小山ナザレン教会

暗闇が深まる世界で輝き続ける光(稲葉基嗣) – ヨハネ 1:1−5


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2023年12月31日 降誕節第1主日
説教題:暗闇が深まる世界で輝き続ける光
聖書:ヨハネによる福音書 1:1−5、創世記 1:1−5、コロサイの信徒への手紙 1:14−17、詩編 67
説教者:稲葉基嗣
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【説教要旨】
「闇は光に勝たなかった」と、ヨハネは書いています。それは、わたしたちが今年1年を振り返るときに抱く感想と同じなのでしょうか。戦争、テロ行為とそれに対する過剰な報復、増税、差別、性暴力などが終わらない、そのような現実を見せつけられているわたしたちは、素直に首を縦に振って、ヨハネの言葉に同意することなどできません。むしろ、光は徐々に小さくなり、暗闇が世界を覆っているではないかと感じます。
それなのに、闇は光に勝たなかったと、なぜヨハネは言い切るのでしょうか。それは、ヨハネが考える光は、わたしたちが自分自身の努力や能力によって勝ち取るような光とは違うからです。ヨハネがわたしたちの希望として伝える光とは、神の言葉であり、人となってわたしたちの間に来てくださった、神の子イエス・キリストです。
イエスさまが、どのような意味で、わたしたちの光であるのかについて、ヨハネは、「初めに」と語り始めることから、この福音書の物語を始めました。「初めに」(エン・アルケー)というフレーズは、ユダヤの人びとにとって、旧約聖書の最初の書物である創世記の冒頭を思い起こさせるものでした。
創世記のはじまりにおいて、神は世界に向かって語りかけています。神が初めに行ったことは、語りかけ、光をこの世界に与えることでした。太陽の光がこの世界を照らすよりも前に、他のどんな光が照らすよりも前に、この世界のはじまりのときに、神が「光あれ」と語りかけることによって、この世界のすべてと、そこに住むすべての生き物と、わたしたち自身を神は照らし出してくださいました。
このように世界のはじまりを祝福し、世界に決して失われることのない光を与え、世界を命で溢れさせた神の言葉と、イエス・キリストをヨハネは結びつけています。闇に包まれ、混沌であった世界に、神がはじめに語りかけ、光で照らしたように、暗闇が広がり、その暗さが更に深まっていくように思えるこの世界に、イエス・キリストが光として来てくださいました。それはまるで、イエス・キリストを通して、新しい創造が始まるかのようです。
暗闇はまだまだ深いし、広がっているように感じます。だけど、わたしたちに命を与え、わたしたちを新しく生かす世界の光として、イエス・キリストはわたしたちのもとに来てくださいました。その光は、人の悪や罪がどんどん膨れ上がり、暗闇が広がっているように見える、今のこの時代において、決して変わらず、輝き続けています。
ですから、たとえどれほどこの世界に暗闇が広がっていったとしても、わたしたちから光が奪われることはありません。主キリストを通して受け取った光がみなさんを通して、少しずつでも、この世界へ広がっていきますように。
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