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フィリピン映画『ウリリは黒魔術の夢をみた』監督インタビュー


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今回のエピソードは、4月5日(土)からシアター・イメージフォーラムで公開が開始するフィリピン映画『ウリリは黒魔術の夢をみた』の監督ティミー・ハーンさんにお話を伺いしました。

フィリピン映画のレジェンドって?

作家であることとは?

ハマっているスポーツは?

などなど、興味深い内容が満載の回です。


なお、監督の音声は英語のみとなりますが、以下に翻訳テキストを貼ってありますので、合わせてお楽しみください。


『ウリリは黒魔術の夢をみた』

2025年4月5日(土)シアター・イメージフォーラム他にて全国順次公開

■公式サイト

https://ulili.jp/


フィリピンのインディペンデント映画におけるレジェンドたちとの出会いや関係について教えてください。

[02:44]

まず、最も親しいロックスリーから話したいと思います。山形国際ドキュメンタリー映画祭でも上映されたことのある監督ジム・ランベーラと友人になって、ロックスリーを紹介されました。ロックスの家でジムやロックスと会うようになって、私が最初の長編映画を作ったときに、ロックスが俳優として出演してくれたんです。かなり重要な役どころでした。あなたが言った3人のなかで、彼は私にとって一番近い存在です。ロックスは私の友達だし、できれば私もそうでありたい。


[04:04]

テディ・コーとの出会いですが、ある映画のプレゼンをする機会を得たのです。CInema One Originalという、いまは存在しない映画祭でした。彼らは私の初めての長編映画をプロデュースしてくれました。テディ・コー は、その時、選考委員のひとりでした。彼はいつも選考委員でしたよ。だから私は何度も何度も、違う作品をテディに自分の映画を売り込みました。実は、『ウリリは黒魔術の夢をみた』の初期のバージョンも売り込んだけれど、残念ながら、その時は選ばれませんでした。でも、最初の作品は、彼が認めてくれたから制作することができたのです。彼はいつもそこにいて、若い映画作家にチャンスを与えようとしてくれました。今の私が若いとは言いませんが、当時はまだ若かったので、彼は私のような作家に声を発するチャンスを与えてくれた一人です。つまり発表する機会、自分自身を表現する機会を与えてくれたんです。それ以来、テディと私は良い関係を築いています。


[05:59]

キドラット・タヒミックは、私にとっては最も遠い存在です。でももちろん、とても重要な存在ですよ。彼ら3人とも、私が信じているものを形作った重要な人々です。近年のフィリピン映画の進化にとって大事な役割を果たした方々です。


[06:44]

キドラットの息子のカワヤン(『ウリリは黒魔術の夢をみた』のジョージ役)とは友人として仲が良いですよ。カワヤンに、この役をやってほしいと持ちかけた時、最初は躊躇していたけれど説得しました。周りの友人も説得しました。カワヤン、やるべきだよ、と。タヒミックは、息子が出演しているこの映画をまだ観ていないと思います。おそらく。3月29日にバギオで上映会があるんだけど、もし彼が映画館にいたら観てもらえるといいな、と思っています。


[07:35]

フィリピンの映画やアートシーンにおいて、自分の役割はどんなものだと考えていますか。また商業映画をどう見ているか教えてください。


フィリピン映画において、私が思い描いている役割は、おそらく、私の芸術表現において、できる限り正直で誠実であることです。そして制作において、自分自身のエゴを排除して、本当の自分を探究することです。答えになってますか。でも、そうなんです。芸術活動をする上で、私はできる限りの自意識やエゴを取り除きたいと思っています。 


[08:34]

自分の作品がすべて商業的に広まるようになることを望んでいます。どんなことにも適応していたいと思っています。つまり自分の役割は、自分がやりたいこと、自分が取り組みたいプロジェクトそのものだと思います。そのどれもが私を掻き立てるさせるはずだから。


[09:22]

どんな役割を果たすべきかと考えたとき、とても難しい質問だと思いました。なぜなら、それを考えるということは、すでに未来の何かを目指すということだからです。でも、私は「今」、現在にいたいんです。私の目標や役割は、どこにいても「ここ」にいることだと思うのです。


[10:00]

公式インタビューによると、次回作は日本での撮影を予定しているそうですね。どんな映画なのでしょうか。


はい、貨物線の船員が難破する話なのですが、映画の大部分は日本で撮影する予定です。といっても、海の上です。船員をどう分類していいかわからないんだけど、彼らは移民と同じで、国にとどまらず、海にとどまらなければならない。多分、日本の港から出発するかもしれません。そして映画の大部分は日本で撮影する予定です。現在、準備中ですが、長い道のりになりそうです。


[11:12]

趣味はなんですか?特に映画制作への活力になる活動があれば教えてください。


シリアスではないんですが、今トレーニングしているものがあります。プロフェッショナルなものではないけれど、かなり真剣に、ボクサーになるために練習しています。そう、ボクシングです。趣味の一つ…趣味とは言えないですね。いまは趣味以上だけど、職業以下ですね。でも、とても、とても真剣にトレーニングをやっています。基礎的で表面的な、生理学的、肉体的なレベルで、とても役に立っています。なぜなら、思考が明瞭になり、自分自身を落ち着かせ、冷静でいられるからです。特に映画制作では、すべてが混沌としていて、すべてが同時に起こっています。そんな時には、心を落ち着かせ、平和でなければならない。ボクシングはその助けになっています。私の映画監督の友人が、ボクシングのトレーナーでコーチでもあるんです。だから一緒に練習したり、映画の話をしたり、スパーリングもします。お互いの顔を殴り合って、その後、家に帰る。私にとってはとても健康的なことなんです。彼は私より若いですが、ほぼ同い年です。彼はミーゴ・マタスという映画監督で、短編のホラー映画をたくさん作っています。


[13:33]

あと、私はバイクに乗るのも好きです。これも趣味とはいえないけど。体を動かすことは、映画を観ること以外にも、映画作りにとても役立っていると思います。それは本当に私を助けてくれます。心をクリアにしてくれ、常に映画制作のことを考えないでいられます。アートや映画のことを常に考えていると、時に圧倒されてしまうからね。時には何も考えず、ただ呼吸することも必要なんです。


[14:42]

リスナーの皆さんに一言お願いします。


もしあなたが私の作品や、私が何者であるかに興味があるなら、私たちの映画を見てください。私が監督したり、脚本を書いたりする映画が、多くを語ってくれていますから。


ティミー・ハーン監督 公式インタビュー

https://www.cinema-factory.jp/2025/03/12/73624/


【フィリピン映画のレジェンドたち】

キドラット・タヒミック

https://www.yidff.jp/2007/cat011/07c031.html

ロックスリー

https://www.yidff.jp/2017/cat041/17c066.html

テディ・コー

https://www.yidff.jp/2017/cat041/17c064.html


出演者:ティミー・ハーン

収録:ZOOM

音楽:ジェレミー・ハーレイ

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