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不明熱


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Fever of unknown origin

BMJ 2025;388:e080847

不明熱(FUO)は、免疫正常な患者において38.3℃以上の発熱が3週間以上続き、推奨される最小限の検査(血液検査、微生物学検査、画像検査)を行っても診断がつかない臨床症候群と定義される。近年の定義改定では、免疫不全患者は診断・治療のアプローチが異なるため除外されている。

原因は主に、感染症、非感染性炎症性疾患、腫瘍、その他の疾患、および診断不明の5つのカテゴリーに分類される。これらは地理的領域や患者の年齢によって異なり、例えば低・中所得国では感染症が多く、高所得国では非感染性炎症性疾患の割合が高い傾向にある。重要な点は、不明熱の多くは稀な疾患ではなく、一般的な疾患の非典型的な現れであるということである。

診断の基本は、旅行歴や職業歴を含む包括的な病歴聴取と身体診察である。これらから得られる潜在的な診断の手がかり(PDCs)に基づいて検査を進める。最小限の標準検査には、血算、炎症反応(CRP、赤沈)、フェリチン、自己抗体、培養検査、HIV検査、結核検査、および胸腹部の画像診断が含まれる。画像診断では、18FDG-PET/CTが84〜98%という高い診断率を示し、特に炎症部位の特定に有用である。

管理面では、特定の診断がつくまで原則として経験的な治療(抗菌薬やステロイドの投与)を控えることが推奨される。非特異的な治療は診断を遅らせる可能性があるためである。ただし、敗血症が疑われる場合や、視力喪失のリスクがある巨細胞性動脈炎、結核の疑いが極めて強い場合などは例外的に早期治療を検討する。一般外来での評価で診断がつかない場合は、専門医への早期紹介が推奨される。

  • 内的妥当性本論文は、2024年のデルファイ法を用いた国際的なコンセンサス勧告に基づいており、専門家の知見が高レベルで集約されている。しかし、不明熱の定義自体が歴史的に専門家の合意に依存しており、すべての患者に適用可能な単一の客観的な基準が確立されているわけではない。また、引用されているPDCs(潜在的な診断の手がかり)の有用性については、先行研究によって誤解を招く割合(19.0%〜81.0%)に大きな開きがあり、臨床現場での判断には慎重さが求められる。
  • 外的妥当性世界保健機関(WHO)の地域別に原因疾患の統計を提示しており、地理的な多様性を考慮した構成となっている。一方で、推奨される18FDG-PET/CTや次世代シーケンシング(mNGS)などの高度な診断技術は、高コストであることや利用可能な施設が限られていることから、リソースの乏しい地域や小規模な医療機関では、本論文のアルゴリズムをそのまま適用することが困難な場合がある。また、免疫正常な成人に焦点を当てているため、小児や高齢者、免疫不全者への適用には別途検討が必要である。

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ER/ICU RadioBy deepER