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「傘鉾?」どんたくの「祝い松囃子」の行列の中に必ずいる、「傘鉾」だ。傘鉾の布張りがふわりと巻き上がり、かなめを包み込んだ。中は暗闇だった。「ようやっと、話のでけるごとなったな」闇の中で、あの「声」が明瞭に響いた。「あなたは、いったい誰と? いったい何で、私たちばこの騒動に巻き込んだとね?」「私はマイヅル様と呼ばれとる。この福博の街の守り神と思ってもろうたらよかたい」「守り神やったら、この騒動ばなんとかしてよ!」「那珂川の橋のむこうば見らんな」傘鉾の布の隙間から外をうかがい、かなめはあっけに取られた。橋のむこうに巨大な門が出現して、人々の通行をできなくしていたのだから。お城の入口にあるような、立派な門だ。「あの門が閉じて、博多部全体ば封印しとるけん、パレードが福岡側に渡れんで、堂々巡りばしよるとたい」
「傘鉾?」どんたくの「祝い松囃子」の行列の中に必ずいる、「傘鉾」だ。傘鉾の布張りがふわりと巻き上がり、かなめを包み込んだ。中は暗闇だった。「ようやっと、話のでけるごとなったな」闇の中で、あの「声」が明瞭に響いた。「あなたは、いったい誰と? いったい何で、私たちばこの騒動に巻き込んだとね?」「私はマイヅル様と呼ばれとる。この福博の街の守り神と思ってもろうたらよかたい」「守り神やったら、この騒動ばなんとかしてよ!」「那珂川の橋のむこうば見らんな」傘鉾の布の隙間から外をうかがい、かなめはあっけに取られた。橋のむこうに巨大な門が出現して、人々の通行をできなくしていたのだから。お城の入口にあるような、立派な門だ。「あの門が閉じて、博多部全体ば封印しとるけん、パレードが福岡側に渡れんで、堂々巡りばしよるとたい」