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原油価格や地政学的要因によりボラティリティが高まっているものの、投資家は2026年も引き続き積極的な姿勢を維持すべきだと考えられる理由を弊社チーフ・クロスアセット・ストラテジストのセリーナ・タンがご説明します。
このエピソードを英語で聴く。
トランスクリプト
市場の風を読む」(Thoughts on the Market)へようこそ。このポッドキャストでは、最近の金融市場動向に関するモルガン・スタンレーの考察をお届けします。
本日は弊社チーフ・クロスアセット・ストラテジストのセリーナ・タンが、世界の各地域と資産クラスの弊社中間見通しについてお話しします。
このエピソードは5月15日 にニューヨークにて収録されたものです。
英語でお聞きになりたい方は、概要欄に記載しているURLをクリックしてください。
ガソリンスタンドの価格表示を見て戸惑ったり、航空券の予約をためらったり、また確定拠出型年金「401(k)プラン」の残高をチェックすることが普段より少し多くなっていたりしたら、それはもう、今の市場を動かしている力が何であるかをわかっていらっしゃる証拠です。エネルギーの価格と地政学の動きは今、正真正銘の不確実性を作り出しています。しかしその不確実性という覆いをめくれば、企業がまだ投資を行っていること、企業業績も持ちこたえていること、そしてAIが世界経済で最大級の設備投資サイクルになりつつあることが分かります。
2026年の後半に向けて弊社が、前向きだが、油断は禁物だというメッセージを発しているのはそのためです。
「前向きに」の部分から見ていきましょう。市場全体でみれば、ファンダメンタルズ(基礎的条件)はマクロもミクロもリスク資産を下支えしています。米国の経済成長も持ちこたえる公算が大きいでしょう。
投資家にとってこのことはコア債券よりも株式を、そして先進国株式――とりわけ米国株式――を選好することを意味します。弊社の米国株ストラテジストによるS&P500種株価指数の2027年半ばの目標は8300で、これを支える予想増益率は2026年が23%、2027年が12%となっています。今の相場の勢いは業績の改善がもたらしているのです。
印象的なデータをひとつご紹介しましょう。S&P500指数構成銘柄を、第1四半期利益の市場予想に対する実際の利益の比率が高い順に並べ直したところ、その中間に位置する企業の値はプラス6%になりました。これは4年ぶりの大きな値です。また、会社側の業績見通し引き上げの流れも急速な広がりを見せました。
この強さは、大部分がAIで説明されます。AIは設備投資のテーマになっていますが、最近ではますますクレジット市場のテーマにもなってきています。弊社は1年前、トップクラスのハイパースケーラーによる設備投資の合計額を、2026年と2027年のそれぞれで4500億ドルと予想していました。しかし今では、2026年をおよそ8000億ドル、2027年を1兆1600億ドルにそれぞれ上方修正しています。AIインフラ、すなわちデータセンターや電力、半導体、ネットワークといった分野は今後数年間、株式やクレジット、金利、さらにはコモディティの相場を形作ることになるでしょう。しかし、ここで弊社のメッセージの後半、すなわち「油断は禁物」が重要になってきます。
AIブームには別の側面があります。データセンターの建設、半導体の製造、そして電源システムやネットワークの構築には多額の投資が必要です。企業がそのすべてを手持ちの現金で賄うことはないでしょう。多くが借り入れを行います。したがって社債が、特に米国の優良企業の社債がこれまで以上に市場に供給されることでしょう。すると、こうした企業の財務がたとえ健全に見えるとしても、投資対象になり得る新発の社債がそれほど多くなれば、投資家はこれまでよりも有利な条件を求めてくるかもしれません。したがって、AIは企業業績を下支えする一方で、クレジット市場にはいくらか圧力をもたらす恐れがあるのです。
エネルギー価格も大きなリスクを突き付けています。弊社の基本シナリオは、紛争はエスカレートせずにホルムズ海峡が徐々に再開されることを想定していますが、これから生じうる展開は異例なほど多種多様であるように思われます。弊社の見通しでは、原油価格と、中東からの供給ショックの長さが唯一最大の変数です。原油の値上がりは消費者にも企業にも、事実上の税金のような影響をもたらします。
以上の理由から弊社では、リスクオンに傾きつつもバランスの取れた資金配分を推奨しています。株式をオーバーウエイト、コア債券をアンダーウエイト、そしてそのほかの債券、コモディティ、キャッシュはベンチマークのウエイトを維持するという内訳です。株式については、弊社では米国株を選好します。企業業績が好調に見えることと、リスク・リワードがほかの地域の株式よりも良好だと思われるためです。欧州株と日本株にも上昇余地がありますが、欧州はエネルギーの混乱の影響を比較的受けやすいと言えます。一方新興国については、一部で強さが見られるものの、市場全体を下支えする材料がマクロとミクロの両面で乏しい状況です。
こうしたことはすべて、まだサイクルが終点に到着していないことを示しています。ただこの先の道のりは数ヵ月前の想定よりも起伏が多く、幅が狭く、エネルギー情勢にも影響されやすくなっているように思われます。
最後までお聴きいただきありがとうございました。今回も「市場の風を読む」Thoughts on the Market 、お楽しみいただけたでしょうか?もしよろしければ、この番組について、ご友人や同僚の皆さんにもシェアいただけますと幸いです。
