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「博君、博多大水道って、どこば流れとったと?」「片方の出口は、博多川の、西門橋の少し上流のあたりだな」「それで……、もう一つの出口は?」そう尋ねると、博はかなめを見つめ、にやりと笑った。「博多リバレインの真下だ」「それってつまり、鏡天満宮のすぐそばってことやんね!」マイヅル様に傘鉾を借りて、二人は承天寺に向けて走った。承天寺の境内を抜けて、御笠川の岸に降りる。「よし、傘鉾を開くぞ」傘鉾を開いて、中に入る。博と手をつなぐと、マイヅル様の力が伝わってきた。布張りの隙間から、外の世界を見渡す。「これって……」さっきまであったビルやマンションは姿を消し、周囲は木造の住宅ばかりになっていた。「これが、明治の頃の博多の街なんだな」川岸には、木舟が幾艘も舫われていた。そのうちの一艘を拝借し、川を下る。やがて、川の側面に、幅二メートルほどのトンネル状の空間が、口を広げた。「あれが博多大水道の入口だ」
「博君、博多大水道って、どこば流れとったと?」「片方の出口は、博多川の、西門橋の少し上流のあたりだな」「それで……、もう一つの出口は?」そう尋ねると、博はかなめを見つめ、にやりと笑った。「博多リバレインの真下だ」「それってつまり、鏡天満宮のすぐそばってことやんね!」マイヅル様に傘鉾を借りて、二人は承天寺に向けて走った。承天寺の境内を抜けて、御笠川の岸に降りる。「よし、傘鉾を開くぞ」傘鉾を開いて、中に入る。博と手をつなぐと、マイヅル様の力が伝わってきた。布張りの隙間から、外の世界を見渡す。「これって……」さっきまであったビルやマンションは姿を消し、周囲は木造の住宅ばかりになっていた。「これが、明治の頃の博多の街なんだな」川岸には、木舟が幾艘も舫われていた。そのうちの一艘を拝借し、川を下る。やがて、川の側面に、幅二メートルほどのトンネル状の空間が、口を広げた。「あれが博多大水道の入口だ」