障害があると思われます。

    1つ目は政治です。実際、大統領自身が何らかの大規模な規制には反対だと述べています。2つ目は手続きです。仕組み上、この種の規制の土台となる法的な受け皿が必要ですが、すぐに整備できるとは考えにくいでしょう。そして3つ目は前例です。

    過去の例を見ると、通常、規制は何らかの注目度の高い出来事をきっかけに進みます。ですから、政府の反応に関する弊社の枠組みは、その出来事の注目度と、政策手段の利用可能性という2つがカギとなります。政策手段の利用可能性とは、政府がこの方向で活用できる手段をすでにどの程度持っているかです。

    これが今後についての弊社の考えです。これは、政策対応の可能性が全くないという意味ではありません。ただ、今後数年にわたり、設備投資とコンピュート支出が増加するという弊社の見方を支えるものです。

    弊社は、近いうちに包括的なAI規制当局が設けられるとは予想していません。重要なのは、オープンウェイトモデルに対する広範な規制も予想していないという点です。その理由は3つあります。まず、弊社の見たところ、米国は中国との間で管理された安定的な関係を維持したいと考えているためです。

    弊社は米中首脳会談を巡る見通しについても書いています。これは微妙なバランスであり、今後も続く可能性が高いと見ています。そのため、オープンウェイトモデルを過度に制限すると、弊社が想定しているその均衡がやや崩れる可能性があります。これが1つ目の理由です。

    2つ目の理由は普及です。弊社は、米政権がオープンウェイトモデルの広がりを望んでいると考えています。企業がオープンウェイトとクローズドウェイトを何らかの形で組み合わせて使っていることも分かっています。したがって、こうしたモデルを禁止することで導入が遅れるのであれば、それは政権の利益にはならないと考えています。

    3つ目の理由は、純粋に実務上の問題です。このような制限の実施は非常に困難です。モデルウェイトがいったんオンラインで公開されると、それがどこの誰に渡るのかを厳密に統制するのは非常に難しくなります。

    当然ながら、企業はそれらをダウンロードできるし、カスタマイズなどもできます。ですから、実施面でも非常に困難です。とはいえ、行政府が継続的に関与し、規制面で段階的な調整や変更を行うことはあり得ます。ただし、それは現在議会で見られる一部の提案ほど厳しいものにはならない可能性が高いでしょう。キルスイッチ法などは、基本的に、一定の基準を超えた場合に、企業が即座にAIを停止できることを義務付けるものです。

    こうしたものが実現する可能性は低いと見ています。ただし、安全基準やガードレールの設定などは、政権による取り組みが近いうちに行われる可能性があるでしょう。

    このため、弊社チームのテーマ別の推奨は維持されています。つまり、今までの話はすべてが設備投資とコンピュート供給への追い風になるという見方です。

    その流れのなかで、弊社は引き続き、推論コンピュートのボトルネックに投資機会があると考えています。供給を上回る需要があるためです。こうした状況は、ほとんどの政策シナリオにかかわらず続くと見ています。

    また、先ほど申し上げたように、サイバーセキュリティのリーダー企業にも投資機会があると考えています。オープンウェイトモデルの能力が大幅に高まるにつれて、支出が増加するためです。そして3つ目として、AI導入企業にも投資機会があると見ています。AIモデルはすでに大きな生産性向上をもたらす能力があり、その能力は今後も向上していくと思われます。

    最後に触れておきたいのは、このポッドキャストではあまり取り上げませんでしたが、こうした対談では通常、AI主権や、米中間の制限についても話題にしています。

    その観点では、米中間の技術移転規制の強化から悪影響を受けるエクスポージャーは避けるべきでしょう。各国政府がより積極的な役割を果たすようになり、その可能性は高まっていると思われます。そしてそれが、グローバル市場の二極化を促すと見ています。

    最後までお聴きいただきありがとうございました。今回も「市場の風を読む」Thoughts on the Market 、お楽しみいただけたでしょうか?もしよろしければ、この番組について、ご友人や同僚の皆さんにもシェアいただけますと幸いです。 

    9 min
  • 各国中銀が再び利上げに動く理由

    インフレリスクが高まる中、各国中央銀行はタカ派姿勢を強めています。弊社グローバル・チーフ・エコノミスト兼マクロ・リサーチ責任者のセス・カーペンターが、これがFRB、ECB、日本銀行にとって何を意味するのかを解説します。

    このエピソードを英語で聴く。


    トランスクリプト 


    「市場の風を読む」(Thoughts on the Market)へようこそ。このポッドキャストでは、最近の金融市場動向に関するモルガン・スタンレーの考察をお届けします。


    本日のエピソードでは、弊社グローバル・チーフ・エコノミスト兼マクロ・リサーチ責任者のセス・カーペンターが、各国中央銀行に見られる動きと、それによって弊社の見通しがどのように変化しているのかについてお話しします。

    このエピソードは9月22日にニューヨークにて収録されたものです。

    英語でお聞きになりたい方は、概要欄に記載しているURLをクリックしてください。

    この2週間で、弊社のエコノミストは、FRB、ECB、日銀に関する見通しを修正し、予想利上げ回数を増やしました。

    それぞれの経済が直面している課題は異なりますが、3つの中央銀行はいずれも、おおむね同じ結論にたどり着いています。世界経済にさまざまなショックが及ぶ中でも成長は驚くほど底堅く、エネルギー価格の上昇圧力が再び強まったことで、インフレが従来の想定よりも長引くリスクが高まっている、ということです。

