名古屋ではたらく社長のITニュースポッドキャスト

Ep.699 GPT-5.1登場──“考える速さ”も“話しやすさ”も、自分好みに(2025年11月20日配信)


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オープンAIが「GPT-5.1」を発表しました。位置づけは“GPT-5世代のメジャーアップデート”。会話の自然さと知性の両面を底上げし、即応性重視の「Instant」と、難問で粘り強く推論する「Thinking」を刷新しています。提供は本日から段階的に開始、まずは有料プランへ順次反映され、最終的には標準モデルがGPT-5.1に置き換わる計画です。


今回の肝は“考える時間の最適化”です。Thinkingは問題の難易度に応じて思考時間をきめ細かく調整し、簡単な依頼は素早く、骨太な課題には時間をかけて精度を取りにいく設計。Instantも必要に応じて“先に考えてから答える”アダプティブ・リーズニングを備え、数学やコーディングの代表指標(AIME 2025やCodeforces)で有意な改善を示したとしています。質問の種類に応じた自動ルーティング(GPT-5.1 Auto)も継続し、ユーザー側は基本的にモデル選択を意識しなくてよい、という体験を目指します。


“話しやすさ”のチューニングも前進しました。ChatGPTの口調・スタイルを選べるプリセットが拡充され、個々人の好みに合わせた受け答えに近づけやすくなりました。さらに詳細な特性(簡潔さ、温度感、絵文字頻度など)を設定画面から細かく調整できる実験機能の展開も始まります。更新したパーソナライズ設定は既存の会話にも即時反映され、従来の「新規チャットから適用」という扱いを改めた点も実務では効いてきそうです。


提供体制は移行の分かりやすさを重視しています。企業向けのEnterprise/Eduには7日間の早期アクセス・トグルが用意され、その後はGPT-5.1が既定へ。APIは今週、Instantが「gpt-5.1-chat-latest」、Thinkingが「GPT-5.1」の名称で配信開始予定です。既存のGPT-5(Instant/Thinking)は有料ユーザー向けの“レガシー”欄で3か月間並行提供され、比較・検証のための猶予期間が確保されます。


安全性の面では、GPT-5のシステムカードに対する「5.1」用アドエンダムが公開されました。既存の緩和策を維持しつつ、事前評価の範囲を拡張して、メンタルヘルスや“情緒的依存”に関わる出力の扱いを評価項目に追加。モデル名の表記整理(gpt-5.1-instant/gpt-5.1-thinking)も明記されています。背景には、GPT-5で導入された“高速モデル+思考モデル+リアルタイム・ルーター”という統合設計があり、その文脈で5.1の安全性・運用方針がアップデートされた格好です。


実務の観点では、社内チャットボットや自動化フローにおける“モデル切替の運用負荷”がさらに下がり、対話のトーン統一やブランドボイス準拠がやりやすくなります。開発者にとっては、API名の更新に伴うエンドポイント差し替えと、環境ごとのロールアウト管理が当面の対応ポイント。加えて、Thinkingの思考時間の可変化はスループット最適化と品質担保のトレードオフ調整に効くため、SLA設計やコスト見積りの見直しも検討余地がありそうです。

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名古屋ではたらく社長のITニュースポッドキャストBy ikuo suzuki