連続ラジオ朗読劇『博多さっぱそうらん記』

エピローグ⑦手をつないでも、もうマイヅル様の声は聞こえない。でも…


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「それじゃあ、もしかしてマイヅル様って、この福博の街ばつくった、福岡藩の……?」「駅長に矢を放った時、マイヅル様は、水牛みたいな巨大な角の兜をかぶった鎧姿だったろう? あれこそまさに、戦国の世を戦い抜いた福岡藩の初代藩主、長政公の鎧兜姿なんだ」「初代藩主の黒田長政公か……。」「きっとマイヅル様は、長政公だったころからずっと、福博の融和と発展を裏で支え、見守る人だったんだろうな」マイヅル様も、今は心穏やかに、この福博の街を見守っているのだろうか。「福岡と博多の街の間を流れる那珂川に二つしか橋を架けないで、枡形門をつくったのも、街を分断するためじゃない。博多の昔ながらの文化を守るためだったんじゃないのかな」「今も、この福博の街ば守ってくれとるとやか?」並んで立ち、どちらからともなく、手を握り合った。もうマイヅル様の声は聞こえてこない。だけど、どこからか見守っているマイヅル様のあたたかさを、確かに感じた。

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連続ラジオ朗読劇『博多さっぱそうらん記』By RKBラジオ『博多さっぱそうらん記』