市場の風を読む

調整は終わったのか?


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弊社の最高投資責任者兼米国チーフ株式ストラテジストのマイク・ウィルソンが、今回の株式市場の急落と、反騰が期待できるかどうかについて解説します。

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「市場の風を読む」(Thoughts on the Market)へようこそ。このポッドキャストでは、最近の金融市場動向に関するモルガン・スタンレーの考察をお届けします。

最高投資責任者兼米国チーフ株式ストラテジストのマイク・ウィルソン.

今回は、最高投資責任者兼米国チーフ株式ストラテジストのマイク・ウィルソンが、最近の株式市場の調整と次に何が予想されるかについて解説します。

このエピソードは3月17日 にニューヨークにて収録されたものです。

英語でお聞きになりたい方は、概要欄に記載しているURLをクリックしてください。

米国の主な株価指数は、2022年以降で最も大幅な売られ過ぎになっています。センチメントやポジショニングの指標は弱気になっており、業績修正や株価の季節要因による改善は3月後半に入ってからとなります。さらに、このところのドル安は、特に4Q決算と比較すると、1Q決算発表シーズンと2Qガイダンスの追い風になるはずです。また、金利の低下は景気の上振れに寄与すると見られます。要約すると、最も大きく売り浴びた、よりクオリティが低く、ベータ値が高い銘柄が先行する上昇局面では、S&P 500が5,500ポイントの水準がサポートになるとの弊社見解を私も支持しています。このラリーは3月14日に始まったように見受けられます。

より重要な疑問は、こうした上昇がより持続力のあるものとなって、年初来のボラティリティに終止符が打たれるのかどうかです。簡単に言ってしまえば、恐らくそうはならないでしょう。

第1に、テクニカルの視点で見ると、主な株価指数は大きなダメージを受けています。それは、去年 昨年夏のような、10%の調整より大きいものです。より具体的には、S&P 500、NASDAQ 100、Russell 1000のグロースおよびバリュー・インデックスは、軒並みそれぞれの200日移動平均を一気に下回っており、200日移動平均は支持線ではなく、抵抗線になっています。その一方で、多くの銘柄に20%近い調整が入っており、よりクオリティが低いRussell 2000は2022年の弱気相場以降で初めて200週移動平均を割り込んでいます。少なくとも、こうしたテクニカルなダメージを修復するには、株価指数のレベルでさらなる下落がない場合でも、時間がかかると見られます。

より広範な持続的回復を予測するためには、今回の調整の真の原因を認識することが重要です。筆者と機関投資家との会話に基づくと、新政権による関税やその他の矢継ぎ早に発表される政策が大いに注目されているようです。こうした要因はセンチメントや信頼感の重石になっていますが、今回の調整は12月に他の要因によって始まりました。

弊社の向こう1年の見通しでは、いくつかの理由から今年前半はより苦戦すると予想しました。第1に、バリュエーションの面でも、12月初めがピークとなった業績修正など主なマクロ経済とファンダメンタルズのドライバーと比較しても、株価は無理な水準にありました。第2に、FRBはそれまでの3ヵ月間に100ベーシスポイントの積極的な利下げを実施した後、12月半ばに金利を据え置きました。第3に、今年はAI向け設備投資の伸びが減速すると弊社は予想していました たが、今後投資家はDeepSeekを巡る展開も考慮する必要があります。さらに移民法の執行、政府効率化省(DOGEドージ)の予想を上回る施策、そして関税を考慮すると、成長に対する期待がマルチプル低下という形で株式に痛手を与えているのも意外ではありません。

 既に述べたように、12月に弊社はこうした景気に対する逆風に注目し、2025年前半のS&P 500のレンジを5500から6100ポイントとして、クオリティの高い大型株を選好してきました。加えて、最近になってトランプ大統領は、目先、自身の政策とアジェンダの指標としては株式市場を重視していないと示唆しました。恐らく他の何よりもこのことが直近のS&P 500のテクニカル指標の崩壊につながったと見られます。

トレーディングが可能なラリー以上のものになるためには、単なる売られ過ぎ以外の条件が必要と見られます。業績修正は最も重要な変数であり、ある程度季節要因による力強さや下げ止まりが見られる可能性はありますが、業績修正の上昇トレンドが再開するのは数四半期先になると弊社は考えています。弊社の見通しで述べたように、減税、規制緩和、クラウディングアウトの抑制、利回りの低下といった成長に好影響を与える政策変更は、今年後半も押し迫ってから実現する可能性があります。しかし、現在の株式市場が織り込むのは早過ぎると思います。

最後に、トランプ・プットは存在しないようですが、FRBプットは健在であると弊社は見ています。しかし、そのためには、労働市場をはじめとする経済成長か、クレジットや資金調達市場の状況が悪化する必要があるでしょう。いずれにしても、当初は株価にとってプラスになりません。

 結局、弊社の目標レンジの底である5500ポイントからの短期的な上昇は、3月14日金曜日の値動きを受けたものである公算が強まっています。加えて、今回の上昇では、よりクオリティが低い銘柄が先行しています。このことは、成長に対する無数の逆風が反転するか、金融政策が再び緩和されるまでは、現在のラリーが高値の更新につながるとは考え難いと見る筆者の副次的見解を支持する形になっています。政府に大きく依存する経済から、民間主導の経済への移行は、最終的には多くの銘柄に好影響を及ぼすはずです。しかし、そこに至るまでには時間がかかり、道程は平坦ではないと見られます。

 最後までお聴きいただきありがとうございました。今回も「市場の風を読む」Thoughts on the Market 、お楽しみいただけたでしょうか?もしよろしければ、この番組について、ご友人や同僚の皆さんにもシェアいただけますと幸いです。

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市場の風を読むBy Morgan Stanley