あけましておめでとうございます。2026年の幕開けとともに、自動車業界、ひいてはテクノロジー業界の勢力図を塗り替える歴史的なニュースが飛び込んできました。中国のBYDが、ついにアメリカのテスラを抜き去り、電気自動車(EV)の年間販売台数で世界首位に立ちました。
2025年の販売台数は、BYDが前年比28%増の225万台。対するテスラはモデルサイクルの谷間や競争激化の影響で164万台にとどまったと見られています。かつて「EVの王者」といえばイーロン・マスク率いるテスラでしたが、その称号が正式にアジアの巨人に移った瞬間です。
この逆転劇の裏には、単なる「安さ」だけではない、BYDの徹底した「テック企業化」があります。Web検索などの情報によると、BYDはメキシコやオーストラリアなどでピックアップトラック「Shark」を投入し、これまで手薄だったカテゴリーも攻略。さらに、自社製チップとバッテリーを垂直統合することで、圧倒的なコスト競争力と開発スピードを両立しています。
しかし、このニュースの深層にあるのは、もっと大きな「ITと自動車の融合」、そして「市場の分断」です。中国市場では、スマートフォン大手のXiaomi(シャオミ)や、通信機器大手のHuawei(ファーウェイ)が自動車産業の中核に食い込んでいます。彼らが提供する車は、もはや「走るスマホ」。OSの滑らかさやAIアシスタントの賢さが購入の決め手となっており、ハードウェアのスペック競争からソフトウェアの体験競争へと完全にシフトしました。
こうした中、日本のトヨタや日産も、生き残りをかけて中国のテック企業と手を組んでいます。特にトヨタは、自動運転AIベンチャーの「Momenta」やファーウェイとの協業を深め、中国市場向けの知能化を急ピッチで進めています。これは、伝統的な自動車メーカーが、ソフトウェアという「脳」をIT企業に依存せざるを得ない現状を浮き彫りにしています。
一方で、世界は「デカップリング」の波に洗われています。2025年に発足したトランプ政権下の米国はEVシフトから距離を置き、欧州も揺れています。結果として、中国を中心とする「デジタルEV経済圏」と、旧来の技術が残る「西側経済圏」という二つの世界が生まれつつあります。私たち日本のビジネスパーソンは、この分断された世界のどちらの技術標準が、これからの主流になっていくのかを冷静に見極める必要があります。