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「あそこに、怨念が集まっとるよ!」「あれは、ホームの柱じゃないか」確かに、三本の柱だけが存在せず、それを補うように、怨念の光がひときわ強く渦巻いて、ホームの屋根を支えていた。「あれって、博多駅ビルの屋上にある、三本の柱ってことやか?」だとしたら……。「あの、駅ビル屋上の三本の柱をここに持ってくれば、驛と柱が互いに引き合って、結界を破ることができるかもしれないな」カタハネとハンの者と共に、博多駅に向かった。だが、駅ビルに近づくことはできなかった。博多駅の周囲は、ぐずぐずと大地が崩れて泥濘の海と化し、駅ビルはゆっくりと沈み込もうとしていたのだ。「これじゃあ、駅に近づけんよ!」その時、二人を呼ぶ存在を感じた。それは……。「福岡大仏さん、助けてくれると?」福岡大仏は、穏やかな表情でかなめたちを見下ろすと、駅ビルを呑み込む泥濘の中に足を踏み出した。福岡大仏の背中に乗って、泥濘の「海」を渡る。駅ビルは三階まではすでに泥濘の中に沈み込み、かなめたちは、四階の窓にしがみついた。傾いた駅ビルの中を、階段を使って駆け昇る。屋上に置かれた旧博多驛のホームの柱は、支えるものを失った中途半端な姿のままだ。カタハネとハンの者たちが、柱を肩に担いだ。「アタシらが、旧博多驛まで飛んで、柱ば驛に戻すたい」
「あそこに、怨念が集まっとるよ!」「あれは、ホームの柱じゃないか」確かに、三本の柱だけが存在せず、それを補うように、怨念の光がひときわ強く渦巻いて、ホームの屋根を支えていた。「あれって、博多駅ビルの屋上にある、三本の柱ってことやか?」だとしたら……。「あの、駅ビル屋上の三本の柱をここに持ってくれば、驛と柱が互いに引き合って、結界を破ることができるかもしれないな」カタハネとハンの者と共に、博多駅に向かった。だが、駅ビルに近づくことはできなかった。博多駅の周囲は、ぐずぐずと大地が崩れて泥濘の海と化し、駅ビルはゆっくりと沈み込もうとしていたのだ。「これじゃあ、駅に近づけんよ!」その時、二人を呼ぶ存在を感じた。それは……。「福岡大仏さん、助けてくれると?」福岡大仏は、穏やかな表情でかなめたちを見下ろすと、駅ビルを呑み込む泥濘の中に足を踏み出した。福岡大仏の背中に乗って、泥濘の「海」を渡る。駅ビルは三階まではすでに泥濘の中に沈み込み、かなめたちは、四階の窓にしがみついた。傾いた駅ビルの中を、階段を使って駆け昇る。屋上に置かれた旧博多驛のホームの柱は、支えるものを失った中途半端な姿のままだ。カタハネとハンの者たちが、柱を肩に担いだ。「アタシらが、旧博多驛まで飛んで、柱ば驛に戻すたい」