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「もう、博君の、よかごとせんね」「あ、ああ、わかったよ。す……、好きなようにやってやるさ」虚勢を張ったような上ずった声で言って、博は何度も人にぶつかりながら走り去った。気のせいだろうか。その姿が、青い光に包まれたように見えたのは……。もうすぐおばあちゃんの団体のパレードの時間だ。だけど今は、見物する気にもなれない。人波に背を向けて、部屋に戻ろうとした。その矢先、かなめの耳に、声が飛び込んできた。「福岡市を、博多市に!」「な、何が起こったとですか?」見守る群衆の一人に聞いてみる。「博多市ば推進する過激派が、パレードに乱入したとたい」人混みをかき分けて前に出て、かなめは絶句した。仮装した四十人ほどの集団だった。博多にわかのお面を付け、修験者のような服装に、右側だけの大きくていびつな羽……。「あれって、もしかして、カタハネたち?」カタハネたちは隊列を組んでパレードを先導する。その隊伍の中心にいるのは、古めかしい制服と制帽姿の人物と、もう一人……。「あれは、驛長と……、博君!」
「もう、博君の、よかごとせんね」「あ、ああ、わかったよ。す……、好きなようにやってやるさ」虚勢を張ったような上ずった声で言って、博は何度も人にぶつかりながら走り去った。気のせいだろうか。その姿が、青い光に包まれたように見えたのは……。もうすぐおばあちゃんの団体のパレードの時間だ。だけど今は、見物する気にもなれない。人波に背を向けて、部屋に戻ろうとした。その矢先、かなめの耳に、声が飛び込んできた。「福岡市を、博多市に!」「な、何が起こったとですか?」見守る群衆の一人に聞いてみる。「博多市ば推進する過激派が、パレードに乱入したとたい」人混みをかき分けて前に出て、かなめは絶句した。仮装した四十人ほどの集団だった。博多にわかのお面を付け、修験者のような服装に、右側だけの大きくていびつな羽……。「あれって、もしかして、カタハネたち?」カタハネたちは隊列を組んでパレードを先導する。その隊伍の中心にいるのは、古めかしい制服と制帽姿の人物と、もう一人……。「あれは、驛長と……、博君!」