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Ep.600 AWSのAI IDE「Kiro」、新料金と新エージェントAuto──“vibeからspecへ”を加速(2025年10月2日配信)


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日本時間9月19日、AWS公式ブログ(日本語版)が「新しい料金プランと新エージェント『Auto』」を発表しました。元記事は米国時間9月15日のKiro公式ブログで、Kiroは9月30日まで無料、10月1日から選択プランに基づき課金開始という明確な移行スケジュールを提示。料金はFree/Pro/Pro+/Powerで月額$0/$20/$40/$200、上限は50/1,000/2,000/10,000クレジット、超過は$0.04/クレジットという“クレジット制”に一本化されました。初回アクセスには14日間有効の500クレジットを付与する無料トライアルも導入され、月次ダッシュボードで消費量の可視化も進みます。


同時にお披露目された新エージェント「Auto」は、タスク内容に応じてSonnet 4など複数モデルと専門モデル群を組み合わせ、意図検出やキャッシュ最適化で“品質=Sonnet 4級、コストはその約1/1.3”を狙う設計です。デフォルトモデルとしてAutoを選ぶと、同じ処理をSonnet 4単独で走らせるよりクレジット消費が少ない——この“質とコストの同時最適化”を武器に、日常の開発作業はAutoで、高度なこだわりには明示的にSonnet 4、という使い分けを想定しています。さらに今後はニューラル×記号推論の“ニューロシンボリックAI”をAutoに導入し、要件作成や実装検証の品質を押し上げるロードマップも言及されました。


背景を振り返ると、Kiroは7月の発表時から“vibe coding(勢いのプロンプト駆動)から、仕様に基づく実務へ”の転換を掲げ、VS Code系の体験に仕様書生成・設計ドキュメント・テスト検証を織り込むことで、プロトタイピングを“製品品質”へ押し上げる路線を打ち出してきました。MCP対応やエージェント連携を前提に、計画と実装のゆらぎをAIで締めていく——そんな思想は各種メディアでも“vibeからviableへ”の挑戦として評価されています。


実務インパクトで言えば、クレジット制の一本化とAutoの標準化は、チーム運用の見積もりとガバナンスを楽にします。月あたりの“処理量”でコストが読めるため、財務側の予算統制がしやすい一方、実装側はAutoの自動最適化で“迷わず速い”をデフォルトにできる。比較対象としてのAmazon Q Developerは、月額のリクエスト枠やコード変換行数での課金モデルを提示しており、企業は“IDEとしてのKiro”と“支援サービスとしてのQ Developer”を用途で住み分ける選択が現実的になります。プレビュー期の混雑で導入制限や価格再考が報じられた経緯を踏まえても、今回の正式な価格体系とAutoの投入で、Kiroは“本番業務で回せるAI IDE”としての地固めを一段進めた格好です。

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名古屋ではたらく社長のITニュースポッドキャストBy ikuo suzuki