    最も分かりやすい例であり、弊社が今回最も大きく見通しを修正したのが、FRBです。

    今年の大半の期間、弊社は実のところ、FRBが利上げをまったく行わない可能性もあると考えていました。しかし、今回9月のFOMC会合で実施された利上げに加えて、弊社では現在、12月と3月にさらに2回の利上げが行われると予想しています。これにより、最終到達点となる政策金利は4.25%から4.5%のレンジに引き上げられる見通しです。

    ウォーシュ議長は、エネルギー価格や商品価格の上昇がインフレに及ぼす影響を強調してきましたが、私にとってより重要なシグナルは、政策が十分に引き締め的ではないという評価でした。

    つまり弊社の見方では、FRBはインフレ見通しだけでなく、インフレ率を持続的に目標へ戻すためにどの程度の引き締めが必要なのかについても、再評価しているように見えます。

    とはいえ、それでも弊社は今回の変化について、FRBの政策が根本的に転換したというよりは、政策の再調整に近いものと見ています。ですので、市場は、残された利上げ幅を、もしかすると、ほんの少し過大評価しているのかもしれません。

    しかし、この変化には市場への明確かつ重要なインプリケーションがあります。

    弊社の金利ストラテジストは、投資家が当面、追加引き締め予想を前倒しで織り込む一方で、成長が鈍化し始める前に、政策金利をどの程度長く引き締め的な水準に維持できるのかを、ますます疑問視するようになると予想しています。

    ただ、より広く見れば、FRBはエネルギー主導のインフレ圧力にこれまでよりもやや敏感になっているようであり、それがドル高を見込む根拠を強めています。

    ここ数カ月、エネルギー価格の上昇はユーロを支えてきました。投資家は、ECBがFRBよりも積極的に対応していると受け止めてきたためです。しかし、かつてのそうした非対称性は変わりつつあるのかもしれません。

    そのため、弊社の為替ストラテジストは引き続きドル高を選好しており、とりわけ円に対してドルが強含むと見ています。

    欧州も、FRBと同様のインフレ課題に直面しています。ただし、そのメカニズムは異なります。

    天然ガスやその他のエネルギー価格が再び上昇したことで、弊社のエコノミストはインフレ見通しを大幅に引き上げ、その結果、12月にECBがもう一度利上げを行うとの見方を追加しました。

    ただし、見通しを変えた要因はエネルギー価格そのものだけではない、という点を覚えておく必要があります。

    ユーロ圏の経済活動も、弊社の予想を大きく上回る底堅さを示しています。そのため、小幅な追加引き締めが成長の腰を折るのではないかという懸念は和らいでいます。

    これらを総合すると、ECBは、エネルギーコストの上昇がより広範なインフレ動向に波及するのを防ぐことに、ますます重点を置いていると言えます。

    一方、日本は違って見えるかもしれませんが、根底にあるストーリーは驚くほど似ています。

    何十年もの間、日銀にとっての課題はインフレを生み出すことでした。しかし現在、政策当局者は、インフレ率が目標を上回る可能性をますます懸念するようになっています。

    先週の日銀の利上げを受けて、弊社では、日銀が12月に政策金利を1.5%に引き上げ、その後3月にはさらに1.75%程度まで引き上げると予想しています。

    FRBやECBと同様に、日銀も、金融環境の引き締まりを予想以上にうまく吸収してきた経済と向き合っています。

    もっとも、FRBやECBとは異なり、弊社のストラテジストは、市場が最終的な政策金利の到達点を織り込むうえで、積極的になり過ぎていると考えています。そのため、時間の経過とともに、予想が下方修正される余地があります。

    その結果、日本の金利は緩やかな上昇を続ける可能性がある一方で、弊社の為替ストラテジストはなお、一時的なポジショニング要因が薄れれば、より広い意味で円安トレンドが現れると予想しています。

    ここまでお話しした3つの中央銀行に共通しているのは、エネルギーショックがインフレをめぐる議論を変えた一方で、成長の底堅さが、政策をめぐる議論をさらに変えたという点です。

    したがって投資家にとって、来年は年初に市場が想定していたよりも、政策金利が高く、ドル高の年になる可能性が高いでしょう。

    最後までお聴きいただきありがとうございました。今回も「市場の風を読む」Thoughts on the Market 、お楽しみいただけたでしょうか?もしよろしければ、この番組について、ご友人や同僚の皆さんにもシェアいただけますと幸いです。

    9 min
  • 市場の底堅さは楽観の表れではない

    弊社の最高投資責任者兼米国チーフ株式ストラテジストであるマイク・ウィルソンが、質の高い銘柄、力強い企業業績、株価モメンタムが、強気相場はなお続いているという自身の見方を裏付けている理由について解説します。

    このエピソードを英語で聴く。


    トランスクリプト 


    市場の風を読む」(Thoughts on the Market)へようこそ。このポッドキャストでは、最近の金融市場動向に関するモルガン・スタンレーの考察をお届けします。

    本日のエピソードでは、弊社最高投資責任者兼米国チーフ株式ストラテジストのマイク・ウィルソンが、現在進行している景気サイクル半ばへの移行についてお話しします。

    このエピソードは9月21日にニューヨークにて収録されたものです。

    英語でお聞きになりたい方は、概要欄に記載しているURLをクリックしてください。

    S&P500は過去最高値に近い水準にあります。エネルギー価格が上昇し、2つの紛争が同時に起きており、AIの安全性を巡る懸念が再び大きく取り上げられているにもかかわらずです。一方で、各国中央銀行は金融引き締めを進めています。理論上では、投資家が不安を感じる理由は数多くあります。では、投資家は単に楽観に傾きすぎているのでしょうか。私はそうは考えていません。