By Morgan Stanley原油価格や地政学的要因によりボラティリティが高まっているものの、投資家は2026年も引き続き積極的な姿勢を維持すべきだと考えられる理由を弊社チーフ・クロスアセット・ストラテジストのセリーナ・タンがご説明します。
このエピソードを英語で聴く。
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市場の風を読む」(Thoughts on the Market)へようこそ。このポッドキャストでは、最近の金融市場動向に関するモルガン・スタンレーの考察をお届けします。
本日は弊社チーフ・クロスアセット・ストラテジストのセリーナ・タンが、世界の各地域と資産クラスの弊社中間見通しについてお話しします。
このエピソードは5月15日 にニューヨークにて収録されたものです。
英語でお聞きになりたい方は、概要欄に記載しているURLをクリックしてください。
ガソリンスタンドの価格表示を見て戸惑ったり、航空券の予約をためらったり、また確定拠出型年金「401(k)プラン」の残高をチェックすることが普段より少し多くなっていたりしたら、それはもう、今の市場を動かしている力が何であるかをわかっていらっしゃる証拠です。エネルギーの価格と地政学の動きは今、正真正銘の不確実性を作り出しています。しかしその不確実性という覆いをめくれば、企業がまだ投資を行っていること、企業業績も持ちこたえていること、そしてAIが世界経済で最大級の設備投資サイクルになりつつあることが分かります。
2026年の後半に向けて弊社が、前向きだが、油断は禁物だというメッセージを発しているのはそのためです。
「前向きに」の部分から見ていきましょう。市場全体でみれば、ファンダメンタルズ(基礎的条件)はマクロもミクロもリスク資産を下支えしています。米国の経済成長も持ちこたえる公算が大きいでしょう。
投資家にとってこのことはコア債券よりも株式を、そして先進国株式――とりわけ米国株式――を選好することを意味します。弊社の米国株ストラテジストによるS&P500種株価指数の2027年半ばの目標は8300で、これを支える予想増益率は2026年が23%、2027年が12%となっています。今の相場の勢いは業績の改善がもたらしているのです。
印象的なデータをひとつご紹介しましょう。S&P500指数構成銘柄を、第1四半期利益の市場予想に対する実際の利益の比率が高い順に並べ直したところ、その中間に位置する企業の値はプラス6%になりました。これは4年ぶりの大きな値です。また、会社側の業績見通し引き上げの流れも急速な広がりを見せました。
この強さは、大部分がAIで説明されます。AIは設備投資のテーマになっていますが、最近ではますますクレジット市場のテーマにもなってきています。弊社は1年前、トップクラスのハイパースケーラーによる設備投資の合計額を、2026年と2027年のそれぞれで4500億ドルと予想していました。しかし今では、2026年をおよそ8000億ドル、2027年を1兆1600億ドルにそれぞれ上方修正しています。AIインフラ、すなわちデータセンターや電力、半導体、ネットワークといった分野は今後数年間、株式やクレジット、金利、さらにはコモディティの相場を形作ることになるでしょう。しかし、ここで弊社のメッセージの後半、すなわち「油断は禁物」が重要になってきます。
AIブームには別の側面があります。データセンターの建設、半導体の製造、そして電源システムやネットワークの構築には多額の投資が必要です。企業がそのすべてを手持ちの現金で賄うことはないでしょう。多くが借り入れを行います。したがって社債が、特に米国の優良企業の社債がこれまで以上に市場に供給されることでしょう。すると、こうした企業の財務がたとえ健全に見えるとしても、投資対象になり得る新発の社債がそれほど多くなれば、投資家はこれまでよりも有利な条件を求めてくるかもしれません。したがって、AIは企業業績を下支えする一方で、クレジット市場にはいくらか圧力をもたらす恐れがあるのです。
エネルギー価格も大きなリスクを突き付けています。弊社の基本シナリオは、紛争はエスカレートせずにホルムズ海峡が徐々に再開されることを想定していますが、これから生じうる展開は異例なほど多種多様であるように思われます。弊社の見通しでは、原油価格と、中東からの供給ショックの長さが唯一最大の変数です。原油の値上がりは消費者にも企業にも、事実上の税金のような影響をもたらします。
以上の理由から弊社では、リスクオンに傾きつつもバランスの取れた資金配分を推奨しています。株式をオーバーウエイト、コア債券をアンダーウエイト、そしてそのほかの債券、コモディティ、キャッシュはベンチマークのウエイトを維持するという内訳です。株式については、弊社では米国株を選好します。企業業績が好調に見えることと、リスク・リワードがほかの地域の株式よりも良好だと思われるためです。欧州株と日本株にも上昇余地がありますが、欧州はエネルギーの混乱の影響を比較的受けやすいと言えます。一方新興国については、一部で強さが見られるものの、市場全体を下支えする材料がマクロとミクロの両面で乏しい状況です。
こうしたことはすべて、まだサイクルが終点に到着していないことを示しています。ただこの先の道のりは数ヵ月前の想定よりも起伏が多く、幅が狭く、エネルギー情勢にも影響されやすくなっているように思われます。
最後までお聴きいただきありがとうございました。今回も「市場の風を読む」Thoughts on the Market 、お楽しみいただけたでしょうか?もしよろしければ、この番組について、ご友人や同僚の皆さんにもシェアいただけますと幸いです。