高千穂さんのご縁です。

【仏教と花】のお話。 仏花として菊をよく使う理由は…


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熊本市中央区京町の仏嚴寺(ぶつごんじ)より、今週も高千穂光正(たかちほ みつまさ)さんと一緒に、仏教にまつわるさまざまなお話をお届けします。


仏教と花の深い関係

高千穂さん:「お寺やお墓に行くと、お花がきれいに飾られているのを目にしますよね。実はあの花、亡き人のためというだけではなく、お浄土(じょうど)という美しい世界をこの世に表すために供えられているんです」


仏教では、花は「荘厳(しょうごん)」と呼ばれる装飾の一つ。お浄土の美しさを象徴し、私たちがその理想に近づこうとする心のあらわれでもあります。


仏前に花を供える文化のはじまり

6世紀に仏教が日本に伝来すると同時に、「仏前に花を供える」という風習が生まれました。

高千穂さん:「仏前に供える花を“仏花(ぶっか)”といいます。華厳経(けごんきょう)や法華経(ほけきょう)など、経典の名前にも“花”という字が含まれています。それほど仏教と花は深く関わっているのです。」


インドの仏教では蓮(はす)の花が象徴的ですが、日本では季節の花々が仏前を彩ってきました。


仏花としての“菊”の歴史

仏花といえば「菊」を思い浮かべる方も多いでしょう。でも、この文化は意外にも戦後以降に定着したものだそうです。


高千穂さん:「昔は行列を組んでお葬式をする風習があり、季節ごとの花が使われていました。ですが、戦後に菊が一年中手に入るようになったこと、そして西洋の祭壇スタイルが入ってきたことで、現在のように菊が仏花の定番となったんです」


日持ちがよく、準備しやすいという実用性も、菊が選ばれた大きな理由です。


仏教の象徴“蓮の花”に込められた意味

蓮の花は、仏教において特別な意味を持つ花です。


高千穂さん:「蓮は“泥の中から美しい花を咲かせる”という性質を持っています。この泥は、煩悩や苦しみにまみれた私たちの姿を表しているんです。」


その泥から咲く蓮の花は、そんな私たちをも阿弥陀如来(あみだにょらい)が必ず救ってくださるという仏の誓いを象徴しています。

浄土真宗では、ご本尊の阿弥陀如来が蓮の台座に立っておられるのも、そうした意味を込めてのことです。


念仏を称える者を表す花

さらに、蓮の花は念仏を称える者そのものの象徴でもあります。


高千穂さん:「仏説観無量寿経(ぶっせつかんむりょうじゅきょう)というお経には、“もし念仏するものはまさに知るべし、この人はこれ人中のフンダリケなり”という言葉が出てきます。フンダリケとは、サンスクリット語で“白蓮華”を意味する言葉です」


つまり、念仏を称える者は蓮の花のように清らかで尊い存在であると説かれているのです。


仏花の選び方に決まりはあるの?

丸井:「菊じゃないとダメ、ってことはあるんですか?」

高千穂さん:「いえ、そういう決まりはありません。ただし、とげのある花や匂いが強すぎる花は避けたほうがいいでしょうね」


まとめ:花に込められた祈りのこころ

今週は「仏教と花」というテーマでお話を伺いました。

高千穂さん:「仏教と花には長い歴史と深い意味があります。特に菊や蓮の花は、仏さまの教えや、私たちの心を映し出す大切な存在です。花を通して、仏さまの慈しみや、浄土の世界の美しさに思いを馳せていただければと思います」


次回予告:「六曜と仏教」

来週は「六曜(ろくよう)と仏教」をテーマにお送りします。

「大安」「仏滅」など、日取りに関するあの“六曜”は仏教と関係があるのか?――そのルーツに迫ります。お楽しみに。


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出演

お話:仏嚴寺住職・高千穂光正

司会:丸井純子


今週も最後までお聴きいただきありがとうございました。

あなたと結ばれたこのご縁に、心から感謝申し上げます。


では、また来週お会いしましょう。





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高千穂さんのご縁です。By RKKラジオ