    ラッセル3000指数構成銘柄の40%超は6月以降、20%以上下落しています。一方、S&P500の予想PERは再び19倍まで低下しており、これは1年前よりも20%近く低い水準です。同時に、中央値で見た企業の利益成長率は15%前後で推移しており、業績予想の修正の広がりも、このサイクルの高水準に近いところまで戻っています。力強い利益成長と同時にバリュエーションが低下していることは、楽観の表れではありません。これは典型的な景気サイクル半ばへの移行そのものです。

    この違いは重要です。景気サイクル半ばの相場は、ほとんどの投資家にとって扱いにくいものになりがちだからです。指数は底堅さを保つ一方で、市場の多くの部分は調整することがあります。利益が強さを維持する一方で、バリュエーションは低下することがあります。そして、強気相場が終わらなくても、主導役は入れ替わることがあるのです。

    先週のFRB会合は、まさにこの枠組みに当てはまります。25ベーシスポイントの利上げはおおむね織り込み済みでしたので、実際に重要だったのは、ウォーシュ議長がインフレと戦うという自身のコミットメントを実行する意思を示したことでした。直近のコア・インフレ指標は予想より強めでしたが、内訳は一様に予想以上のインフレ加速を示していたわけではありません。

    上振れの一部は少数のカテゴリーに集中しており、住居費はなお軟調でした。また、関税転嫁の影響も薄れつつあるように見えます。これにより、FRBは、2022年型の引き締め局面に再び向かっていると不本意ながら投資家に想定させることなく、行動する余地を得たと言えます。

    私の見方では、今回の利上げは信認を高める可能性があります。投資家が、FRBはインフレを抑え込むのに十分早い段階で行動していると考えれば、政策金利の引き上げは、長期の資金調達コストを自動的に押し上げるのではなく、不確実性やタームプレミアムを低下させる可能性があります。

    しかし、私が懸念しているのは利上げそのものではありません。利益が力強さを保つなら、今後1年で数回追加利上げが行われたとしても、この強気相場が終わる可能性は低いと考えています。より大きな不確実要因は、ウォーシュ氏が率いるFRBが、バランスシート、マネーサプライ、信用の伸びにどのように対応するかです。ウォーシュ氏の考え方は従来、過去のFRB議長と比べて、よりマネタリスト寄りでした。ただし、同氏がそれをどの程度積極的に適用するのか、また委員会の他のメンバーに対してどれほどの影響力を持つのかは、まだ分かりません。これが重要なのは、民間経済がより多くの資本を使用しており、流動性に対して過度に制約的なアプローチを取れば、政策金利そのものよりも大きな意味を持つ可能性があるためです。

    これが、私が引き続き質の高い大型株を選好している理由の一つです。高いフリーキャッシュフロー利回り、低い会計発生高、業務効率のファクターが主導しており、従業員一人当たり売上高が高いというファクターも、最近最も強いパフォーマンスを示しているものの一つです。これは、AIの実現を支える企業よりも、AIを導入する企業を選好するという弊社の見方とも、非常に合致しています。

    株価モメンタムが消えつつあるわけではありません。ただし、その中身は、質が高く、サービス志向で、資産をあまり持たず、手数料収入を基盤とするビジネスへと変化しています。これは、景気サイクル半ばへの移行期にまさに起こるべきことです。

    目先の変動要因としては、エネルギー価格が引き続き重要です。原油や石油製品の価格がさらに大きく上昇すれば、予想される政策金利の経路、長期債利回り、債券のボラティリティに、不健全な形で上昇圧力がかかることになります。また、そのような動きは、中間選挙の季節性により指数が5%から10%調整することが多い時期に起こることにもなります。

    目先の最悪シナリオでは、S&P500は7,100付近で取引される可能性がありますが、私はそれを強気相場の中での戦術的な調整と捉えます。弊社のファンダメンタルズに関する見方が変わったということではありません。いずれにしても、私は年末の目標値である8,000に引き続き確信を持っています。

    結論として、この相場は、景気サイクル半ばの相場が本来示すべき動きをまさに示しています。バリュエーションは低下し、企業利益が相場を支え、主導役は質の高い銘柄へと移っています。指数だけを見ると落ち着いているように見えるかもしれませんが、個別銘柄のレベルでは、すでにかなりの懸念が織り込まれています。

    間違いとなるのは、底堅さを楽観と取り違え、目の前で進んでいるローテーションを見逃してしまうことです。

    最後までお聴きいただきありがとうございました。今回も「市場の風を読む」Thoughts on the Market 、お楽しみいただけたでしょうか?もしよろしければ、この番組について、ご友人や同僚の皆さんにもシェアいただけますと幸いです。 

     

    9 min
  • トランプ・習会談で貿易とテクノロジーに焦点

    習主席がワシントンに向かうなか、貿易、レアアース、AIが議題の中心になる見通しです。弊社の米国公共政策リサーチ責任者であるアリアナ・サルバトーレが、今回の会談がサプライチェーン、テクノロジー株、そして市場全般にどのような意味を持ち得るのかを解説します。

    このエピソードを英語で聴く。


    トランスクリプト 


    市場の風を読む」(Thoughts on the Market)へようこそ。このポッドキャストでは、最近の金融市場動向に関するモルガン・スタンレーの考察をお届けします。

    本日のエピソードでは、弊社の米国公共政策リサーチ責任者、アリアナ・サルバトーレが、来週予定されている米中首脳会談について、特に二国間の貿易関係、重要鉱物とレアアースを巡って見込まれること、AIに関する対話、そしてそれらが市場にとって何を意味するのかについてお話しします。

