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駅ビル上空に暗く湧き上がった黒雲から、突然、雷が夜空を貫いた。雷は、ジグザグに光を落としながら、柱を持ち上げるフクハクたちを襲う。「この雷は、怨念の力だけじゃないのか?」博は、空を見透かすように見上げた。分厚い群雲の上で、誰かが、驛長の悪だくみに助太刀しているのだろうか。「雷……、悪だくみ……。そうたい! 博君。風神・雷神!」そう言われて、博もはっとしたように、空の雷を見上げた。「そうか! 博多に騒動を起こそうとしていた雷神が、驛長の甘言につられて、悪だくみに加担しているってことか」「雷神様の元締めと言ったら、道真公なんだけどな……」博が空を見上げてつぶやく。「菅原道真公やったら、雷神様ば抑えられると?」「道真公、道真公……。博多の町は、都から左遷された道真公が船で降り立った地だけに、道真公ゆかりの地がたくさんあるんだ。鏡天満宮は、やつれた姿を鏡に映した場所だし、あとは……」博のつぶやきを聞いて、かなめはひらめいた。「博君、鏡天満宮って、今も鏡が祀られとると?」
駅ビル上空に暗く湧き上がった黒雲から、突然、雷が夜空を貫いた。雷は、ジグザグに光を落としながら、柱を持ち上げるフクハクたちを襲う。「この雷は、怨念の力だけじゃないのか?」博は、空を見透かすように見上げた。分厚い群雲の上で、誰かが、驛長の悪だくみに助太刀しているのだろうか。「雷……、悪だくみ……。そうたい! 博君。風神・雷神!」そう言われて、博もはっとしたように、空の雷を見上げた。「そうか! 博多に騒動を起こそうとしていた雷神が、驛長の甘言につられて、悪だくみに加担しているってことか」「雷神様の元締めと言ったら、道真公なんだけどな……」博が空を見上げてつぶやく。「菅原道真公やったら、雷神様ば抑えられると?」「道真公、道真公……。博多の町は、都から左遷された道真公が船で降り立った地だけに、道真公ゆかりの地がたくさんあるんだ。鏡天満宮は、やつれた姿を鏡に映した場所だし、あとは……」博のつぶやきを聞いて、かなめはひらめいた。「博君、鏡天満宮って、今も鏡が祀られとると?」