ヒダテン!ボイスドラマ

ボイスドラマ「君の中の僕へ」


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ある日突然心が入れ替わってしまった女子高生と教育実習の教師見習い。ジュブナイルSFの鉄板パターンをボイスドラマ化しました(CV:桑木栄美里)

・シュウ=高山市の高校にやってきた教育実習生(大学4年生)

・エミリ=高山市の高校に通う女子高生(高校3年生)

<ストーリー>

<エミリ> やっば〜い!また今日も遅刻しちゃう!

朝のラッシュ時に41号超えるんがアカンのやさ〜!(※ここだけ飛騨弁で)

しかも、結構坂長いし・・・

ごめんなさ〜い!どいてどいて〜!

SE〜衝撃音〜 SFっぽい音

<エミリ> いったぁ〜い!どこ見て走ってんの・・・え?

<シュウ> いてててて〜。ごめん、ごめん・・・あれ?

■同時に叫ぶ(=収録後に声を重ねる)

<エミリ> ワタシがいる!?

<シュウ> オ〜レがいる!?

<エミリ> なんで!?なんで!?なんで!?

なんであなたがワタシなの!?

<シュウ> そっちこそなんでオレの格好してるんだ!?

■同時に叫ぶ(=収録後に声を重ねる)

<エミリ> 入れ替わり〜!?

<シュウ> 入れ替わり〜!?

<シュウ> そんな!アニメじゃあるまいし!?

<エミリ> 君の名は〜!?

<シュウ> オ、オレはシュウ・・・って自己紹介してる場合じゃないだろう!

■学校のチャイム(遠くから聞こえてくる)※同時に叫ぶ

<エミリ> やっば〜い!学校始まっちゃう!また遅刻だぁ!

<シュウ> やっば〜い!学校始まっちゃう!初日なのに!

<エミリ> え、なに!?なに!?初日ってなに!?

<シュウ> だってオレ、今日から教育実習であの学校行くんだよ!

<エミリ> 教育実習の先生!?

<シュウ> 落ち着け、落ち着け!気を確かに!え〜っと!

<エミリ> まずは学校行かないと!

<シュウ> そうだ!急げ!でも、ちょっと待ったぁ!

<エミリ> なに!?

<シュウ> お互いどうする!?この姿で!

<エミリ> ん〜っと、じゃあ、私、職員室へ行くわ!

<シュウ> オ、オレはどうする!?

<エミリ> 3年4組行って!

<シュウ> な、名前は!?

<エミリ> 私の名前はエミリ!

<シュウ> そ、そうか、わかった!

<エミリ> 自転車は私のだから、乗ってくよ!

<シュウ> ちょっと待て〜!

<エミリ> 私、遅刻常習犯だから、廊下に立たされたらごめんねー!

<シュウ> 待てったら!お〜い!置いてくな〜!

<エミリ> がんばって!シュウ先生!

<シュウ> 順応性すげえな〜!

【シーン2/シュウの放課後】

■終業のチャイム〜教室の雑踏

<シュウ> あ〜、や〜っと終わった。

なんにも知らない状況で、6時限も授業受けるのってきついなあ。

それより、早く帰って、この状態を打破しなくては!

■LINEの着信音

ん?LINEか。

どうする?見ていいのか?個人情報だぞ。

でもあいつからだとスルーできないからな・・・

ほら、顔認証で開いちゃったし。

え〜っと・・・なになに?ユウ?・・・ってオトコか。

”この前の返事、遅くなってごめん。

実はオレ、いま付きあってるカノジョいるんだ”

え?

”でも、LINEとか今まで通りで、たまには映画とか行こうぜ”

はあ?

ざけんなっつーの。

こんなやつ抹消してやる、ブロックだ。

あ?しまった・・・これオレのLINEじゃなかったんだ。

あいつ・・・エミリになんて説明しよう・・・

【シーン3/エミリの放課後】

■終業のチャイム〜職員室の雑踏

<エミリ> おつかれさまでしたー!

終わった終わった。はよ家帰らんと〜。今日塾あったんだ・・・

って、あ!?

だめじゃん、この姿で家帰ったら、パパ卒倒しちゃう。

とにかくあいつ、シュウ先生を探さないと。

■スマホの着信音(バイブ)

ん?電話・・・?どうしよう・・・?

シュウ先生じゃないってバレちゃう・・・

ああああ!切ろうとして応答押しちゃった!

え〜っと、もしもし。

エミリ・・・じゃなくて、はい。シュウです。

え?ヒナタ?だれ?・・・って、だれじゃなくて・・・

ヒ、ヒナタか。どうしたの?いや、どうしたんだ?

なんだ、言ってみろよ。

電話してきたんだろ。

なに?転勤!?ニューヨーク!?

ちょっと待った?そのまえに・・・オレたち、どういう関係だったっけ?

え?いや、違くて・・・これ皮肉じゃなくて・・・

フィアンセ〜!?え〜!

じゃあ、マジもう会えないってことじゃん。

いやいやフツーだって。こういう喋り方なんだって。今日から。

で、どうすんだよ?