    このエピソードは9月18日にニューヨークにて収録されたものです。

    英語でお聞きになりたい方は、概要欄に記載しているURLをクリックしてください。

    習主席は9月24日にホワイトハウスを訪問し、今年2回目となるトランプ大統領との会談に臨む予定です。習主席がホワイトハウスを訪れるのは、およそ10年ぶりとなります。

    両首脳が会談するのは、トランプ大統領が北京を訪問した5月以来です。その際、両国は「建設的な戦略的安定関係」と呼ぶ枠組みを確立しました。また、その会談では、新たな貿易・投資対話、農産物購入と航空機に関するコミットメント、そして人工知能に関する対話を開始することで合意しました。

    ただ、来週の首脳会談は重要なタイミングで行われます。経済関係の安定化に寄与してきたいくつかの暫定措置が、この秋後半に期限を迎えるためです。

    弊社では、注目すべき分野が3つあると考えています。

    1つ目は貿易です。現在の米中関税休戦は、11月に期限を迎える予定です。報道によると、両政府は休戦期間の延長について協議しており、それに加えて、農業、非関税障壁、そして関税が引き下げられる可能性のある比較的限られた品目群についての発表も検討されているようです。

    したがって、市場にとっての焦点は、来週に包括的な新たな貿易合意が成立するかどうかというよりも、両国が現在の安定期間を延長し、関税の大幅な再引き上げを防ぐことができるかにあります。

    2つ目の分野は重要鉱物です。これは、おそらく相手に対する双方の交渉力を示す、最も分かりやすい例の1つです。

    弊社では、米国政府は、半導体、自動車、航空宇宙、防衛など幅広い分野で使われるレアアースやその他の重要材料について、中国からの輸出をより予見可能なものにしたいと考えているとみています。一方、中国政府は、中国企業が先端技術にアクセスすることを制限する米国の措置に反発してきました。

    報道によれば、これらの問題はいずれも首脳会談に向けた交渉事項の一部となっており、ここでは時期が非常に重要です。11月10日には、中国のレアアース規制と米国のテクノロジー管理に影響する期限が控えており、11月後半には一部の鉱物に関する別の期限もあります。つまり、来週何が起きるかによって、こうした制限が引き続き停止されるのか、それとも再び発動され始めるのかが決まる可能性があります。

    3つ目の分野はテクノロジーで、なかでも人工知能の重要性が高まっています。両首脳は5月にAI対話を設置することで合意しており、トランプ大統領も、来週AIについて協議すると具体的に述べています。

    報道では、AIに共通するリスクも協議分野の1つになり得るとされています。ただ、競争関係全般を考えると、包括的な合意は難しいと弊社ではみています。政策の観点から最も重要なのは、テクノロジー規制が先端半導体以外にも広がりつつあるという点です。議論には、クラウドや計算資源へのアクセス、モデルの配布、調達、そして場合によっては特定の外国製AIモデルそのものの利用も含まれています。

    言い換えると、首脳会談ではAIについて対話を続けるといった合意が得られる可能性はありますが、弊社では、その背景にある変化の方がより重要だと考えています。AI主権という考え方は、より長い時間軸で見ても、米中両国を、より多くの制限や政府の関与拡大へと向かわせるものです。

    弊社では、米国のアプローチとしては中間的な道筋の方が現実的だとみています。つまり、中国のオープンウェイト・モデルを一律に禁止するのではなく、特定の中国の開発企業を対象にした限定的な制限を想定しています。ただ、それでも弊社が「2つの世界」シナリオと呼んできた見方、つまり米中のテクノロジー・エコシステムが、インフラ、サプライチェーン、標準、流通チャネルを別々に持つ、ますます異なるものになっていくという見方を強めることになります。

    議題には他にも多くの問題が含まれる可能性があります。特に米国とイランの対立は、協議におけるテールリスクだと弊社ではみています。

    では、これらは投資家にとって何を意味するのでしょうか。

    首脳会談が建設的なものになったとしても、テクノロジーとサプライチェーンの多様化に向かう構造的な流れが反転する可能性は低いとみています。実際、弊社では、米中の分断が進むことで、並行するエコシステム、半導体生産能力、データセンター、クラウド・インフラ、電力、そして重要鉱物のサプライチェーンへの投資がむしろ強まると考えています。

    その意味では、来週、地政学的な問題が実際に緩和に向かえば、短期的な市場のボラティリティは低下する可能性があります。しかし、それによって基調的な投資サイクルが必ずしも変わるわけではありません。

    したがって、首脳会談後の重要な焦点は、両国関係が改善しているのか悪化しているのか、という単純なものではありません。より長期的なデリスキングのプロセスが水面下で続くなかで、両国が競争を管理するのに十分な安定性を維持できるかどうかです。

    最後までお聴きいただきありがとうございました。今回も「市場の風を読む」Thoughts on the Market 、お楽しみいただけたでしょうか?もしよろしければ、この番組について、ご友人や同僚の皆さんにもシェアいただけますと幸いです。 

    9 min
  • FRBにはまだ先がある可能性

    FRBは3年以上ぶりに利上げを行った後も、政策が引き締め的だとは見ていません。弊社の債券リサーチ・グローバル責任者であるアンドリュー・シーツが、それが今後の金融政策の道筋に何を意味し得るのかを解説します。

    このエピソードを英語で聴く。


    トランスクリプト 


    「市場の風を読む」(Thoughts on the Market)へようこそ。このポッドキャストでは、最近の金融市場動向に関するモルガン・スタンレーの考察をお届けします。

