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Ep.615 OpenAI、ペアレンタルコントロール導入──“つながる親子設定”と安全通知でティーンを守る(2025年10月2日配信)


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9月29日、OpenAIがChatGPTに「ペアレンタルコントロール」を正式導入しました。親(保護者)がティーンのアカウントとリンクし、家庭ごとに安全度合いを細かく調整できるのが特徴です。提供は“本日から”全ユーザーに順次展開で、まずはWeb、その後モバイルに広げるとしています。発表では、親子リンクの開始方法、解除時に親へ通知が届くこと、さらに保護者向けリソースページの新設まで、一連の導線が丁寧に示されました。


この機能の心臓部は「年齢に応じた守り」の標準化です。親子がリンクされたティーンアカウントには、自動的に追加のコンテンツ保護がかかり、過激な表現、性的・暴力的なロールプレイ、極端な美容理想、バイラルな危険チャレンジなどを抑制します。親は必要に応じてこの保護をオフにもできますが、ティーン側からの変更は不可。家庭の方針に合わせつつ、既定で安全側に倒す設計です。


カスタマイズ項目は実務的です。Quiet Hoursで就寝時間の利用を止め、Voice ModeやImage Generationの可否、Memoryの保存、会話データのモデル学習利用のオプトアウトまで、親のアカウントからワンタップで切り替えられます。加えて、ティーン側から“親を招待”してリンクを作ることも可能で、合意ベースの運用を前提にしている点も印象的でした。


注目は「Safety Notifications」。ChatGPTが自傷関連の深刻な兆候を検知した場合、少人数の専門訓練を受けたレビューチームが確認し、急性期のリスクがあると判断されれば、親へメール・SMS・プッシュで知らせる仕組みです。誤報の可能性がゼロではないことを明言した上で、「沈黙よりも通報を」の立場を採用。今後は、親に連絡がつかない緊急時の法執行機関への連絡基準についても整備を進めるとしています。


背景には、中長期の「Age Prediction System」構想があります。年齢推定に基づき、未成年には自動でティーン向けポリシーを適用するロードマップが示され、判断がつかない場合は“より安全な側”に倒す方針を併記。直近ではペアレンタルコントロールがもっとも確実な手段であり、今後の年齢推定と組み合わせて“家庭の意向×技術的ガードレール”の二層で守りを固める考えです。


策定プロセスには、Common Sense Mediaなどの外部専門家や、カリフォルニア州・デラウェア州の司法長官オフィスが関与。企業側の一方的設計ではなく、青少年保護の現場知を取り込んで磨き込む姿勢がうかがえます。保護者向けの説明・会話のきっかけをまとめた専用ページも公開され、家庭内での“使い方の対話”まで視野に入れた取り組みです。


総じて、今回の発表は「AIが家庭に入ってきた」現実に合わせ、権限と自由のバランスを親子で設計し直す動きです。ティーンのプライバシーを尊重しつつも、緊急時の通知という“最後の綱”を備える。プロダクトとしては控えめなUI変更に見えて、家庭の安心感と学校現場の受け入れやすさを底上げする土台づくりだと言えるでしょう。

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名古屋ではたらく社長のITニュースポッドキャストBy ikuo suzuki