
Sign up to save your podcasts
Or
「な……なんね、この音?」地響きが、ゆっくりと、断続的に続いた。アンパンマンミュージアムの前に特別展示されていた、「ジャイアントだだんだん」の像が動き出して、こちらに向かって来ている。「いや、顔も体つきも、少しずつ変化していきよるばい。あれは……」マイヅル様は、信じられないものを見るように、声を震わせた。「あれは、博多大仏たい!」「ええっ? 博多大仏って、あの、筥崎さんの近くのお寺に、台座だけが残っとる、あれ?」「でも、博多大仏は、戦時中の金属供出で失われたとじゃないと?」「……ヨリシロば使ったとごたるな」マイヅル様は、自らの無力さを嘆くようだった。博多大仏が、枡形門を守るように仁王立ちした。開きかけていた扉は、その力によって、固く閉ざされてしまった。
「な……なんね、この音?」地響きが、ゆっくりと、断続的に続いた。アンパンマンミュージアムの前に特別展示されていた、「ジャイアントだだんだん」の像が動き出して、こちらに向かって来ている。「いや、顔も体つきも、少しずつ変化していきよるばい。あれは……」マイヅル様は、信じられないものを見るように、声を震わせた。「あれは、博多大仏たい!」「ええっ? 博多大仏って、あの、筥崎さんの近くのお寺に、台座だけが残っとる、あれ?」「でも、博多大仏は、戦時中の金属供出で失われたとじゃないと?」「……ヨリシロば使ったとごたるな」マイヅル様は、自らの無力さを嘆くようだった。博多大仏が、枡形門を守るように仁王立ちした。開きかけていた扉は、その力によって、固く閉ざされてしまった。