「……報告することがあるんだ」博の言葉を、かなめは心地よく、心の中にこだまさせた。「このプロジェクトをきっかけに、福岡や九州とのつながりが強くなったから、事務所としても、この九州地区でのプロジェクトを、重点的に扱うことになったんだ。それで……」博が、つないだ手に力を込めた。その手が、少し汗ばんでいるのがわかる。「博多支所を作ることになったんだ」どうやら、会長さんが「博から報告させる」と言ったことは、これのようだ。「それじゃあ、これからもずっと、博多に?」博が頷いた。雲間から光が差し込み、博はまぶしそうに目を細めた。その瞳は、中学生の頃の、かなめの憧れだった博の姿を確かにとどめていた。「これからは、この博多で、自分の人生を歩いて行こうと思うんだ」