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※ビデオポッドキャスト(動画視聴はSptify)
【一枚の写真に宿る物語】
「風のない朝に出逢えた重なり」#01
これは、ある朝の森の中で起きた、小さな物語。
その朝、僕は見知らぬ土地にいた。
どこに行こうかと空に目をやると、空は淡い青。
風の気配はなく、葉も水も、何ひとつ揺れていなかった。いい朝だった。そしてただの思いつきで車を走らせた。
そのただの思いつきに従ってみたくなった。
車を走らせ、山の奥へと奥へと向かう。
森に囲まれた細い道を抜け、いつか誰かに教えてもらった小さな泉へ辿り着いた。
そこはまるで、時が止まってしまったかのようだった。
森は静まりかえり、泉は鏡のように滑らかで、空と木々と雲をくっきりと映していた。
その水面の中に、ひとつの鳥居が、まるでそこに“もうひとつの世界”があるかのように、佇んでいた。
音がない。風もない。ただ、あるのは「在る」という存在感。
静寂の中に立つ鳥居は、誰の祈りを受け止めてきたのだろう。
僕はそっとカメラを構えた。
でも、レンズ越しに覗くその風景は、撮るという行為を拒むようでもあった。
「これは、記録ではなく、感じるものだ」そんな声が、胸のどこかから聞こえてきた気がした。
この瞬間を切り撮ることに意味はあるのか?
でも、たとえほんの一片でも、この澄んだ世界を誰かに伝えることができたなら . . .
それは、たぶん、写真家を目指すものに与えられた役割のひとつなのだと思った。
僕は、静かにシャッターを切った。
その一瞬、鳥居が、森が、空が、湖が、まるで僕に語りかけてくれたようだった。
「ようこそ。」っと。風のない朝。
何も特別なことは起きていないのに、心の奥に何かが染み込んでいく。
それはきっと、“自然”と“神聖”が、ほんの一瞬、重なり合った証だったのかもしれない。
今日も、また写真を撮りに行こう。
何かを撮るためではなく、何かと重なるために . . .
※ビデオポッドキャスト(動画視聴はSptify)
【一枚の写真に宿る物語】
「風のない朝に出逢えた重なり」#01
これは、ある朝の森の中で起きた、小さな物語。
その朝、僕は見知らぬ土地にいた。
どこに行こうかと空に目をやると、空は淡い青。
風の気配はなく、葉も水も、何ひとつ揺れていなかった。いい朝だった。そしてただの思いつきで車を走らせた。
そのただの思いつきに従ってみたくなった。
車を走らせ、山の奥へと奥へと向かう。
森に囲まれた細い道を抜け、いつか誰かに教えてもらった小さな泉へ辿り着いた。
そこはまるで、時が止まってしまったかのようだった。
森は静まりかえり、泉は鏡のように滑らかで、空と木々と雲をくっきりと映していた。
その水面の中に、ひとつの鳥居が、まるでそこに“もうひとつの世界”があるかのように、佇んでいた。
音がない。風もない。ただ、あるのは「在る」という存在感。
静寂の中に立つ鳥居は、誰の祈りを受け止めてきたのだろう。
僕はそっとカメラを構えた。
でも、レンズ越しに覗くその風景は、撮るという行為を拒むようでもあった。
「これは、記録ではなく、感じるものだ」そんな声が、胸のどこかから聞こえてきた気がした。
この瞬間を切り撮ることに意味はあるのか?
でも、たとえほんの一片でも、この澄んだ世界を誰かに伝えることができたなら . . .
それは、たぶん、写真家を目指すものに与えられた役割のひとつなのだと思った。
僕は、静かにシャッターを切った。
その一瞬、鳥居が、森が、空が、湖が、まるで僕に語りかけてくれたようだった。
「ようこそ。」っと。風のない朝。
何も特別なことは起きていないのに、心の奥に何かが染み込んでいく。
それはきっと、“自然”と“神聖”が、ほんの一瞬、重なり合った証だったのかもしれない。
今日も、また写真を撮りに行こう。
何かを撮るためではなく、何かと重なるために . . .