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Ep.586 オラクル×メタ 2兆9600億円級クラウド協議──“AI計算の受け皿”でOCIが存在感(2025年9月25日配信)


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米ブルームバーグ日本版は、オラクルがメタ・プラットフォームズとAIクラウド契約で協議中で、規模は約200億ドル(約2兆9600億円)に上る見通しだと報道しました。複数年の枠組みで、メタ向けにAI学習・展開の計算資源を供給する案。報道を受け19日の米取引でオラクル株は一時4%高となりました。現段階では協議中で、金額や条件が変動する可能性も示されています。


同件はロイターなど英語圏メディアも追随。成立すれば、メタの既存プロバイダーを補完する“追加の計算レーン”となり、生成AIの開発・配信のボトルネック解消を狙う動きがさらに加速します。背景には、メタが2025年の設備投資見通しを640~720億ドルへ引き上げ、AIインフラに資金を厚く振っている流れがあります。


オラクル側の“受け皿”も巨大化しています。9月9日の決算で同社は「3社と4件の数十億ドル級契約をQ1で締結」と公表し、RPO(将来契約収入)は前年同期比+359%の4,550億ドルに急増。さらに今後も複数の大型契約が見込めると述べました。今回のメタ協議が実現すれば、直近の大型案件列にもう一本太い柱が加わる格好です。


文脈として外せないのがOpenAIとの超大型案件です。オラクルは7月、OpenAIと米国内で4.5GWのデータセンター能力を共同開発すると発表。その後、WSJは「2027年開始、5年間で総額3000億ドルのクラウド契約」と報じ、AI計算の“第2の標準”としてOCIの台頭を印象づけました。メタ案件が走れば、OCIはOpenAIに続く“超重量級”の二本立てとなります。


総じて、今回の協議は「GPU確保競争の次段階」を示します。メタはLlama等の学習・推論の前線を維持するために計算の多層化を進め、オラクルはマルチクラウド連携と大型DC増設で“低遅延・高帯域の推論専用レーン”を提供する。条件交渉と最終合意の行方はなお不確実ですが、AIインフラの主役争いが「誰が最も速く・大量に“電力とラック”を用意できるか」という実務勝負に入っていることを、今回のニュースは物語っています。

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名古屋ではたらく社長のITニュースポッドキャストBy ikuo suzuki