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「もう! 天神様やったら、通りゃんせ、通りゃんせで、するっと通してくれたらいいとに!」「通りゃんせ……? きっとそれだ、かなめ!」「それじゃあ、福岡側から聞こえて来る通りゃんせの音楽が、福岡大仏に力ば与えたっていうことね?」それだったら、もっと近くで聞かせてあげればいい。幸い、福岡大仏のすぐ後ろには、どんたくのアナウンス席があって、マイクとスピーカーが完備されている。司会者や関係者もどんたくに巻き込まれて、席はもぬけの殻だ。かなめはマイクを握った。「通ぉ~りゃんせぇ 通ぉ~りゃんせぇ~こぉ~こは どぉ~この 細道じゃぁ~」「通りゃんせパワー」で、福岡大仏の力が強まった。押され負けた博多大仏が、枡形門の扉に背中を押しつけられた。少しずつ、門が押し広げられてゆく。隙間から吹き込んだ「風」が、怨念の瘴気を吹き飛ばし、周囲の人々が、「博多市の怨念」の影響から脱する。そうして、一人、また一人と、かなめと声を合わせて歌いだす。歌声が広がるにつれて、福岡大仏は、少しずつ、力を増していった。「門が、開いた!」
「もう! 天神様やったら、通りゃんせ、通りゃんせで、するっと通してくれたらいいとに!」「通りゃんせ……? きっとそれだ、かなめ!」「それじゃあ、福岡側から聞こえて来る通りゃんせの音楽が、福岡大仏に力ば与えたっていうことね?」それだったら、もっと近くで聞かせてあげればいい。幸い、福岡大仏のすぐ後ろには、どんたくのアナウンス席があって、マイクとスピーカーが完備されている。司会者や関係者もどんたくに巻き込まれて、席はもぬけの殻だ。かなめはマイクを握った。「通ぉ~りゃんせぇ 通ぉ~りゃんせぇ~こぉ~こは どぉ~この 細道じゃぁ~」「通りゃんせパワー」で、福岡大仏の力が強まった。押され負けた博多大仏が、枡形門の扉に背中を押しつけられた。少しずつ、門が押し広げられてゆく。隙間から吹き込んだ「風」が、怨念の瘴気を吹き飛ばし、周囲の人々が、「博多市の怨念」の影響から脱する。そうして、一人、また一人と、かなめと声を合わせて歌いだす。歌声が広がるにつれて、福岡大仏は、少しずつ、力を増していった。「門が、開いた!」