名古屋ではたらく社長のITニュースポッドキャスト

Ep.582 PFN・さくら・NICTが基本合意──“日本に根差す生成AIエコシステム”を2026年春へ走らせる(2025年9月25日配信)


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9月18日、Preferred Networks(PFN)、さくらインターネット、そしてNICTの三者が「安心安全で日本社会と調和する国産生成AIのエコシステム構築」に向け基本合意を結びました。PFNとNICTは2026年春を目標に、PLaMo 2.0の後継となるLLM群を共同開発。PFN独自の日本語合成データやWebデータに、NICTが収集してきた日本語大規模データを重ね、法制度や文化・慣習に配慮した日本語性能を高めていくとしています。


実装の受け皿は国内で完結します。さくらインターネットはフルマネージドの「さくらの生成AIプラットフォーム」で、この共同開発LLMを“選べる基盤モデル”として提供。クラウドからアプリまでの一気通貫を国内で閉じる設計で、官公庁や企業が使いやすい“信頼できるAIプラットフォーム”を目指します。プラットフォーム自体はRAG向けベクタDBやAPIを備え、生成AIアプリを実運用に乗せやすい構成です。


NICTは長年蓄積してきた日本語Web「700億ページ超」を活用し、PFNと組んだLLMや独自モデル、異なる動作原理のAIを束ねた“AI複合体”を開発。さらに、文化適合やハルシネーションの発生を動的に評価し、弱点を直す学習データを自動生成する能動的評価基盤も整えます。安全性と表現力の両立を、評価→改善のループで回す狙いです。


背景の足腰も固まってきました。PFNは旗艦LLM「PLaMo Prime」の商用提供を2024年末に開始し、2025年にはPLaMo 2の技術報告を公表。ハード側では自社AIプロセッサMN-CoreとPFCP(Preferred Computing Platform)で縦に束ね、直近はMN-Core 2を前提に液冷の高密度サーバ実証も進めています。国産LLM×国産計算基盤という“縦割りの芯”が、今回の三者連携の現実味を高めています。


市場も敏感に反応しました。報道ベースでは、今回の基本合意を受けてさくらインターネットの株価が急伸。国内で“クラウドからモデルまで”を束ねる構図が示され、国産エコシステムの受け皿としての期待が意識された形です。


ここからの勝負は三点です。第一に、文化・法制度・安全性という日本特有の要件を、学習データの設計と評価運用でどこまで具体化できるか。第二に、推論コストとレイテンシ—国内DCと国産ハードの効率を武器に、現場で“速く安く安全に”を実感させられるか。第三に、さくらの実行基盤上でのパートナー連携—産業ごとの縦ソリューションを広げ、使いどころを豊かにできるか。三者の役割が噛み合えば、日本発の“現場に強い生成AI”が一段と実用域に近づいていきます。

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名古屋ではたらく社長のITニュースポッドキャストBy ikuo suzuki