徒手空拳日記。
2023年3月15日水曜日。
マスクをしていないと、ほんと、視線がいたいです。でも、マスクももちろん付けず、ジョーカーがマレーフランクリンショーのスタジオに、颯爽と出かける時みたいに、歩きタバコをしながら踊るくらいじゃないと、立派なアウトローとは言えません。
Twitterより、引用します。
今日薬局に来た、87歳おばあと付き添いの60代の娘がノーマスク。
「薬局には体調の悪い方もいるのでマスクしてください」と言うと「今日からマスクしなくていいと政府が言ってた。政府よりも薬局が偉いんか」と言われた。
引用は以上です。政府よりも薬局が偉いんか、というセリフに笑いました。政府よりお前、偉いんか? 私もどこかで使いたい、パワーセンテンスです。以前、徒手空拳日記で、「マスクは個人の自由」とは、事実上のマスク警察禁止令だと書きましたが、マスク警察は、政府のマッポよりは偉くない、という序列がはっきりしたのですね。
マスクをつけている人をむりやり脱がせる、反マスク警察の登場も懸念されているとのことですが、偉い政府はマスクを脱げと言ってはおらず、マスクは個人の判断なのであるからして、反マスク警察は権力の根拠がありません。
個人のいない国で、個人の判断、とは草がはえますが、それよりももっと笑ったのが、シリコンバレー銀行の破綻で、預金していたベンチャー企業のリバタリアンが、政府に救済を求めていることです。お前ら、小さな政府どころか、政府なんぞ、いらね、って言ってたよな、と笑いが止まりません。
1929年の世界恐慌を越えるのではないか、とも言われ始めており、クレディ・スイスとかバンク・オブ・アメリカが潰れてしまう、これまでにないシステミックリスクになりそうです。マスクでごちゃごちゃ言ってたり、WBSに心奪われちゃったり、日本人はいま世界で起きつつある危機を、ほとんど知らされておらず、昭和大恐慌のときも、こんな感じだったのかなあと思います。
松本清張は、1964年から週刊文春で連載した「昭和史発掘」の第1巻に「芥川龍之介の死」を記し、昭和恐慌という時代のくらさと、芥川の死を結び付けて論じた、とのことですが、
芥川龍之介が死んだのは、1927年なので、芥川はやはり炭鉱のカナリアみたいなものだったのでしょうか。「ただぼんやりとした不安」で死んでしまった芥川は、百年前はまだ生きてました。1922年には、「藪の中」を書いていました。それを書いてからは、転げ落ちるようでした。百年後の今も、私たちはまだ、あの短篇に似たような、やたら不気味な藪の中にいます。
本日は以上です。ありがとうございました。
ひとの行く裏に道あり花の山