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Ep.725 ブラウザが「万能アシスタント」へ──Alibaba「Quark」と最強AI「Qwen」の融合(2025年12月4日配信)


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中国のテック大手Alibabaが、検索とブラウザの常識を覆すようなアップデートを行いました。同社の人気ブラウザ「Quark(クォーク)」が、PC向けの新しいクライアントソフトを発表し、そこに自社開発の高性能AIモデル「Qwen(通義千問)」を全面的に統合したのです。これにより、Quarkは単なる「Webサイトを見るための道具」から、仕事や学習を完結させる「万能AIアシスタント」へと進化を遂げました。


これまで、何かを調べたり資料を作ったりするとき、私たちはブラウザで検索し、別のソフトで文章を書き、また別のツールでスライドを作る……といった具合に、複数のアプリを行き来していました。しかし、新しいQuarkはその手間を過去のものにします。ブラウザの右側にAIパネルが常駐し、そこに「AI検索」「AIライティング」「AI要約」「AIスライド作成」といった機能が集約されているのです。


例えば、AI検索では、ユーザーの質問に対してWeb上の情報を統合し、まるで人間が答えるように回答を生成します。さらに驚くべきは「創作」の能力です。ユーザーがトピックを入力するだけで、Qwenの強力な言語能力を使ってドキュメントの下書きを作成したり、さらにはその内容を基にPowerPoint形式のプレゼンテーション資料を自動生成したりすることも可能です。これらはすべて、ブラウザという一つの画面の中で完結します。


この動きの背景には、中国国内での激しい「AI検索戦争」があります。検索大手のBaidu(百度)が自社のAI「Ernie Bot」を検索に組み込んで先行する中、Alibabaは若者に人気のQuarkを武器に反撃に出た形です。特にQuarkは25歳以下のユーザーが過半数を占めており、効率を重視する彼らにとって、検索から資料作成までを「ワンストップ」で行える体験は非常に魅力的です。


Alibabaのこの戦略は、ブラウザが単なる「インターネットの入り口」ではなく、AIを使いこなすための「オペレーティングシステム(OS)」のような存在になりつつあることを示しています。PCを開けば、そこに優秀な秘書がいて、検索も執筆も代行してくれる──そんな未来が、Quarkによって現実のものになろうとしています。


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名古屋ではたらく社長のITニュースポッドキャストBy ikuo suzuki