徒手空拳日記

ダメ人間だもの


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徒手空拳日記。
2023年3月14日火曜日。
ほんとうに幸福な姿は、淋しさに似ているのかもしれない。と書いたのは深沢七郎ですが、漂泊のなかにおのれをおいて、それでもただ生きている、その寄る辺なさのなかに、実は幸せはあるのかもしれません。寄る辺のないおのれの健在を確認することは、幸せというよりは安らかさです。漂泊とは、なにかをすることではなく、社会において重要だと考えられている常識が、できないことなのです。つまり、漂泊とは、can do ではなく、can not do の状態なのです。
よって、芭蕉の「漂泊のおもひやまず」は、目の前のうつつから逃げて、己のだめさに身を任せたい、という気持ちだろうと思います。
昭和の頃は、なんだかんだいっても国全体が成長していたので、漂泊なんていうと、酒場放浪記の吉田類のような、しょうもないアウトローやローンウルフのかっこよさとか、小賢しい思想性、偉そうな哲学、アーティストづらなどの、どこか知的なイメージさえ持っていましたが、そういった、セルフブランディングのウソ八百が剥がれて、令和の漂泊とは、ダメ人間のセルフネグレクトという、本来の世捨てびとイメージに戻ってきました。ホンモノの漂白者に一番近いのは、田代まさしです。
田代まさし以外には、団地でひとり死んでいく高齢者なども、漂泊者です。NHKや朝日新聞のメガネで世界を見ると、彼らはやたらかわいそうな無縁の人なんですが、当の御本人どもは、can not do、もうだめだという気持ちで生きているだけのことです。
NHKや朝日新聞は、頭のおかしなcan do anythingの権化ですから、老人にいまさらスマホの使い方を教える番組とか、老人しか投稿してこない読者欄とか、そんなもので時間や空間を埋めているわけです。天声人語の無責任極まりない枕みたいなものを、漂泊だと勘違いしているアホな中高年は、ノーマスクのエアロゾルでこれからばんばん死んでいくだろうなと思います。お墓で聞こえないと思うが、ほんとに悔しいです。ザーメン。
超高齢化社会とは、生きる屍のワンダーランド、酒場放浪するカネもないので、自宅でトップバリュの焼酎やウイスキーでひとりでに壊れていく、セルフネグレクト社会となります。ペットを安いデジタルカメラで遠隔監視するように、漂泊者もデジタル監視され、動かなくなるとすぐに感知され、自動で焼かれて骨になるので、安心してセルフネグレクトできる時代になります。
本日は以上です。ありがとうございました。
ひとの行く裏に道あり花の山
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