連続ラジオ朗読劇『博多さっぱそうらん記』

博多駅沈没!③姿を見せたマイヅル様「このままでは駅周辺が壊滅」と警告


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「争っとる場合ではなかぞ、カタハネ、ハンの者……。いや、フクハクたちよ」「フクハク」と呼びかけられて、カタハネとハンの者は、雷にでも打たれたように、その身を痙攣させた。「フクハク……? フクハク……。そうか、アタシらは……」空中で静止した傘鉾の下に、ホログラムの投影映像のような実体を持たない存在が出現した。「お前たちが一堂に会して、ようやっと、姿ば現すこつができた。お前たち、私ば見忘れたとか?」今まで「声」だけでしか接してこなかった人物の姿が、あからさまになった。そしてその胸には、九年前の住吉神社の歩射祭で放たれた「逆矢」が、深々と刺さったままだった。「おお、あなたは……! マイヅル様!」その姿に、まるで呪縛が解けたかのように、記憶がよみがえったようだ。カタハネとハンの者は、かつては「フクハク」として、マイヅル様を支えていたのだ。「驛長は、どんたく博多部封鎖によって蓄積された怨念ば、一気に博多駅に向けて、駅ば壊滅させるつもりたい。あの怨念の量は、四年前の駅前陥没の時の十倍はあるばい。あれば一気に向けられたら、博多駅どころか、駅周辺の繁華街一帯が壊滅してしまうばい」マイヅル様が、恐ろしい事実を告げた。

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