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9月17日、GoogleとPayPalが複数年の戦略提携を発表しました。狙いは“エージェント商取引”の実装を業界標準レベルで前へ進めること。プロダクト面では、PayPalのブランド決済に加え、HyperwalletやPayoutsなどを「Googleの各プロダクトへ広く組み込み」、さらにカード決済処理では「PayPal Enterprise PaymentsがGoogle Cloud、Google Ads、Google Playの主要プロセッサの一角を担う」と位置づけられました。PayPalは自社の次世代決済プラットフォームづくりでもGoogle Cloudと組むとしています。
両社が同時に打ち出したのが、AIエージェント前提の決済標準「AP2(Agent Payments Protocol)」の普及です。AP2は“人がクリックして買う”前提だった従来の決済を拡張し、ユーザーの意図を暗号署名付きのMandateとして残し、カゴの中身・金額と不可逆に結び付ける仕組み。リアルタイム購入でも、事前委任の自動購入でも監査可能性を担保し、カードから即時送金、ステーブルコインまで手段非依存で扱える設計が示されています。PayPalはこのAP2採用の旗振り役に名を連ね、業界横断の“共通ルール”づくりを後押しします。
発表声明で、Googleのスンダー・ピチャイ氏は「PayPalの機能をGoogle製品群へ深く統合しつつ、GoogleのAIでPayPalのサービスとセキュリティを強化する」と説明。PayPalのアレックス・クリス氏は「エージェント商取引の時代に求められるのは“信頼とイノベーション”。両社の規模と技術で、世界の商取引体験を再定義する」と述べました。市場側の意味合いとしては、Googleの巨大なトラフィック面とPayPalの決済オーケストレーション面を“相互に埋め込む”ことで、検索・広告・アプリ配信・クラウドというGoogleの垂直面に、PayPalの支払いレイヤーが標準的に共存する構図が広がります。
実務の効きどころは三つ。第一に、Googleの面(Search/Android/Play/Cloud)にPayPalのチェックアウトと出金基盤が常備化され、越境や複雑な支払いフローの導入が軽くなること。第二に、AP2で“人→エージェント”という購買行為の主役交代が起きても、意図と決済をつなぐ監査ログが業界共通語で残ること。第三に、カードに限らず即時送金や暗号資産まで、ユースケースに応じたレール選択がしやすくなることです。結果として、在庫監視→即時購入、広告→即時会計、SaaSの自動プロキュアメントといった“つながった売買”が、より安全に広がる土台が整います。
By ikuo suzuki9月17日、GoogleとPayPalが複数年の戦略提携を発表しました。狙いは“エージェント商取引”の実装を業界標準レベルで前へ進めること。プロダクト面では、PayPalのブランド決済に加え、HyperwalletやPayoutsなどを「Googleの各プロダクトへ広く組み込み」、さらにカード決済処理では「PayPal Enterprise PaymentsがGoogle Cloud、Google Ads、Google Playの主要プロセッサの一角を担う」と位置づけられました。PayPalは自社の次世代決済プラットフォームづくりでもGoogle Cloudと組むとしています。
両社が同時に打ち出したのが、AIエージェント前提の決済標準「AP2(Agent Payments Protocol)」の普及です。AP2は“人がクリックして買う”前提だった従来の決済を拡張し、ユーザーの意図を暗号署名付きのMandateとして残し、カゴの中身・金額と不可逆に結び付ける仕組み。リアルタイム購入でも、事前委任の自動購入でも監査可能性を担保し、カードから即時送金、ステーブルコインまで手段非依存で扱える設計が示されています。PayPalはこのAP2採用の旗振り役に名を連ね、業界横断の“共通ルール”づくりを後押しします。
発表声明で、Googleのスンダー・ピチャイ氏は「PayPalの機能をGoogle製品群へ深く統合しつつ、GoogleのAIでPayPalのサービスとセキュリティを強化する」と説明。PayPalのアレックス・クリス氏は「エージェント商取引の時代に求められるのは“信頼とイノベーション”。両社の規模と技術で、世界の商取引体験を再定義する」と述べました。市場側の意味合いとしては、Googleの巨大なトラフィック面とPayPalの決済オーケストレーション面を“相互に埋め込む”ことで、検索・広告・アプリ配信・クラウドというGoogleの垂直面に、PayPalの支払いレイヤーが標準的に共存する構図が広がります。
実務の効きどころは三つ。第一に、Googleの面(Search/Android/Play/Cloud)にPayPalのチェックアウトと出金基盤が常備化され、越境や複雑な支払いフローの導入が軽くなること。第二に、AP2で“人→エージェント”という購買行為の主役交代が起きても、意図と決済をつなぐ監査ログが業界共通語で残ること。第三に、カードに限らず即時送金や暗号資産まで、ユースケースに応じたレール選択がしやすくなることです。結果として、在庫監視→即時購入、広告→即時会計、SaaSの自動プロキュアメントといった“つながった売買”が、より安全に広がる土台が整います。