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Ep.627 ChatGPTに「アプリ」誕生──会話から呼び出す新体験とApps SDKの登場(2025年10月9日配信)


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10月6日、OpenAIが「ChatGPTにアプリを導入」すると発表しました。使い方はシンプルで、たとえば「Spotify、金曜のホームパーティ用にプレイリスト作って」と話しかけると、チャット中にアプリが立ち上がり、曲リストや地図、スライドといったUIをその場で操作できます。まずはEU以外のログインユーザー向けにFree/Go/Plus/Proで提供を開始し、ZillowやCanvaなどの初期アプリが“会話の文脈に応じて”提案される設計です。


開発側には新しい「Apps SDK」がプレビューで公開されました。MCP(Model Context Protocol)を土台に、アプリの会話ロジックとUIをコードで定義し、自社バックエンドと直接つなげられるのが肝。オープンソースとして提供され、Developer ModeでChatGPT内テスト→年内に申請受付→審査通過で公開、という流れが示されています。収益化の詳細は追って案内され、専用ディレクトリも開設予定です。


安全とプライバシー面では、全アプリに利用規約・年齢適合性・外部連携の遵守を求め、初回接続時に“共有され得るデータ”を明示。今後はデータカテゴリ単位でより細かな権限制御も提供するとしています。企業向けには年内にBusiness/Enterprise/Eduへの展開を予定し、組織配布や管理の選択肢が広がる見込みです。


同日発表の「AgentKit」との並走もポイントです。AgentKitは、ドラッグ&ドロップで業務ワークフローを組めるAgent Builderや、データ接続を一元統制するConnector Registry、会話UIのChatKit、評価基盤Evalsなどを束ね、エージェントの“設計・埋め込み・評価・微調整”を一気通貫にします。Appsが“ユーザー体験の玄関口”だとすれば、AgentKitは“裏側の作り込み”。両輪で、会話から実務までを滑らかにつなぐ構図が見えてきました。


この動きの実務的な意味を一言でいえば、“探して開く”アプリから“話して呼ぶ”アプリへの転換です。社内の申請フォーム、営業支援、学習コンテンツ、買い物まで、チャットの流れを断たずに用を足す。標準ディレクトリと将来の決済標準(Agentic Commerce Protocol)が整えば、“つど必要な機能が会話に現れる”世界が現実味を帯びます。国内のプロダクトチームにとっては、まずApps SDKで小さく体験を作り、AgentKit側で評価と統制を仕込む――そんな段階導入が相性よさそうです。

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名古屋ではたらく社長のITニュースポッドキャストBy ikuo suzuki