小山ナザレン教会

沈黙の中に喜びの知らせ(稲葉基嗣) – ルカ 1:1–25


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2024年12月1日 待降節第1主日

説教題:沈黙の中に喜びの知らせ

聖書: ルカによる福音書 1:1–25、ゼカリヤ書 2:14–17、詩編 39、コリントの信徒への手紙 一 1:3–9

説教者:稲葉基嗣

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祭司ザカリアにとって、その日は、とても喜ばしい日となりました。 くじに当たり、祭壇の前でお香をたく役割が与えられたからです。祭司にとってこの役割は、一生の間にたった1度しか経験できないものでした。ザカリアは、決められた通りにお香をたき、ひれ伏して、神に祈ります。あとは神殿の外で祈っている仲間たちのもとへ行って、彼らを祝福するのみです。残念ながら、ザカリアは祝福の言葉を人びとに伝えることができませんでした。神殿を後にするその前に、ガブリエルという名の天使が彼の前に現れたからです。  「恐れることはない。 ザカリア、あなたの祈りは聞き入れられた。」(15節)一体、どのような祈りが神に聞き入れられたのでしょうか?救い主メシアが現れる前に、そのメシアの為に道を備えるような人物が、ゼカリアのもとに産まれると天使は伝えました。天使の言葉は、ユダヤ人たちの祈りが聞かれたことをゼカリアに伝えるものでした。けれども、ゼカリアは喜ばしいものとは受け止められず、信じられませんでした。その結果、天使はゼカリアの口を閉ざし、彼は沈黙を強いられました。彼の沈黙は、彼ら夫婦のもとに子どもが産まれるその日まで続きました。その長い長い沈黙は、天使を通して与えられた神の約束を心で深く受け止めるために、ザカリアにとって必要な時間だったのかもしれません。沈黙を強いられたからこそ、ゼカリアは神の言葉に耳を傾けました。そうやって、時間をかけて、彼の心に喜びが浸透していったのでしょう。けれども、神は、最終的に、ゼカリアを沈黙させたままではいさせませんでした。子どもにヨハネという名がつけられたとき、彼の沈黙は破られ、彼は神への賛美を歌い始めます(63–64節)。現実の格差の広がりや、宗教的な腐敗がある中で、将来に希望を見いだせず、言葉を失い、沈黙してしまう現実の中に、救い主メシアが訪れて、その沈黙を打ち破ってくださる。洗礼者ヨハネの存在がまさに、その前触れとなりました。ザカリアが経験したこととは、また違う形で、私たちもまた、日頃、口を閉ざしてしまうことがあります。けれども、神はその沈黙の中からでも、新しいことを行うことが出来る方です。私たちが口を閉ざさざるを得ないとき、神は、立ち上がってくださる方です。この世界では、爆撃の音が鳴り響き、小さな声が簡単に黙殺されています。そんな世界にわたしたちは生きているからこそ、キリストがこの世界の沈黙を打ち破り、喜びと平和をもたらしてくださることをわたしたちは待ち望んでいます。この世界が沈黙するところに、キリストにある喜びや平和がおとずれますように。

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