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FRBが9月に利下げを実施した後は、雇用統計の方が追加利下げより市場に与える影響が大きい可能性があります。コーポレート・クレジット・リサーチ責任者のアンドリュー・シーツ(Andrew Sheets)がその理由をお話しします。
このエピソードを英語で聴く。
----- トランスクリプト -----
「市場の風を読む」(Thoughts on the Market)へようこそ。このポッドキャストでは、最近の金融市場動向に関するモルガン・スタンレーの考察をお届けします。今回のエピソードは、モルガン・スタンレーのコーポレート・クレジット・リサーチ責任者を務めるアンドリュー・シーツが、FRBの次の動きがそれ程重要ではない可能性がある理由についてお話します。このエピソードは10月4日 にロンドンにて収録されたものです。
英語でお聞きになりたい方は、概要欄に記載しているURLをクリックしてください。
過去数ヵ月間、FRBは世界の市場に関する議論の中心に位置してきました。7月末に政策金利を据え置く判断で、当初市場を元気づけた後、8月初めの一連の低調な経済指標発表を受け、FRBの政策は遅きに失したのではないかという懸念が浮上しました。これに対応してFRBは9月に予想より大幅な0.5パーセントの利下げを実施します。こうした紆余曲折を考慮すると、投資家共通の疑問が、「FRBは次にどうするのか?」であるのも無理のないことです。
しかし、FRBの次の一手がそれほど重要ではないとしたらどうでしょうか?
金融政策は強力であると同時に非力でもあります。強力である理由は、金利は、住宅の購入から設備投資資金の調達や競合企業の買収まで、経済全体の数多くの判断に影響を及ぼすことです。また、非力でもあるのは、金利がこうした判断に影響を及ぼすまでには時間がかかり、影響が表われるまでの時間も様々だからです。利下げが経済に与える影響が完全に表われるには、6ヵ月から12ヵ月かかると見られます。したがって、先月FRBが実施した0.5パーセントの利下げの影響が完全に表われるのは、2025年6月になるかもしれません。
この時間差が、FRBの次の動きがそれ程重要ではないと見られる理由の1つです。2つめの理由は、弊社が考える市場の懸念の対象です。過去2ヵ月の市場のボラティリティの多くを引き起こしたと考えられる、労働市場を中心とする米国経済に対する懸念が、現在は弱まっていると弊社は考えています。
もしも金利が高過ぎて、労働市場が軟化しているなら、向こう数ヵ月間、利下げのペースを速めても効果がない可能性があります。効果が現れるまでの時間を考慮すると、利下げによる支援は間に合わないと見られます。
一方で、景気が実際に急速に減速している場合は、必要とされる程度の影響を与えるためには、金利がかなり大幅に低下しなければならない可能性があるとの
見解もあります。FRBの経済見通し(SEP)によれば、9月に0.5パーセントの利下げを行なった現在も、経済成長の追風にも妨げにもならない政策金利は、現行水準をおおよそ2パーセント下回ると見られます。金利は中立と見られる水準を優に上回っています。
簡単に言えば、今後数ヵ月間で経済指標が大きく悪化すると、FRBの追加利下げでは間に合わない可能性があります。また、経済指標が堅調を維持した場合、FRBには政策を調整するための十分な時間的余裕が生じるでしょう。現時点で最も重要なのは、データであってFRBの次の動きではありません。
過去にもこうした考え方を裏付ける事例があります。米国の最も積極的な利下げサイクルに含まれる2001年、2008年、2020年2月が、株式市場とクレジット市場の低迷と重なる点は特筆に値します。1995-96年、1998年、2019年といったより小幅な利下げサイクルは、市場がはるかに良好だった時期と重なります。市場にとって最も重要なのは、データであってFRBの利下げ幅ではないと想定すれば、納得できます。
これらは全て、今の時期に当てはまるように感じます。今回の米国雇用統計の上振れは、FRBの政策が予定通りで、より大幅な調整が必要ないとの見方を裏付けています。これは良い知らせです。
最後までお聴きいただきありがとうございました。今回も「市場の風を読む」Thoughts on the Market 、お楽しみいただけたでしょうか?もしよろしければ、この番組について、ご友人や同僚の皆さんにもシェアいただけますと幸いです。
