
Sign up to save your podcasts
Or
本来ならば、どんたくはとっくに終了の時間だった。どんたくの間だけの「羽片世界」と現実の博多とが交わる時間を、枡形門による博多部封鎖で引き延ばしていたのだ。枡形門が消え、現実世界の秩序の中に戻ったようだ。「おばあちゃん!」「ああ、かなめね。もう、疲れっしもうた。半日くらいぶっ通しで踊ったごたる気のするばい」どんたくの無限パレードに巻き込まれた人たちが、次々に正気を取り戻していった。「博君、これで万事、一件落着なんかな?」「表の世界の秩序は戻ったみたいだが、裏の羽片世界はまだきっと……」――博とかなめ、良くやってくれた――マイヅル様の声だ。――現実世界と羽片世界の融合は収まったばってん、羽片世界での事態は今も進行中たい。二人とも、こっちに来てもらうばい――目の前に、半透明の姿の傘鉾が浮かび上がった。博と共に、傘鉾の中の闇に飛び込む。次の瞬間、傘のまま、空中に浮かび上がったような浮遊感があった。――さあ、着いたばい――「ここは……?」傘鉾を出た先は、旧博多驛のあった公園の前だった。
本来ならば、どんたくはとっくに終了の時間だった。どんたくの間だけの「羽片世界」と現実の博多とが交わる時間を、枡形門による博多部封鎖で引き延ばしていたのだ。枡形門が消え、現実世界の秩序の中に戻ったようだ。「おばあちゃん!」「ああ、かなめね。もう、疲れっしもうた。半日くらいぶっ通しで踊ったごたる気のするばい」どんたくの無限パレードに巻き込まれた人たちが、次々に正気を取り戻していった。「博君、これで万事、一件落着なんかな?」「表の世界の秩序は戻ったみたいだが、裏の羽片世界はまだきっと……」――博とかなめ、良くやってくれた――マイヅル様の声だ。――現実世界と羽片世界の融合は収まったばってん、羽片世界での事態は今も進行中たい。二人とも、こっちに来てもらうばい――目の前に、半透明の姿の傘鉾が浮かび上がった。博と共に、傘鉾の中の闇に飛び込む。次の瞬間、傘のまま、空中に浮かび上がったような浮遊感があった。――さあ、着いたばい――「ここは……?」傘鉾を出た先は、旧博多驛のあった公園の前だった。