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CKD


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1.論文のタイトルChronic kidney disease

2.CitationLancet 2026; 407: 90–104

3.論文内容のまとめ慢性腎臓病(CKD)は、腎臓の構造または機能の異常が3か月以上持続し、健康に影響を及ぼす状態と定義されます。世界全体で約8億5000万人の患者がいると推定され、2050年までに世界の死因の第5位になると予測されています。CKD患者は腎不全に至るリスクだけでなく、心血管疾患の発症やそれによる早期死亡のリスクが非常に高いことが特徴です。

診断とステージングには、血清クレアチニンやシスタチンCから算出される推算糸球体濾過量(eGFR)と、尿中アルブミン・クレアチニン比(uACR)という簡便な検査が用いられます。KDIGO(腎臓病:改善すべき世界的予後)は、原因(C)、GFR区分(G)、アルブミン尿区分(A)に基づくCGA分類を推奨しています。

治療面では、2019年以降の臨床試験により、腎機能の低下を抑え心血管リスクを軽減する効果的な薬物療法が確立されました。現在の標準治療として推奨される「4つの核心的な介入」は、SGLT2阻害薬、RAS阻害薬(ACE阻害薬またはARB)、スタチン、および厳格な血圧管理(130/80 mmHg未満、容認されれば収縮期120 mmHg未満)です。さらに、2型糖尿病を合併するCKD患者には、GLP-1受容体作動薬(セマグルチドなど)や非ステロイド型ミネラルコルチコイド受容体拮抗薬(フィネレノン)の併用が検討されます。

世界保健機関(WHO)は2025年に腎臓の健康推進に関する決議を採択しており、低・中所得国を含む世界中での早期発見と、費用対効果の高い治療の普及が、CKDによる世界的な負担を軽減するために不可欠であるとされています。

4.批判的吟味内的妥当性本論文は「Seminar」という形式の総説であり、MEDLINEを用いた広範な文献検索に基づいています。特に、KDIGOなどの国際的な診療ガイドラインや、直近5年間に発表された影響力の高いランダム化比較試験(RCT)、メタ解析の結果を統合して構成されています。著者はKDIGOの共同議長を含む専門家であり、エビデンスの解釈の信頼性は高いと考えられます。一方で、系統的レビュー(Systematic Review)のような厳密な手法による網羅的なデータ統合ではないため、選択された文献のバイアスの影響を完全に排除することは困難です。

外的妥当性本論文で示された治療戦略は、多くの大規模RCT(EMPA-KIDNEY、FLOW試験など)に基づいているため、一般的なCKD患者に対する普遍性は高いと言えます。しかし、低所得国における透析や移植といった腎代替療法のアクセスには依然として大きな格差があることが指摘されています。また、SGLT2阻害薬やGLP-1受容体作動薬などの最新治療の費用対効果は地域によって異なる可能性があり、すべての医療資源設定において即座に同じ基準のケアを提供できるわけではないという現実的な制約も考慮する必要があります。

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ER/ICU RadioBy deepER