FRBが9月に利下げを実施した後は、雇用統計の方が追加利下げより市場に与える影響が大きい可能性があります。コーポレート・クレジット・リサーチ責任者のアンドリュー・シーツ(Andrew Sheets)がその理由をお話しします。
このエピソードを英語で聴く。
----- トランスクリプト -----
「市場の風を読む」(Thoughts on the Market)へようこそ。このポッドキャストでは、最近の金融市場動向に関するモルガン・スタンレーの考察をお届けします。今回のエピソードは、モルガン・スタンレーのコーポレート・クレジット・リサーチ責任者を務めるアンドリュー・シーツが、FRBの次の動きがそれ程重要ではない可能性がある理由についてお話します。このエピソードは10月4日 にロンドンにて収録されたものです。
英語でお聞きになりたい方は、概要欄に記載しているURLをクリックしてください。
過去数ヵ月間、FRBは世界の市場に関する議論の中心に位置してきました。7月末に政策金利を据え置く判断で、当初市場を元気づけた後、8月初めの一連の低調な経済指標発表を受け、FRBの政策は遅きに失したのではないかという懸念が浮上しました。これに対応してFRBは9月に予想より大幅な0.5パーセントの利下げを実施します。こうした紆余曲折を考慮すると、投資家共通の疑問が、「FRBは次にどうするのか?」であるのも無理のないことです。
しかし、FRBの次の一手がそれほど重要ではないとしたらどうでしょうか?
金融政策は強力であると同時に非力でもあります。強力である理由は、金利は、住宅の購入から設備投資資金の調達や競合企業の買収まで、経済全体の数多くの判断に影響を及ぼすことです。また、非力でもあるのは、金利がこうした判断に影響を及ぼすまでには時間がかかり、影響が表われるまでの時間も様々だからです。利下げが経済に与える影響が完全に表われるには、6ヵ月から12ヵ月かかると見られます。したがって、先月FRBが実施した0.5パーセントの利下げの影響が完全に表われるのは、2025年6月になるかもしれません。
この時間差が、FRBの次の動きがそれ程重要ではないと見られる理由の1つです。2つめの理由は、弊社が考える市場の懸念の対象です。過去2ヵ月の市場のボラティリティの多くを引き起こしたと考えられる、労働市場を中心とする米国経済に対する懸念が、現在は弱まっていると弊社は考えています。
もしも金利が高過ぎて、労働市場が軟化しているなら、向こう数ヵ月間、利下げのペースを速めても効果がない可能性があります。効果が現れるまでの時間を考慮すると、利下げによる支援は間に合わないと見られます。
一方で、景気が実際に急速に減速している場合は、必要とされる程度の影響を与えるためには、金利がかなり大幅に低下しなければならない可能性があるとの
見解もあります。FRBの経済見通し(SEP)によれば、9月に0.5パーセントの利下げを行なった現在も、経済成長の追風にも妨げにもならない政策金利は、現行水準をおおよそ2パーセント下回ると見られます。金利は中立と見られる水準を優に上回っています。
簡単に言えば、今後数ヵ月間で経済指標が大きく悪化すると、FRBの追加利下げでは間に合わない可能性があります。また、経済指標が堅調を維持した場合、FRBには政策を調整するための十分な時間的余裕が生じるでしょう。現時点で最も重要なのは、データであってFRBの次の動きではありません。
過去にもこうした考え方を裏付ける事例があります。米国の最も積極的な利下げサイクルに含まれる2001年、2008年、2020年2月が、株式市場とクレジット市場の低迷と重なる点は特筆に値します。1995-96年、1998年、2019年といったより小幅な利下げサイクルは、市場がはるかに良好だった時期と重なります。市場にとって最も重要なのは、データであってFRBの利下げ幅ではないと想定すれば、納得できます。
これらは全て、今の時期に当てはまるように感じます。今回の米国雇用統計の上振れは、FRBの政策が予定通りで、より大幅な調整が必要ないとの見方を裏付けています。これは良い知らせです。
最後までお聴きいただきありがとうございました。今回も「市場の風を読む」Thoughts on the Market 、お楽しみいただけたでしょうか?もしよろしければ、この番組について、ご友人や同僚の皆さんにもシェアいただけますと幸いです。