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福岡大仏は、穏やかな表情でかなめたちを見下ろすと、駅ビルを呑み込む泥濘の中に足を踏み出した。カタハネやハンの者と共に、福岡大仏の背中に乗って、泥濘の「海」を渡る。駅ビルは三階まではすでに泥濘の中に沈み込み、かなめたちは、四階の窓にしがみついた。傾いた駅ビルの中を、階段を使って駆け昇る。屋上に置かれた旧博多驛のホームの柱は、支えるものを失った中途半端な姿のままだ。カタハネとハンの者たちが、柱の固定を外す。横倒しにした柱の右側にカタハネが、左側にハンの者が、それぞれ五体ずつ立ち、柱を肩に担いだ。そうして、それぞれの羽をゆっくりと動かし始めた。「よし、柱ば運ぶばい」柱が夜空へと舞い上がった。「あっ! 危ない!」駅ビル上空に暗く湧き上がった黒雲から、突然、雷が夜空を貫いた。雷は、ジグザグに光を落としながら、柱を持ち上げるフクハクたちを襲う。
福岡大仏は、穏やかな表情でかなめたちを見下ろすと、駅ビルを呑み込む泥濘の中に足を踏み出した。カタハネやハンの者と共に、福岡大仏の背中に乗って、泥濘の「海」を渡る。駅ビルは三階まではすでに泥濘の中に沈み込み、かなめたちは、四階の窓にしがみついた。傾いた駅ビルの中を、階段を使って駆け昇る。屋上に置かれた旧博多驛のホームの柱は、支えるものを失った中途半端な姿のままだ。カタハネとハンの者たちが、柱の固定を外す。横倒しにした柱の右側にカタハネが、左側にハンの者が、それぞれ五体ずつ立ち、柱を肩に担いだ。そうして、それぞれの羽をゆっくりと動かし始めた。「よし、柱ば運ぶばい」柱が夜空へと舞い上がった。「あっ! 危ない!」駅ビル上空に暗く湧き上がった黒雲から、突然、雷が夜空を貫いた。雷は、ジグザグに光を落としながら、柱を持ち上げるフクハクたちを襲う。