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「住吉さんの歩射祭!」博との最初で最後のデートの日、矢が射られた瞬間、つないだ手が燃えるように熱くなって、思わず手を離した。その時、目の前にいた着物姿の人物が、忽然と姿を消してしまったのだ。「そうたい、私と驛長たい。あの日、私は驛長に誘われて、現実世界にひととき身を移し、歩射祭ば見学しよったとたい」「驛長は、あろうことか歩射祭の矢に、逆矢ば仕込んでおったとたい」「だけど、歩射祭にそんな仕掛けをしたら、住吉神社の神様がすぐに気付くんじゃないのかな?」「いや……住吉さんも関わっとる。そうじゃなかったら、逆矢に怨念の力ば満たすことはでけん」「どうして住吉さんは、驛長の言いなりになっとるとですか?」「駅ビルの屋上の、旧博多驛のホームの柱が原因たい」周囲に染まることなく、孤高の姿で立っていた三本の柱だった。「あの柱は、元々、旧博多驛が取り壊されてからずっと、住吉さんに保管されとったとたい。それば、今の博多駅が新しくなる時に奪われたもんやけん、そこから、驛長の復讐がはじまったとたい」
「住吉さんの歩射祭!」博との最初で最後のデートの日、矢が射られた瞬間、つないだ手が燃えるように熱くなって、思わず手を離した。その時、目の前にいた着物姿の人物が、忽然と姿を消してしまったのだ。「そうたい、私と驛長たい。あの日、私は驛長に誘われて、現実世界にひととき身を移し、歩射祭ば見学しよったとたい」「驛長は、あろうことか歩射祭の矢に、逆矢ば仕込んでおったとたい」「だけど、歩射祭にそんな仕掛けをしたら、住吉神社の神様がすぐに気付くんじゃないのかな?」「いや……住吉さんも関わっとる。そうじゃなかったら、逆矢に怨念の力ば満たすことはでけん」「どうして住吉さんは、驛長の言いなりになっとるとですか?」「駅ビルの屋上の、旧博多驛のホームの柱が原因たい」周囲に染まることなく、孤高の姿で立っていた三本の柱だった。「あの柱は、元々、旧博多驛が取り壊されてからずっと、住吉さんに保管されとったとたい。それば、今の博多駅が新しくなる時に奪われたもんやけん、そこから、驛長の復讐がはじまったとたい」