    本日のエピソードでは、弊社債券リサーチ・グローバル責任者であるアンドリュー・シーツが、FRBが利上げを行った後も、なお金融政策が景気を支えていると考えている理由についてお話します。

    このエピソードは9月17日にロンドンにて収録されたものです。

    英語でお聞きになりたい方は、概要欄に記載しているURLをクリックしてください。

    昨日、FRBは政策金利を0.25%引き上げました。この利上げ自体は広く予想されていました。より注目されたのは、ウォーシュ議長がそれをどのように説明したかです。

    その決定後の記者会見で、同議長はFRBが「緩和の一部」を取り除いたと述べました。また、議長自身も多くの同僚も、金融環境全般を引き締め的と表現するのは難しいと考えている、と述べました。これは重要な区別であり、いまや市場の議論の核心となっています。

    金融政策がすでに引き締め的であるなら、追加利上げは、FRBが経済に対して、いわばブレーキをさらに強く踏むことを意味します。しかし、政策がまだ緩和的であるなら、利上げはアクセルを少し緩めるようなものです。つまり、FRBが提供している支援を少し減らすにすぎません。そして、それが委員会の見方であるなら、まだ先がある可能性を示唆しています。

    昨日の会合を受けて、弊社のエコノミストは現在、12月と3月にそれぞれ0.25%の追加利上げが行われ、FRBの政策金利誘導目標レンジは4.25~4.5%に引き上げられると予想しています。そして、その後は2027年末までこの水準が維持されると見ています。

    この新たな見通しは3つの要因に基づいています。

    1つ目は、まさにこの緩和をめぐる表現です。経済を均衡させる金利水準は、リアルタイムでは常に見極めが難しい。しかし、企業利益の力強い伸び、融資の拡大、企業活動の活発さを踏まえると、現在の金利水準が経済全体の活動を抑えているとは一概には言えません。FRBも同じように考えている可能性があり、そのために、より高い金利を多少受け入れやすくなっているのかもしれません。

    2つ目はインフレです。ウォーシュ議長は、インフレについては個々のデータよりもトレンドが重要だと繰り返し強調しました。そしてその観点から見ると、インフレ率はなお高すぎるように見えます。依然として多くの項目で3%を上回る伸びが続いています。FRBは、インフレ率が望むほどの速さで持続的に再び目標の2%へ向かっているとは、まだ確信していないようです。

    3つ目は地政学です。ウォーシュ議長は、7月の会合以降に変化した要素の1つとして、地政学的な動向を明確に挙げました。また、FRBは原油高だけでなく、いわゆる二次的影響にも注視していることも明らかにしました。つまり、燃料価格の上昇が、燃料を多く必要とするものの価格上昇につながるかどうかです。

    たとえば航空券は、経済の中でも価格上昇が最も速い分野の1つです。原油価格の上昇は、その大きな一因です。したがって、エネルギー市場がなお大きく混乱している中で、これは引き続き不確定要因です。

    もう1つ、留意すべき点があるかもしれません。委員会は、いわゆる長期的な中立金利、つまり長期的に見て最終的に到達し、経済を均衡させると考える金利の推計値も引き上げました。そして、これをおよそ3.25%に引き上げました。

    これは不確実な推計であり、ウォーシュ議長自身もその重要性を重視しない姿勢を示しました。ただ、方向性としては、均衡を保つ金利がより高いという見方は、現在の金利がどの程度の水準であれ、経済成長に対して以前考えていたほど引き締め的ではないことを意味します。その中立金利との比較で見ると、以前考えていたほど高くはないということです。この点も、金融引き締めや利上げは少なくなるというより、むしろ多くなるという見方を後押しします。

    これはまだ決まったことではありません。エネルギー価格が下落し、地政学的緊張が和らぎ、あるいはインフレがより速く改善すれば、FRBは早めに利上げを停止する可能性があります。ただ今のところ、弊社は、今週の会合からの重要なメッセージは、単にFRBが利上げを行ったということだけではなかったと考えています。

    重要なのは、利上げを行った後でさえ、FRBは政策が特に引き締め的だとはまだ考えていないということです。そしてそれが正しいのであれば、まだやるべきことが残っている可能性があります。

    最後までお聴きいただきありがとうございました。今回も「市場の風を読む」Thoughts on the Market 、お楽しみいただけたでしょうか?もしよろしければ、この番組について、ご友人や同僚の皆さんにもシェアいただけますと幸いです。 

    7 min
  • 株式投資家が見逃すべきでないサイクル半ばへの移行

    弊社最高投資責任者兼米国チーフ株式ストラテジストのマイク・ウィルソンが、市場がどのようにサイクル半ばの環境へ移行しつつあるのか、また、リーダーシップが持続的な利益を備えた、より質の高いアセットライトな企業へと移っている背景について解説します。

    このエピソードを英語で聴く。


    トランスクリプト 


    「市場の風を読む」(Thoughts on the Market)へようこそ。このポッドキャストでは、最近の金融市場動向に関するモルガン・スタンレーの考察をお届けします。

    本日のエピソードでは、弊社最高投資責任者兼米国チーフ株式ストラテジストのマイク・ウィルソンが、株式投資家にとってインフレが懸念材料とはならない理由について解説します。

