想い出ガラス

エピソード26 『退屈な時間』


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『退屈な時間』  わたしは今、60歳になりました。
昭和40年に立てた実家に引っ越した時は、4歳でした。
幼い頃から病気がちだったわたしは、天井や柱引き戸などを眺めて過ごすことが多くありました。
元気になることを願いながら 床についているだけの生活はつまらないものですが、
何かの形に見えるおもしろい形をした木目や繊細なガラスの模様を眺めていると
退屈な時間が少し紛れていくようでした。
年末には、忙しかった両親に代わって子どもたちだけで年末の掃除をしました。
すべてのガラス磨きをやりますが、好きだった模様のついたガラスですが
溝にほこりが詰まって思うようにきれいにならず、
苦戦した思い出があります。
やがて、家のリフォームに伴い多くがサッシに変わり部屋を仕切る6枚の引き戸に模様ガラスが残るのみとなりました。
昨年、大好きだった母が95歳でなくなり老朽化した家は取り壊すことになりました。
思い出深いガラスを処分してしまうのは、もったいなくて調べていたところ素敵なお皿に出会うことができました。
「この柄うちにもあったな」と 忘れていた柄を懐かしく思い出したり、知らなかった素敵な模様のガラスにも見入ったりしてしまいました。
引き戸ごと自宅に保管することも考えていたのですが、お皿が手元に届いたら未練なく引き取先を探せそうです。
おばあちゃんの家の思い出の品として娘も大切にしてくれると思います。
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想い出ガラスBy pieni