2026年の米国株を押し上げる公算が大きいものの、投資家が見落としているかもしれない主な材料について、弊社の最高投資責任者兼米国チーフ株式ストラテジストのマイク・ウィルソンがお話しします。
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トランスクリプト
本日は弊社の最高投資責任者兼米国チーフ株式ストラテジストのマイク・ウィルソンが、市場に作用する諸々の力がひとつにまとまり、2026年に対する弊社の強気な見通しを補強していることについてお話しします。
このエピソードは1月5日 にニューヨークにて収録されたものです。
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新年を迎えるときには、将来のことに目を向けるのが普通です。ですが今日はあえて一歩戻り、市場が見落としていることについてお話ししたいと思います。いくつもの強気な材料が勢ぞろいしているのに、それらが一つにまとまってもたらす総合的な影響を、市場はまだ過小評価しているからです。
堅調な増益基調、FRBによる追加利下げなど、個々の好材料は大いに注目されています。しかし弊社がみる限り、本当に重要なのはこうした力がお互いを強めあっていることです。規制の緩和、プラスの営業レバレッジ、緩和的な金融政策、そして景気を下支えする性質をますます強めている財政政策。これらはすべて、同じ方向に作用しています。今年の後半には中間選挙も予定されており、こうした政策手段は今後も景気を支える方向に維持されそうです。
重要なのは、私が思い描く展開がまだ相場に織り込まれていないことです。
循環株の売買ポジションは比較的軽いままで、景気敏感株に対する投資家の心理は熱狂には程遠い――。この組み合わせ、すなわちファンダメンタルズの改善と慎重なポジションという組み合わせは、回復の初期段階の特徴そのものであることが多いのです。
私は引き続き、こうした追い風が最も過小評価されているのは循環株だとみています。業種でいえば一般消費財、金融、資本財・サービス、そして中小型株です。弊社が追跡している指標の多くは、まさに上向き始めたばかりです。私にはもう、これはサイクルの終盤には見えません。むしろ、私が「ローリング・リカバリー」とみなしているものの初期に見えるのです。
投資家が躊躇(ちゅうちょ)してしまう理由の一つは、従来型の景気循環指標、とりわけ米供給管理協会(ISM)による製造業購買担当者景気指数(PMI)がさえないことに求められます。これらの指標が明らかに再加速するまでは、循環株の売買の推進がためらわれるのです。そしてこの躊躇の根底には、米国経済が「グロース・スケア(成長失速への警戒)」に逆戻りしないだろうかという根強い不安感があります。
私は違う見方をしています。私は、3年間に及んだローリング・リセッションは 去年 昨年4月の「解放の日」をもって終わったと考えています。もしその通りであれば、伸び悩む雇用関連統計におけるいくぶん弱い動きは、株式にとっては前向きな材料となります。FRBのハト派的なスタンスがその分長期化し、かつ強化されるためです。まさに株価にとっては好材料です。
私は、主要なマクロ経済指標は2025年下半期に底を打ち、2026年がその再加速の年になるとみています。より長いサイクルの分析もこの見方を支持しています。具体的には、ISM製造業PMIの45ヵ月サイクルが反転を示しています。この指標の回復は遅れていますが、取り消されたわけではありません。
もうひとつ、十分に注意が払われているとはとても言えない追い風として、エネルギー価格をあげることができます。特にガソリン価格はほぼ5年ぶりの安値水準にあり、低中所得の消費者には経済面の大きな救いとなっています。こうしたクッションは重要です。経済のほかの部分が堅調な時は特にそうです。この週末にベネズエラで起きたことも、長期的には原油価格を押し下げそうです。
次はセクターごとに見ていきましょう。規制緩和の恩恵を享受するセクターの筆頭は金融です。こうした変化を見越して、金融株は過去1年間、高パフォーマンスをあげてきました。2026年に入ってもこの上昇は続くだろうと私は見ています。 住宅も回復局面の重要な要素になり得ます。賃金の伸び悩みと賃料相場の下落は住宅価格を押し下げるかもしれませんが、一部の住宅建築業者は利益率よりも量を重視しています。そのため、これらの業者の利益は頭打ちになるかもしれませんが、住宅取引の回転を高め、よりハト派的なインフレ環境を形成することにつながる可能性があります。
当然ながらリスクも存在します。弊社では9月以降、流動性を最も懸念していますし、それは投機的な資産の弱さという形で相場にも反映されています。ただ、FRBがこれに対応して量的引き締めを先に終了させ、準備金管理プログラム(RMP)を通じて資産購入を再開したことは好材料です。このプログラムは、ストレスが加わっている気配をここ数ヵ月間見せていた金融システムの流動性を効果的に増やしています。
AI関連の設備投資が減速するのではとの懸念の再燃というリスクもあります。借り入れた資金による投資の見返りがどうなるのかもっと明確に知りたいと市場が要求する場合は、特にそうです。また地政学的には、米国によるベネズエラへの介入が新たな問題を引き起こしています。戦略的には、この一件によって西半球に対する米国の影響力は強まりますし、弊社の「景気を過熱させる」という仮説も支持されますが、中国が対応策を取るか否かという大きなワイルドカードが残ります。
まとめますと、現在はサイクルの回復局面の初期段階にあると考え2026年の米国株を強気にみている弊社の見方は、リスクとリワードのバランスから見てもやはり支持されると弊社では考えています。
最後までお聴きいただきありがとうございました。今回も「市場の風を読む」Thoughts on the Market 、お楽しみいただけたでしょうか?もしよろしければ、この番組について、ご友人や同僚の皆さんにもシェアいただけますと幸いです。