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「ねえ、博君、怨念に意識を集中して」「え? どういうことだ?」「怨念が、何か伝えてきよるとが、わからん?」二人で目をつぶって、周囲に渦巻く怨念の「伝えるもの」と向き合った。「時計……、止まった時計?」そのイメージは、かなめの心の中に、ありありと浮かんだ。「これは、昔の駅の……改札口みたいだな」博もまた、かなめと同じ光景が見えているようだ。「それじゃあ、訴えかけよるとは、昔の博多驛の改札口にあった時計ってことね?」明治の頃、博多市にするか福岡市にするかで騒動が生まれ、その帰結として生み出されたのが、博多驛であり、博多市の怨念だ。時計は、「時が止まった」時の事を克明に記憶していた。「初代の博多驛は明治の終わりの頃に取り壊された……。その時に、時計は当時の駅長の手によって、駅の地下深くに埋められたんだな。博多驛は、博多市が実現しなかった代償として生み出された……。驛の象徴でもある時計には、驛に込められた『博多市』の悲願が込められてしまったんだ」「それじゃあ、博多市の怨念は、時間が止まったままの時計のせいで、いつまでも発生し続けよるっていうとね?」
「ねえ、博君、怨念に意識を集中して」「え? どういうことだ?」「怨念が、何か伝えてきよるとが、わからん?」二人で目をつぶって、周囲に渦巻く怨念の「伝えるもの」と向き合った。「時計……、止まった時計?」そのイメージは、かなめの心の中に、ありありと浮かんだ。「これは、昔の駅の……改札口みたいだな」博もまた、かなめと同じ光景が見えているようだ。「それじゃあ、訴えかけよるとは、昔の博多驛の改札口にあった時計ってことね?」明治の頃、博多市にするか福岡市にするかで騒動が生まれ、その帰結として生み出されたのが、博多驛であり、博多市の怨念だ。時計は、「時が止まった」時の事を克明に記憶していた。「初代の博多驛は明治の終わりの頃に取り壊された……。その時に、時計は当時の駅長の手によって、駅の地下深くに埋められたんだな。博多驛は、博多市が実現しなかった代償として生み出された……。驛の象徴でもある時計には、驛に込められた『博多市』の悲願が込められてしまったんだ」「それじゃあ、博多市の怨念は、時間が止まったままの時計のせいで、いつまでも発生し続けよるっていうとね?」