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Ep.561 テスラ、ネバダでロボタクシー公道テストへ──「試験許可」で商用化の前哨戦(2025年9月18日配信)


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現地時間9月11日、テッククランチは、テスラがネバダ州DMV(運輸局)から公道テストのための新たな許可を得て、州内で自動運転技術の走行試験に入る準備を進めていると報じました。この記事は、テスラ系インフルエンサーによる許可取得の指摘を起点に、同社が夏にオースティンで始めた無人ライドの実証に続く動きだと位置づけています。DMVは本稿掲載時点でコメントを返していないものの、州のテスト要件としては「対人・対物500万ドルの保険」や「事故報告(10日以内)」が明記されており、テスラもこの枠組みで登録を進めた格好です。


マスク氏は7月23日の決算説明会で、「ベイエリア、ネバダ、アリゾナ、フロリダなど複数州で許認可を取りつつ、年末までに米国人口の半数が住む地域で自動運転ライドヘイリングを展開したい」と意気込みを語っていました。テスラは夏にテキサス州オースティンでドライバーレスのModel Yによる乗車体験をスタートし、まずは社内スタッフが助手席に同乗する形で運行範囲を広げています。ネバダでの公道テスト許可は、このロードマップを全米に広げるうえでの“二つ目の山場”といえそうです。


もっとも、テスト許可=商用運行の即時開始ではありません。ネバダで有料のロボタクシー事業を営むには、DMVによるテスト登録とは別に、NTAが所管する「自動運転ネットワーク会社」の営業許可が求められます。州法NRS 706Bおよび関連規則では、車両の点検・責任範囲・運行体制など追加要件が定められており、テスラが有償サービスへ踏み込む前にクリアすべきプロセスが残ります。


競合環境は熱を帯びています。ラスベガスではアマゾン傘下のZooxが今週、目的地を限定した無料の一般向けロボタクシー運行を開始しました。まずは料金認可を待つ“無料運行”で母集団を広げ、早期に有料化へつなげる戦略です。テスラがネバダでテストを積み上げ、NTAの営業許可を得れば、ラスベガス市場でZooxや将来的なWaymoの動きと真正面からぶつかる構図になります。


規制面のハードルは決して低くありませんが、ネバダは自動運転に前向きな州として知られ、テスト登録手続きはカリフォルニアに比べて明快です。保険要件(500万ドル)や事故報告義務などのガードレールを設けたうえで、迅速に公道検証へ移れるのが特徴です。テスラにとっては、オースティンでの実証で得たデータを携え、州横断で“安全性の証跡”を積み増すチャンスとなります。


投資家目線では、テスラのロボタクシーがどの州で「テスト→有料運行」へ最初に到達するかが重要な観測点です。足元ではZooxが“無料で一般開放”という先手を打ち、Waymoが既存市場で有料サービスを磨く一方、テスラは量産車ベースの展開でスピード勝負を挑みます。ネバダの許可取得は、同社が年内のサービスエリア拡大という公約に現実味を持たせる一歩であり、次の焦点はNTAによる事業許可の取得時期、そしてベイエリアやアリゾナなど他州での法規制との整合です。


今回のエピソードは以上で終了です。また次回お会いしましょう。

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名古屋ではたらく社長のITニュースポッドキャストBy ikuo suzuki