    このエピソードは9月15日にニューヨークにて収録されたものです。

    英語でお聞きになりたい方は、概要欄に記載しているURLをクリックしてください。

    市場はこの数カ月、表面的に見ているだけでは気づかないほど、多くの調整を進めてきました。6月初め以降、S&P 500は方向感に乏しい動きとなっていますが、その水面下では主導役が大きく変わっています。景気サイクル初期に強かった、資本集約型の勝ち組企業から、フリーキャッシュフローがより潤沢で、利益率が高く、よりアセットライトな事業を持つ、質の高い企業へと主導権が移りつつあります。ソフトウェア、金融サービス、保険、ヘルスケアサービスでは、今年前半に半導体やその他の景気敏感株が享受していたような、利益予想の上方修正の強さが見え始めています。弊社は、これは経済が景気サイクルの初期から半ばへ移行しつつあることを、市場が確認している動きだと考えています。

    多くの投資家が昨日のニュースを議論している一方で、市場はすでに新しい主導役へと動き始めています。そのよい例が、先週発表されたインフレ指標です。結果は予想をやや上回り、メディアやFRBウォッチャーはかなり大きく反応しました。しかし、9月の利上げ確率は数カ月前から上昇しており、指標発表前の時点ですでに70%近くに達していました。現在は95%です。株式市場では、債券市場でのこうした織り込みの見直しと並行して、バリュエーションが切り下がってきました。要するに、インフレ指標は一部の人にとってはニュースだったかもしれませんが、市場にとってはそうではなかったということです。

    これを、FRBが対応で後手に回っていると見る向きもあるかもしれません。しかし債券市場は数カ月前からその展開を見込んでおり、実質的にはFRBに代わって引き締めを進めてきました。株式市場もこの力学をよく認識しているため、バリュエーションは低下し、指数はここ数カ月ほとんど足踏み状態が続いています。これは、典型的なサイクル半ばへの移行局面の動きでもあります。FRBがインフレ抑制という使命に軸足を移し始めるなか、力強い利益成長がバリュエーション低下によって相殺されるのです。言い換えれば、最初の利上げは「リスクオフ」を意味するわけではありません。

    ただし、それは6月以降に弊社が強調してきた、質の高い企業へのローテーションと全体的な見方を裏づけるものでもあります。その理由は利益にあります。以前からお聞きいただいている皆さまには繰り返しになりますが、ラッセル3000指数構成銘柄の利益成長率の中央値は10%台半ばでに達しており、これは2021年以来の速いペースです。また、利益予想の修正も引き続き堅調です。これは、まさにサイクル半ばの定石どおりです。利益が市場を支える主役となり、市場は弱気に転じているのではなく、より選別的になっているのです。より具体的には、市場はより高いキャッシュ・コンバージョン能力、より強い利益率、そしてより持続的な成長を求めています。

    だからこそ、今年夏の初めに起きたモメンタムの巻き戻しは誤解されてきました。一部の投資家はこれを、混み合ったポジションからレバレッジが抜けただけだと見ていますが、それではより大きなメッセージを見落としてしまいます。半導体は典型的な景気サイクル初期のセクターであり、6月には利益予想修正の広がりが極端な水準に達していました。それが巻き戻しのファンダメンタルズ面でのきっかけであり、レバレッジはそれを増幅したにすぎません。価格モメンタムというファクター自体は回復し得ますが、主導する銘柄やセクターは大きく異なる可能性があります。健全な市場の調整とは、通常このようなものです。レースの性質が変わったことに誰もが気づく前に、バトンは次の走者へ渡されるのです。

    金利についても、一般的な説明は不十分だと弊社は考えています。多くの投資家は、利回り上昇は単に債務や財政赤字に対する市場の評価だと考えています。しかし弊社は、より力強い名目成長のほうが重要な要因だと見ています。名目GDPは5年平均ベースで7%近くで推移しており、設備投資インセンティブ、コンピューティング需要、そして実体経済の資金循環の高まりを背景に、再加速しています。インフレがより強い売上高と利益成長を反映している場合、株式はインフレヘッジとなります。株式にとって真の弱点は、インフレではなくデフレです。

    とはいえ、6月に始まったサイクル半ばへの移行について、完全に安心できる状況になったという意味ではありません。ここから原油価格が急上昇し続ければ、金利を押し上げ、成長に圧力をかける可能性が高く、株式にとっては健全とは言えない組み合わせになります。その場合、本格的に強気相場が再開する前に、S&P 500は5~10%程度下落する可能性があります。もう一つのリスクは中間選挙です。歴史的に見て、9月から10月にかけての時期に株式の逆風となってきました。

    結論として、インフレ指標はすでに過去のニュースです。一方で、ローテーションはそうではありません。利益の持続性、フリーキャッシュフロー、業務効率、そしてクオリティがより重要になるサイクル半ばの市場へ移行しつつあります。FRBからの方針が完全に明確になるのを待っている投資家は、すでに市場から発せられているメッセージを見逃すかもしれません。主導役は、より質が高く、アセットライトな企業へ移っています。その流れに逆らうのではなく、受け入れるべきです。

    最後までお聴きいただきありがとうございました。今回も「市場の風を読む」Thoughts on the Market 、お楽しみいただけたでしょうか?もしよろしければ、この番組について、ご友人や同僚の皆さんにもシェアいただけますと幸いです。

    9 min
  • FRB、フットボール、そして不確実性の対価

    弊社の債券リサーチ・グローバル責任者であるアンドリュー・シーツが、FRBの政策、AI関連の資金調達、エネルギー供給を巡る不確実性に対して、市場が投資家に十分な対価を支払っていない可能性があるのはどのようなときか解説します。

    このエピソードを英語で聴く。


    トランスクリプト 


    市場の風を読む」(Thoughts on the Market)へようこそ。このポッドキャストでは、最近の金融市場動向に関するモルガン・スタンレーの考察をお届けします。