一緒にニューヨーク!?

それ、ムズくない?だって私、今日からしばらく学校で教育実習なのに。

え?だからーこういう喋り方なんだって。

いまちょっと心が入れ替わり・・・いや動転してるから

治ってから話さないか?

え〜!!来月から行くの〜!?

シュウに伝えないと・・・

いや、だから、シュウはオレだけど、私じゃないから・・・

あ〜もう!一回切るから!

・・・ふう〜っ・・・どうしよう・・・シュウ先生になんて伝えよう・・・

【シーン4/帰り道】

■国道沿の雑踏

<シュウ> お〜い!

<エミリ> あ、シュウ先生。

<シュウ> やっと見つけたぞ。職員室から解放されたな。

<エミリ> うん、でも、私、先生に言わなきゃいけないことがある。

<シュウ> え、オレもおまえに伝えることが。

<エミリ> え、なに?

<シュウ> いや、おまえから言えよ。

<エミリ> わかった。え〜っと、あのね。さっき職員室でたら電話が鳴ったの。

<シュウ> 電話?まさか、とってないよな。個人情報だぞ。

<エミリ> だって、スルーしようとしたら、応答ボタン押しちゃったんだもん。

<シュウ> なに〜?で、誰から?

<エミリ> ヒナタってひと。

<シュウ> え?ヒナタ?しゃ、しゃっべったのか?

<エミリ> だって・・・無視したらシュウ先生があとで困ると思って。

<シュウ> はぁ〜。で、なんて?

<エミリ> あのね・・・

<シュウ> なんだ、早く言えよ。

<エミリ> あの・・・来月からニューヨーク行っちゃうんだって!

<シュウ> なんだって!?

<エミリ> 早く止めないと。

<シュウ> ・・・。

<エミリ> ねえ、どうしたの?ねえってば!

<シュウ> ・・・わかってたんだよ。

<エミリ> え?

<シュウ> オレが教育実習で高山にくる前から知ってたんだ。

<エミリ> そんな・・・

<シュウ> 海外勤務がヒナタの夢だったからな。オレには止められない。

<エミリ> でも・・・

<シュウ> いいんだ。代わりに聞いてくれてありがとう。

<エミリ> わかった・・・

シュウ先生の話って?

<シュウ> ああ、そうか。そうだったな・・・

<エミリ> なに?

<シュウ> ユウってやつ、知ってるか?

<エミリ> 知ってる・・・

<シュウ> LINEがきて・・・

<エミリ> え!見せて!?

<シュウ> いや、それが、間違って消しちゃったんだ・・・

<エミリ> なんでー!?ひょっとして中身見たの!?

<シュウ> ああ・・・

<エミリ> ちょっ・・・サイテー!

<シュウ> いや、ごめん。見るつもりなんてなかったけど、顔認証で開いちゃったんだ。

<エミリ> 私みたいな言い訳しないで!

<シュウ> ごめん・・・

<エミリ> で・・・、なんて言ってたの?

<シュウ> いま付きあってるカノジョがいるんだって。

<エミリ> そう・・・

<シュウ> なあ、悪かったよ。勝手に見て、勝手に消して。

<エミリ> もういい・・・

<シュウ> それより、オレたちのこと、なんとかしないと。

<エミリ> こんなん、もうやだ!

<シュウ> おい、待て!自転車で車道出たら危ないって!!待て〜!

■急ブレーキの音

【シーン5/病院】

<シュウ> 気がついたか?

<エミリ> あ・・・

<シュウ> オレが咄嗟に抱き抱えて受け身をとらなきゃホントに車にひかれてたぞ。

<エミリ> あれ?シュウ先生・・・?

<シュウ> そう。オレがオレだ。

<エミリ> 私も・・・私・・・?

<シュウ> マンガみたいだけど、事故の衝撃で元に戻ったみたいだ。

<エミリ> マンガじゃなくてボイスドラマ・・・

<シュウ> そんなことより、記憶とか大丈夫か。CTでは異常なかったけど・・・

<エミリ> 大丈夫。覚えてる。でも、嫌なことは全部忘れちゃった。

<シュウ> そうか。

<エミリ> シュウ先生って、こんなにカッコよかったんだ。

<シュウ> なにバカなこと言ってる!

<エミリ> もっと鏡じっくり見ておけばよかった。

<シュウ> なに言ってんだ。

実はオレもな、冷静になって考えたんだよ。

<エミリ> え?

<シュウ> ちゃんと笑顔でヒナタを見送ろうって。

<エミリ> そっかぁ。

<シュウ> 入れ替わったのは、お互いに大事なことを知らせるためだったのかもな。

<エミリ> うん。これからは私、シュウ先生しか目に入らないから!

<シュウ> なにバカなこと言ってる・・・
<エミリ> ばかじゃない、本気だもん。君の中の僕へ、思い届けるから〜!

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ヒダテン!ボイスドラマBy Ks(ケイ)、湯浅一敏、飛騨・高山観光コンベンション協会