    本日のエピソードでは、弊社の債券リサーチ・グローバル責任者であるアンドリュー・シーツが、アメリカンフットボールを題材に、不確実性の価値について何を学べるのかについて考察します。

    このエピソードは9月10日にロンドンにて収録されたものです。

    英語でお聞きになりたい方は、概要欄に記載しているURLをクリックしてください。

    私はこの季節が本当に好きです。外は少し涼しくなりました。街には新学期の始まりを告げる高揚感が漂っています。そして何より、ようやくアメリカンフットボールのシーズンがやって来ました。2025年に米国で放送されたテレビ番組の視聴者数上位100本のうち、90本はフットボールの試合でした。社会の分断が進み、コンテンツの視聴環境もますます細分化するなかで、これほど多くの人々の関心を集めていることは驚異的です。フットボールの人気を説明する要因は数多くありますが、時間とともに私がより実感するようになったものの一つが、その戦略的な複雑さ、とりわけ不確実性の価値です。

    次のプレーがランなのかパスなのかを悟られないようにすること、ブリッツを仕掛けるのか、仕掛けるならどこからなのかを隠すこと。コーチたちは最後の瞬間まで選択肢を残しておこうと懸命に努めます。そして9月を迎えるなかで、この戦略はフットボールだけに限られるものではありません。

    FRBを例にとってみましょう。市場は来週の利上げを約3分の2の確率で織り込んでいます。これは、NFLのチームがセカンド・アンド・セブンでパスを選択する確率とほぼ同じです。この不確実性の一因は、ジャクソンホールでのウォーシュFRB議長の発言をどのように読み解くかにあります。ウォーシュ議長は、基調的インフレ率が「明確に、かつ十分な速さで」目標に向かっているとFRBが確信する必要がある、と述べました。向かっていなければ、FRBには「なすべきことがある」と指摘しています。これは一般的に、利上げに一歩近づいたものと解釈されました。しかし、本当にそうなのでしょうか。十分な速さとは何を意味するのでしょうか。基調的インフレ率とは何を指すのでしょうか。そして「なすべきことがある」とは実際にはどういう意味なのでしょうか。結局のところ、弊社のエコノミストが予想するように年後半にインフレが改善するのであれば、この枠組みは同じくらい簡単に、何もしないという判断を正当化し得ます。弊社は、FRBが来週、金利を据え置くと予想しています。もっとも、これは確かにきわどい判断です。

    次に、AI関連の資金調達における不確実性があります。ここでの金額は非常に大きなものです。弊社のアナリストは、2027年に大手ハイパースケーラー6社の支出が1兆3,000億ドルを超えると予想しており、これは今年の記録的な水準から60%の増加になります。ただし、これだけの資金がどのように調達されるのかは、あまり明確ではありません。投資適格債から資産担保証券、直接金融から保証まで、パブリック市場とプライベート市場をまたいだ資金調達の選択肢はますます豊富になっています。支出自体は実現する可能性が高いように見えますが、その形態や他の市場にどの程度影響を及ぼすかは、より不確実です。私の同僚であるマシュー・ホーンバックとヴィチー・ティルパットゥールは今週初め、こうした不確実性の一部と、それが米国債利回りに及ぼし得る影響について説明しました。

    最後に、エネルギー市場にも不確実性が影を落としています。一部のアナリストは、ホルムズ海峡の原油の流れがようやく正常化しつつあると楽観しています。弊社はそう見ていません。ロシアの精製能力に大きな混乱が生じていることも重なり、弊社は第4四半期の予想を、ブレント原油について1バレル当たり100ドル、欧州天然ガスについて1メガワット時当たり88ユーロへ引き上げました。

    これら3つのテーマに共通する不確実性の一部は意図的なものです。また、起こり得る結果の幅が広いことを単に反映している部分もあります。フットボールでも市場でも、プレーを指示する側にいるときには、選択肢を残しておくことは価値があります。しかし、そのプレーに価格を付けることを求められる側にとっては、それほど魅力的ではありません。そして、それこそが問題なのです。多くの不確定要素があります。弊社は、投資家がそれに見合うだけの対価を十分に受け取っているか確信を持てません。9月のFRB会合がきわどい判断になること、季節的要因が逆風であること、そして予想ボラティリティが非常に低い水準にあることから、弊社はマクロ市場全体でボラティリティの上昇に備えたポジションを取り、モーゲージ担保証券には慎重な見方をしています。

    クレジット市場では、足元の社債発行はすべて、キャパシティではなく価格の問題だと弊社は考えています。弊社は、今年の投資適格債の供給が過去最高になるとの見方を維持しており、スプレッドの拡大が調整弁になると見ています。また、無担保社債よりも担保付き資産を選好しています。そして原油が株式と債券の双方にとってリスクとなるなか、弊社の米国株式ストラテジストは、エネルギー株が魅力的なヘッジ手段になると考えています。

    不確実性そのものには価値があります。想定される結果の振れ幅が大きい一方で、不確実性に対する市場の評価が低い局面では、投資家はより高い対価を求めるべきだと弊社は考えています。

    最後までお聴きいただきありがとうございました。今回も「市場の風を読む」Thoughts on the Market 、お楽しみいただけたでしょうか?もしよろしければ、この番組について、ご友人や同僚の皆さんにもシェアいただけますと幸いです。

    9 min
  • AI投資ブームは報われるのか

    大手テクノロジー企業はAIに1兆4,000億ドル超を投じており、投資家は「それに見合う価値はあるのか」と問いかけています。弊社の米国インターネットアナリスト、ブライアン・ノーワックが、生成AIを活用するテクノロジーで25%~50%のリターンを生み出し得る3つのビジネスモデルについて考察します。

    このエピソードを英語で聴く。


    トランスクリプト 


    市場の風を読む」(Thoughts on the Market)へようこそ。このポッドキャストでは、最近の金融市場動向に関するモルガン・スタンレーの考察をお届けします。

    今回のエピソードでは、弊社の米国インターネットアナリスト、ブライアン・ノーワックが、生成AIを支える巨額の投資が実際に報われるのかについて考察します。

    このエピソードは9月9日にニューヨークにて収録されたものです。

    英語でお聞きになりたい方は、概要欄に記載しているURLをクリックしてください。

    AIは急速に日常生活に入り込んでいます。ソフトウェアの作成、購入前の調査、業務の自動化、情報検索など、数え切れないほど多くの用途で人々を支援しています。

    しかし、こうした活動のすべて、そして今後さらに増えていく活動を支えるには、非常に大規模なインフラの整備が必要です。

    弊社の推計では、大手クラウドプロバイダーは来年だけで、このAI基盤整備に1兆4,000億ドル超を投じる見通しです。そして、演算能力は2025年から2028年にかけて4倍になる可能性があり、およそ120ギガワットに達するとみています。

    しかし、こうした支出の拡大は、投資家の間に多くの疑問を生んでいます。最もよく聞かれる問いの1つは、これらの企業がこうした何兆ドルものデータセンター・インフラ投資から、どの程度の投下資本利益率を得られるのか、というものです。

    この問いに対して、弊社のボトムアップ分析は心強い答えを示しています。

    弊社は、新たに登場しつつある3つのAIビジネスモデルにおいて、およそ25%~50%の投下資本利益率、つまりROICを実現する道筋があるとみています。ROICは、投資が採算に合うかどうかを測るうえで有用な指標です。最初に必要となる資本に対して、税引き後営業利益をどれだけ生み出せるかを示す指標と考えるとわかりやすいでしょう。

    弊社が分析した最初のビジネスモデルは、演算能力の貸し出しです。これはAI経済のインフラ層にあたります。クラウドプロバイダーは、高性能の画像処理半導体、つまりGPUを備えたデータセンターを構築し、その演算能力を顧客に貸し出します。弊社の基本ケースでは、大規模な次世代データセンターは、AI向け演算能力を貸し出すだけで、およそ30%の投下資本利益率を生み出すことができます。

    また、貸出価格が変動したとしても、弊社のシナリオでは、リターンは20%台前半から40%近くまでの範囲となります。したがって、こうした施設の建設に多額の費用がかかり、大きな資本が投じられるにもかかわらず、この分野の経済性はかなり魅力的だと考えています。

    弊社が分析した2つ目のビジネスモデルは、AIラボが自社のモデルを持ち、さらに自社のインフラも保有するケースです。こうした企業は、APIを通じて消費者や企業にモデルへのアクセスを提供し、利用者はそのモデルを活用します。場合によっては、そのモデルを使ってアプリケーションを開発し、それが将来的に経済全体の生産性や効率性を高める源泉となる可能性があります。

    このシナリオでは、経済性はさらに高くなる可能性があると弊社は考えています。モデル開発企業が基盤となるインフラを自社で保有している場合、弊社の基本ケースでは、およそ75%の増分営業利益率と、40%超の投下資本利益率が生み出されます。

    こうした投下資本利益率は目覚ましいものですが、では、これらのリターンが実際に実現するかどうかを左右する要因は何でしょうか。

    2つのことが非常に重要です。1つ目は、開発企業がトークンに対してどの程度の価格を設定することができるかです。トークンとは、AIモデルが処理する情報の単位です。2つ目に非常に重要なのは、このインフラがどれだけ効率よくトークンを処理できるかという点です。

    だからこそ、GPU1基が1秒当たりに処理できるトークン数を高めるために、半導体とソフトウェアの改善が続くことが、このAIエコシステム全体の長期的なユニットエコノミクスにとって極めて重要なのです。

    弊社が分析した3つ目のモデルは、AI開発企業が演算インフラを自社で保有するのではなく、外部から借りるケースです。つまり、必要なデータセンターやGPUについて、実質的に他社に対価を支払う形になります。他のプロバイダーがユニットエコノミクスの一部を取り分けるため、投下資本利益率は低下しますが、それでも弊社の基本ケースでは、およそ30%の増分営業利益率と、税引き後で25%のリターンを得られる可能性があります。

    このように、AI基盤整備には巨額の投資が必要ですが、支出の規模だけでは、今後経済的リターンが得られるかどうかの全体像は見えてきません。

    最終的に重要なのは、そのインフラがどれだけの収益と利益を生み出せるかです。そして、インフラの用途がAIモデルの学習から、新たな製品や推論を通じた顧客向けサービスへと移っていくにつれて、投資家が今問いかけているこの疑問に対し、はるかに明確な答えが見えてくると弊社は考えています。

    こうした支出には、それだけの価値があったのでしょうか。弊社のリサーチが示す答えは、「イエス」です。

    最後までお聴きいただきありがとうございました。今回も「市場の風を読む」Thoughts on the Market 、お楽しみいただけたでしょうか?もしよろしければ、この番組について、ご友人や同僚の皆さんにもシェアいただけますと幸いです。

    8 min

About 市場の風を読む

From the publisher's feed

モルガン・スタンレーが配信する金融ポッドキャスト「市場の風を読む」(Thoughts on the Market)では、マーケットに影響を与える様々な事象について当社のソートリーダーによる考察をお届けします。